Jeff Beckのリーダー・アルバムというより
Jeff Beckを含む凄腕音楽家たちによる全員音楽
第2期ジェフ・ベック・グループの1作目、第1期のブルース主体のロック・サウンドからR&B色の濃い
ヘヴィ・ロックに変化している
同じR&B色の濃いヘヴィ・ロックでも、ブルース臭が強く泥臭いハンブル・パイとは趣が異なるサウンド
になっている
このアルバムは都会的なブラック・コンテンポラリ( でもとても重い )に、歪みが少なく歯切れのよい
硬質なジェフ・ベックのギターが相性良く溶け込んでいる
哀愁漂うギター・ソロがフューチャーされたインスト・バンバーから、パワフルなドラムでグイグイ
押していくハードなロック・ナンバーまで巾広く聴かせてくれる
メンバーの演奏はとてもリラックスしている印象があり、ジャム・セッションの中で各自先進的な
センスとあふれるほどのアイディアから、音が自然に生まれ出たサウンドであるようにも感じられる
§ Recorded Music §
1 I Got the Feeling - ガット・ザ・フィーリング
2 Situation - シチュエイション
3 Short Business - ショート・ビジネス
4 Max's Tune - マックス・チューン
5 I've Been Used - アイヴ・ビーン・ユーズド
6 New Ways / Train Train - ニュー・ウェイズ/トレイン・トレイン
7 Jody - ジョディ
§ Band Member §
Jeff Beck - ジェフ・ベック( G )
Bobby Tench - ボブ・テンチ( Vo )
Max Middleton - マックス・ミドルトン( Key )
Clive Chaman - クライヴ・チャーマン( B )
Cozy Powell - コージー・パウエル( Ds )
前作発表後、1969年11月にジェフ・ベックは交通事故を起こし、3ヶ月の入院生活を送る
その間にティム・ボガート、カーマイン・アピスらとの新バンド構想は頓挫し、ティムとカーマインは
カクタスを結成する
ジェフ・ベックは担任後再びメンバー探しを行い、メンバーが確定したのは結局1年以上経った1971年
5月のことであった
第2期ジェフ・ベック・グループはロンドンのアイランド・スタジオでレコーディングを開始する
このアルバムではブラック・ミュージックからの多大な影響が見て取れ、メンバーにボブ・テンチ、
クライヴ・チャーマンといった黒人アーティストを加えた点からも、ベックがブラック・ミュー
ジックに対するこだわりを持っていたことが窺える
リズム・セクションの相性もよく、またマックス・ミドルトンとのコラボレイトも素晴らしい
( マックス・ミドルトンとの出会いはジェフ・ベックにとっては重要なもの )
コージー・パウエルが参加していることもロック史にとって重要な意味を持っている
ベックの音楽性の広さを知らしめるアルバムでもある
" ニュー・ウェイズ/トレイン・トレイン "や、ラストの" ジョディ "も素晴らしい楽曲になっている
マックス・ミドルトンのピアノとジェフ・ベックのギターがいい味を出している
そして、ジェフ・ベックの音楽性の間口を広げた意味のあるアルバムに感じる
非常に挑戦的なアルバムに仕上がっていて、マックス・ミドルトンとコージー・パウエルのバックに
支えられてフィーリングでリード・ギターを弾くジェフ・ベック
ベックのヴォーカルと組んだ作品としては次作の" オレンジ "が有名だが、このアルバムは1曲目から
突っ込み加減のベックのリード・ギターがゾクゾクする
ベック・ボガート&アピスの作品もよいが、このアルバムはリズムと楽曲がブラックというかフュー
ジョンというのか、ギリギリの危険性を感じさせてくれる
ヴォーカルのバッキングもバンド全体で盛り上げて、後の独自のインスト作品に傾倒するベックに
とっては、この時期がヴォーカルと絡む最高の演奏をしていたからこそ、やり残すことなく次のステップ
に進んでいったのではないか…そう感じる名作となっている