Stanley Clarke,Al Di Meola,Jean-Luc Ponty
3人の達人によるプロジェクト
当時アコースティック音楽に傾倒していたアル・ディ・メオラの提案により、アコースティック・
トリオという形になった
また、スタンリー・クラークによれば、ドラムスを含まないアコースティック・トリオという構想は早い
段階からあったが" ひとまずピアノを入れてみようかと話したけどそれはすぐにやめたよ それから
ジャン=リュックの名前が出てきて、それは良さそうだと感じた "とのことである
ジャン=リュック・ポンティは後年" 当時はアコースティック・ヴァイオリンを弾けるかどうか猜疑的
だったよ 私は5歳のころから音楽学校を卒業するまでクラシック・ヴァイオリンを続けてきたけど
ジャズやロックに傾倒してアンプを使うようになってからは、エレクトリック・ヴァイオリンとして
個性を築いてきたからね " " 家ではアコースティック・ヴァイオリンを練習していたけどステージでは
本当に弾いていなかった "と振り返っている
クラークとディ・メオラは1970年代にリターン・トゥ・フォーエヴァーで活動をともにしており
ポンティは1972年にトニー・ウィリアムス率いるライフタイムでクラークと初共演したが、ディ・
メオラとポンティの共演はこれが初めてだった
§ Recorded Music §
1 Indigo - インディゴ
2 Renaissance - ルネッサンス
3 Song to John - ソング・トゥ・ジョン
4 Chilean Pipe Song - チリアン・パイプ・ソング
5 Topanga - トパンガ
6 Morocco - モロッコ
7 Change of Life - チェンジ・オブ・ライフ
8 La Cancion De Sofia - ソフィアの唄
9 Memory Canyon - メモリー・キャニオン
§ Personnel §
Al Di Meola - アル・ディ・メオラ( G )
Stanley Clarke - スタンリー・クラーク( B )
Jean-Luc Ponty - ジャン=リュック・ポンティ( Vio )
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メンバー全員が自分のバンドを持つ天才音楽家たちが、バンドの枠を超えて共演してしまったのがこれだ
感じとしては三者のファンにとってみれば美味しいとこがいっぺんに聴けるということで期待感が
膨らむが、リラックスしたアダルトな雰囲気である
火花散るアドリブの応酬も3曲目のジョン・コルトレーンの曲で味わえる
このような企画盤はえしてつまらないものが多いが、アコースティック楽器の豊かな表現力を存分に
味わえるという点において今回の作品は、充分聴くに耐える
三者の個性が見事にまとめあげられていて不思議な印象を受けた
" チェンジ・オブ・ライフ "はポンティ作で、彼の泣きのメロディがたっぷり味わえるポンティ・ファン
はもとよりディ・メオラ・ファンにも満足の1枚になっていると思う
" インディゴ "はディ・メオラがワールド・シンフォニアというプロジェクトでリリースしたアルバム
" ハート・オブ・ジ・イミグランツ "で発表した曲の再演、" ルネッサンス "はポンティのリーダー・
アルバム" 極光 "からの再演、クラークとチック・コリアの共作による" ソング・トゥ・ジョン "は
クラークのリーダー・アルバム" ジャーニー・トゥ・ラヴ "で発表された曲の再演で、クラークとポンティ
は2005年ディ・メオラの代わりにバンジョー奏者のベラ・フレックを迎えたトリオ!というユニットの
ライヴでも同曲を演奏している
アルバムのタイトルに触れておくと、おそらくはイゴール・ストラヴィンスキーの「 春の祭典
( The Rite of Springs ) 」をもじって" Strings "の祭典といった名前をつけたのか、なかなか洒落ている
3人の弦の絡まりは絶妙で、ときにアルコ弾きになるスタンリー・クラークのベース、オヴェイションの
独特な音の広がりをさまざまに聴かせてくれるアル・ディ・メオラのギター、そして優しいジャン=
リュック・ポンティのヴァイオリンはアドリブ合戦の様相を呈してきて聴くものを引き込む