1970年代黄金期のプログレッシブ・ロック
Emerson,Lake&Palmerの本質を如実に表したデビュー作
元ナイスのキース・エマーソンと元キング・クリムゾンのグレッグ・レイク、元アトミック・ルースター
のカール・パーマーの3人で結成
キング・クリムゾンのツアーで前座がナイスだった縁で2人が新グループを企て、カールを加えたという
経緯だった
このグループは無骨で大道芸的な面白さをライヴで発揮するが、実際のスタジオ作ではシリアスなものが
多く、また違った意味で魅力が高い
このアルバムはデビュー作であるものの実力派のグループ出身のメンバーが集っているだけに、すでに
何ら文句の付ける部分はないものの、" これから新しい音楽を創造するんだ "という意気込みのような
フレッシュさが魅力だ
§ Recorded Music §
1 The Barbarian - 未開人
2 Take a Pebble - 石をとれ
3 Knife Edge - ナイフ・エッジ
4 The Three Fates - 運命の3人の女神
ⅰ Clotho - クローソー
ⅱ Lachisis - ラキシス
ⅲ Atropos - アトロポス
5 Tank - タンク
6 Lucky Man - ラッキー・マン
§ Band Member §
Keith Emerson - キース・エマーソン( Key )
Greg Lake - グレッグ・レイク( Vo,B,G )
Carl Palmer - カール・パーマー( Ds )
- アーティスト: Emerson LakePalmer (ELP)エマーソンレイクパーマー
- 出版社/メーカー: Bmg Rights Managemen
- 発売日: 2016/07/29
- メディア: CD
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プログレ界の鍵盤奏者としてはリック・ウェイクマンと人気を二分しており、攻撃的かつトリッキーな
プレイでは右に出る者はいないエマーソンのプレイと、神々しいグレッグの歌声、そしてやたらとオカズ
の多いカールのバタバタしたドラムス
この個性的な3人が作り上げた音楽は1970年代の数多くの名作の中でも非常に魅力的だ
エマーソンより上手い人はジャズのミュージシャンならいっぱいいる という話を腐るほど聞いてきたが、
裏を返せば毎回そのようなことを言われるほどエマーソンのピアノはロック的に上手い
少なくともサディスティックな力強さという意味ではダントツで素晴らしいし、存在感という意味におい
ても唯一無二だと思う
彼はオルガン、ピアノ、シンセサイザーとどれを弾いても個性的だが、あのアルバムでの魅力は何といっ
ても力強いピアノである
" 未開人 "による衝撃的幕開け、エレキ・ギターを極限まで廃したキーボード基調の未知のサウンドは、
当時としては斬新以外の何ものでもなかったに違いない
EL&Pの中でも最もアコースティックな曲のひとつ" 石をとれ "の中間部などは何度聴いても飽きないし、
ライヴでもよく演奏された" ナイフ・エッジ "も素晴らしい
また、手数王のアグレッシブなドラム・ソロをフィーチャーした" タンク "、この当時まだ19か20歳そこら
とは信じ難い…そして初期の名曲" ラッキー・マン "
後のアルバムと比較するとシンセサイザーがほんの一部にしか使われておらず、地味な印象を受けるかも
しれないが、まるでダイヤの原石のような輝きを放っている
キーボード・ロックというジャンルの頂点に君臨し、圧倒的な輝きを失わないグループEL&Pの名を挙げ
ることについて異論を挟む余地はない
これはアルバムは、そんな彼らのデビュー作にしてキーボード・ロックのあらゆるエッセンス・面白味が
詰め込まれた超傑作
彼らの代表作としては、そのクオリティの高さゆえ、どうしても" タルカス "から" 恐怖の頭脳改革 "まで
のいずれかのアルバムが上げられることが多いが、EL&Pを語る上ではこのアルバムは欠かすことが
できないもの
多面的なEL&Pのサウンド中でも、もっとも重要かつ魅力的でありはち切れんばかりにエネルギッシュな
プレイ、そしてクラシックを取り入れたヘヴィなナンバーといった
特徴もあちこちでみられるが、このアルバムにおいて特に注目すべきなのは" 石をとれ "にみられるように
ミステリアスにしてロマンティックな叙情性である
グレッグ・レイクの瑞々しい感性がアルバム全体の雰囲気に溶かし込まれており、作品の激しさと穏やか
さのバランスが適度にとれた完成度の高いものへと仕上げている
正統的な技巧に裏打ちされたハイテンションなプレイと、ハードな面とリリカルな面を併せ持つ素晴らし
い楽曲群が一体となったプログレッシブ・ロックの傑作である