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Ultimate Music Album - 極 -


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Keith Jarrett Trio - The Cure:ボディ・アンド・ソウル -

1990年4月ニューヨーク、タウン・ホールでのライヴ
Keith Jarrett率いるスタンダーズ・トリオの演奏に酔いしれる

 

タウン・ホールでのライヴ・レコーディングとなっている" ザ・キュア "

どの曲もオーソドックスなまでに原曲のムードが保たれている

しかし、その中にはジャズの表現はもとより、ブルースやゴスペル、あるいはクラシックからロック

そしてフォーク・ミュージックまでと相当に幅広い多彩な音楽性が注入されている

そこに万華鏡のようなキース・ジャレットのミュージック・マジックを聴くことができる

 

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§ Recorded Music §
1 Bemsha Swing - ベムシャ・スウィング
2 Old Folks - オールド・フォークス
3 Woody'n You - ウッディン・ユー
4 Blame it on My Youth - ブレイム・イット・オン・マイ・ユース
5 Golden Earrings - ゴールデン・イヤリングス
6 Body and Soul - ボディ・アンド・ソウル
7 The Cure - ザ・キュア
8 Things Ain't What They Used to Be - 昔はよかったね

§ Member §
Keith Jarrett - キース・ジャレット( Piano )
Gary Peacock - ゲイリー・ピーコック( Bass )
Jack DeJohnette - ジャック・ディジョネット( Drams )

  

ボディ・アンド・ソウル

ボディ・アンド・ソウル

 

 

キース・ジャレットがジャズ・ファンの間で広く認知されるようになったのは、1966年にテナーの

チャールズ・ロイド・カルテットに参加したことによる

新人ながらユニークな感性を持ったピアニストがいる…そんな風評の持ち主がキース・ジャレットだった

ロイド・カルテットは、当時西海岸を中心に大きなムーヴメントとなっていたヒッピーたちに支持された

唯一のジャズ・グループだった

そこでロックから影響を受け、力強いタッチのプレイを展開していたのがジャレットであった

ロイド・カルテットで活動している間の1967年には、初のリーダー作" レストレーション・ルーイン "も

レコーディングし、徐々にジャレットは注目を集めていく

そのジャレットがさらなるジャンプを遂げたのが1970年マイルス・デイビスのグループに加わったことだ

ジャレットの音楽性を考えたとき、チャールズ・ロイドおよびマイルス・デイビスのグループに参加

したことは、後に多彩な音楽表現を獲得していく上で極めて重要な体験だったといえる

そのジャレットが80年代に入ってジャズのオーソドックスな部分でさらなる探求をしようと結成した

のがスタンダーズ・トリオになる

ゲイリー・ピーコックジャック・ディジョネットからなユニットは、誰もが知っているスタンダード

素材に、次なる展開が予想もつかないスリリングな演奏を実践してみせた

 

 

" オールド・フォークス "はミルドレッド・ベイリーの歌によって知られるようになった美しいバラード

絶妙なジャレットの歌心といい、サトルなピーコックとディジョネットのサポートといい実に印象的な

演奏になっていて、徐々にジャレットのプレイが盛り上がっていく

" ウッディン・ユー "はトランペッターのディジー・ガレスピーが作曲したバップ調の名曲、タイトル

からもわかるようにモダン・ビッグ・バンドの創始者のひとりとして知られる名バンド・リーダー

ウディ・ハーマンに捧げてガレスピーが書いた曲を、メカニカルなフレーズと速いテンポで演奏は

綴られていく

クラシックのピアニストとして知られるオスカー・レヴァントと作詞家エドワード・ヘイマンが書いた

" ブレイム・イット・オン・マイ・ユース "は、渋いバラードとして知られる名曲

訥々とした感じでテーマを弾くジャレットの巧みな説得力と、彼のスペースを絶妙なタイミングで

埋めていくピーコックのプレイには感嘆の声が漏れてしまうし、歌心に富んだベース・ソロにも

喝采を送りたい

" ザ・キュア "はこのアルバムの中、唯一のジャレットが書いたオリジナル

ピーコックとディジョネットが作り出すリズミックなサポートをバックに、ジャレットがフレーズを

徐々に発展させ、やがてピークに達していく

このアルバムの中で、最も快楽的な感覚を覚える演奏になっている

 

一見まったく違ったアプローチをしているように思われがちだが、キース・ジャレットのソロ・

ピアノとスタンダーズ・トリオは、ある意味同じ音楽的な姿勢に基づいている

それは、どちらの演奏においてもジャレットがそれまでに体験した音楽の集大成行っているからだ

もちろん、ソロ・ピアノを弾く場合は通常全編が即興演奏で貫かれている

そして、スタンダーズ・トリオでは当然のことながら" ジャズの名曲 "と呼ばれる作品の数々がピアノ・

トリオというフォーマットで演奏されていく

しかし、さまざまな音楽性が" キース・ジャレット "という音楽家のフィルターを通し、実に斬新な表現

で展開されていくという視点においてはどちらも共通したものがある

いずれも実に興味深い内容を示しているが、古今東西の名曲を料理したスタンダーズ・トリオのほうが

親しみやすいように思える