10年目にピークを迎えたREOのメッセージ
80年代が感性( 歌 )への回帰であることを教えてくれる
リリースしたアルバムはことごとくゴールドまたはプラチナ・アルバムというREOが、ついに記念すべき
通算10作目のアルバム" 禁じられた愛 "を発表したのは1980年
グループ結成以来14年目、デビュー以来11年目を迎えたREOだったが、この10作目が彼らにとって
デビュー以来最大のヒットを記録したのは間違いない
発表当時、これまでのアルバムはベスト30止まりだったのに対して、" 禁じられた愛 "はベスト20入りを
果たし、ベスト10入りも間近だった
ヒットに恵まれなかったシングルも大ヒット、シングルはベスト5入りが確実視されていた
§ Recorded Music §
1 Don't Let Him Go - ドント・レット・ヒム・ゴー
2 Keep on Loving You - キープ・オン・ラヴィング・ユー
3 Follow My Heart - フォロー・マイ・ハート
4 In Your Letter - 涙のレター
5 Take it on the Run - テイク・イット・オン・ザ・ラン
6 Tough Guys - タフ・ガイズ
7 Out of Season - アウト・オブ・シーズン
8 Shakin' it Loose - シェイキン・イット・ルーズ
9 Someone Tonight - サムワン・トゥナイト
10 I Wish You Were There - アイ・ウィッシュ・ワー・ゼア
§ Band Member §
Kevin Cronin - ケヴィン・クローニン( Vo,G,Piano )
Gary Richrath - ゲイリー・リッチラス( G )
Neal Doughty - ニール・ドーティ( Key )
Alan Gratzer - アラン・グラッツァー( Ds )
Bruce Hall - ブルース・ホール( B )
TOTOやボストンで象徴されるようにメカニカルでパーフェクトなものを求める余り感性、歌心を失って
いた1970年代…" 1980年代は" 歌 " に戻る "といわれていた時代、14年にもおよぶ演奏活動をこの
" 禁じられた愛 "で見事に花咲かせたREOスピードワゴンの突然の人気沸騰も、そう考えると不思議
ではない
ただ、ひたすらストレートでパワフルなロックン・ロールを演奏し続けてきただけだ
一口にデビュー以来11年といっても、それだけ長い期間、同じスタイルをキープし続けることは
並大抵ではない
しかし、このアルバムでREOにもチャンスが巡ってきた
よくアーティストは、10年同じことをやって初めて" 何か "を掴むことができるといわれるが、REOも
結成以来10年を経た" REO Live / You Get What You Play For "で成功のキッカケを掴んでいるし、次作の
" ツナ・フィッシュ "で、この当時のスタイルを確立している
このころから、エネルギッシュなロックン・ロールとともにメロディに重点をおいた音作りがみられる
ようになり、このアルバムでは" キープ・オン・ラヴィング・ユー " " 涙のレター " " テイク・イット・
オン・ザ・ラン "に象徴されるようにメロディとヴォーカルに最重点が置かれている…つまり" 歌心 "への
回帰だ
このアルバムの大ヒットは彼らの願いが、たまたま時代の要求にピッタリ合った結果がもたらした
ものといえる
決して時代に迎合せず、頑固なまでに信念を貫き通してきた彼らに贈られた" 14年目の勲章 "だ
彼らは1979年に" A Dance of Rock and Roll 1970 to 1980 "というベスト・アルバムを発表している
このベスト・アルバムがデビュー以来10年間の音楽活動を彼らなりに総括したものだとすれば" 禁じられ
た愛 "が彼らREOスピードワゴンの1980年代に向けての真の" 出発の歌 "といえよう
どの曲もシングル・カット可能だったというアメリカン・ポップの原点である