Mahogany Rushの4thアルバム" Mahogany Rush Ⅳ - 鋼鉄の爪 - "
メジャー契約第1弾となり、世界デビュー
1954年、カナダはケベック州モントリオールで生まれたフランク・マリノ
もともとギター・プレイをしていたわけではなく、ドラムをプレイしていた
音楽を本当の意味で取り組む、ギターの道を極めるきっかけになったのは、母親からギターをプレゼント
されたことから始まる…それを機にギターに没頭
1970年にハード・ロック・ギター・トリオのマホガニー・ラッシュを結成する
出身地のモントリオールで結成されたマホガニー・ラッシュはアルバム" Maxmoon "で1973年デビューを
果たすことになる
因みに、このアルバムのジャケット裏面には" Dedicated to Jimi Hendrix( ジミ・ヘンドリックスに捧ぐ "
というメッセージがクレジットされている
そのことからも、フランク・マリノのジミ・ヘンドリックスに対する思い入れを窺い知ることができる
その後もアメリカを中心にヒットを飛ばし、3rdアルバム" ストレンジ・ユニバース "もハードなギター・
プレイに磨きをかけ、4thアルバム" 鋼鉄の爪 "が全世界で発売され各国でブレイクする
§ Recorded Music §
1 I'm Going Away - アイム・ゴーイング・アウェイ
2 Man at the Back Door - マン・アット・ザ・バック・ドア
3 The Answer - ジ・アンサー
4 Jive Baby - ジャイヴ・ベイビー
5 It's Begun to Rain - イッツ・ビガン・トゥ・レイン
6 Dragonfly - ドラゴンフライ
7 Little Sexy Annie - リトル・セクシー・レイン
8 Moonwalk - ムーンウォーク
9 Ⅳ - エンペラー -
§ Band Member §
Frank Marino - フランク・マリノ( G,Vo )
Jimmy Ayoub - ジミー・エイヨブ( Ds )
Paul Harwood - ポール・ハーウッド( B )
当時21歳の若さとジミ・ヘンドリックスの再来と呼ばれていた才能が、新たなヒーローの誕生を証明する
ことになった
このアルバムから大きく変化したのは、メロトロンの導入により、より情熱的なサウンド・プロダクツが
進んだことだと思う
1曲目の" アイム・ゴーイング・アウェイ "からその効果を聴くことができる
もともとフランク・マリノの楽曲は、マイナー・メロディとギターの弾き倒しソロの絶妙な融合からくる
幻想的で不思議な世界観にあった
アルバムでは、もちろんロックン・ロール調なナンバーも挟んでいたが、全体的な視野からすると彼の
そんなフランク・マリノが手にしたメロトロンという神秘系のサウンドは、まさに" 鬼に金棒 "で
フランク・マリノの世界観を正しく増幅させる魔法の楽器だったように思える
メロトロンとシンセの重厚でゆったりとしたイントロから、徐々にドラムとベースが噛み合って、まるで
エンジンがうなりを上げていくような" アイム・ゴーイング・アウェイ "からこのアルバムの密度の
高さを感じる
" イッツ・ビガン・トゥ・レイン "でもメロトロンが大活躍している
とはいっても、プログレッシブのような大仰なそれではなく、あくまでもストリングスの代用という
シンプルなものである
曲の後半では、軽めのジャズ・テイストなパートもあり、一筋縄ではいかないフランク・マリノという
ギタリストの性格みたいなものを垣間見ることができる
いろんな音が鳴り響いて密度が高いが、空間的な広がりも感じさせてくれるのでサウンド全体がクリアで
透明感を感じることもできる
ギターの音が絶えず左右に駆け巡り、さらに音の強弱で前後の距離感を感じられるのでパントマイムで
擬似的に3次元を認識させてくれるのと同じ効果を与えている
" マン・アット・ザ・バック・ドア " " ジ・アンサー " " ドラゴンフライ "などの楽曲は、確かにジミ・
ヘンドリックス・フリークというよりは、まさに生き写しのような部分もある
フランク・マリノというギタリストのセンスは、かなり幅広い音楽性によって支えられているようにも
思われ、フランク自身シンセ・ベース、メロトロンも操るマルチ・プレイヤーぶり、そして当時の
最先端と思われる実験性が強い個性となっていた
ファンキーであり、フュージョン・タッチのアプローチを交えながら、トリオ編成でありながらかなり
奥深いバンド・サウンドを聴かせてくれる
当時のアメリカン・ハード勢の代表格テッド・ニュージェントやエアロスミスと同じマネージメントに
所属していたが、同種の荒々しさも持ち合わせながら、どこかミステリアスな存在であったのは、
こうした異色の音楽性のせいかもしれない
ドラッグの香りがプンプン漂ってきそうな" イッツ・ビガン・トゥ・レイン "でのメロウなセンス、
" エンペラー "でのプログレ・メタル的な展開こそが、このバンドの本領であるように思える