個性 - '81年、4人のエキスパートたちは、新たなる挑戦の旅にでた
興奮 - '82年、4にんはドラゴンに乗りやってきた
期待 - '83年、今新たなる感動が幕を上げる
1982年のデビュー・アルバム" 詠時感~時へのロマン "から17ヶ月ぶり
1983年、エイジアのセカンド・アルバムがリリースされた
イエス、キング・クリムゾン、エマーソン・レイク&パーマーと、それぞれブリティッシュ・ロック・
シーンの一時代を築いてきた4人のエキスパートたちが、80年代のエイジアでは以前の名声を上回る
大きな成功を手にすることになった
エイジアはデビュー・アルバムの発表に合わせて全米ツアーを行った
ツアーのチケットは各地でアルバム発表以前に売り切れとなり、ゲフィン・レコードのデヴィッド・
ゲフィンは" まぁ、スター・ウォーズの映画みたいなもんだね "と言ったという
ジョン・ウェットン、スティーヴ・ハウ、カール・パーマー、ジェフ・ダウンズの結成したニュー・
グループという期待感だけで、まだレコードも発表されてない時点で、コンサートは売り切れになった
ところが多かった
しかし実際は、レコードの発売後の反響のほうが数倍スゴイものがあり、ビルボード誌の82年度の年間
アルバム・チャートの第1位にランクされた
アルバムを仕上げたとき" 成功は望んではいたけどね 期待はすべきじゃなかった "ジョン・ウェットンは
こう言っていた
§ Recorded Music §
1 Don't Cry - ドント・クライ
2 The Smile Has Left Your Eyes - 嘘りの微笑み
3 Never in a Million Years - ネヴァー・イン・ア・ミリオン・イヤーズ
4 My Own Time ( I'll Do What I Want ) - マイ・オウン・タイム
5 The Heat Goes On - ザ・ヒート・ゴーズ・オン
6 Eye to Eye - 悲しみの瞳
7 The Last to Know - 時の旅人
8 True Colors - トゥルー・カラーズ
9 Midnight Sun - ミッドナイト・サン
10 Open Your Eyes - 永遠の輝き
§ Band Member §
John Wetton - ジョン・ウェットン( Vo,B )
Steve Howe - スティーヴ・ハウ( G )
Geoffley Downse - ジェフ・ダウンズ( Key )
Carl Palmer - カール・パーマー( Ds )
今回のアルバムはカナダ・ケベック州モントリオール郊外のスタジオで、レコーディングを進めた
" ここでは何も起こらない、曲を作るには街のほうが浮かびやすいね いろんなことも起こるし、女の子も
多いし "と言っていたジョンだが、レコーディングについては人里離れたといえるスタジオはメンバー
の集中力を高めるにはいい場所であった
アルバムのレコーディングのクレジットを見るとル・スタジオのほかに、トロントのマンタ・サウンドの
名が見られるので、最後の仕上げはトロントで行ったようだ
エイジアのセカンド・アルバムは、ロジャー・ディーンのさらに美しくイマジネーション豊かな
デザインをもってここに登場した
アルバム・タイトルは、ギリシャ文字のアルファベットの最初の1字" アルファ "が選ばれ、当時の
レコードの1面、2面はそれぞれ" アルファ " " ベータ "と名付けられている
デビュー・アルバムでエイジアが目指した点は、メンバーそれぞれが70年代にやってきたことはやらない
という点にあった
ジョン自身の言葉を借りるなら" 70年代にやっていたような長い曲を今もやっていたら僕らはオールド・
ファッションというレッテルを貼られてしまう 今やっている方法なら80年代の波の中に入るチャンスが
あると思った "ということだ
そして、事実彼らは80年代の新しい波を作ってしまった
曲はいずれもタイトな音楽性とキャッチーなメロディ・ラインで誰もが感じやすい詞を持っている
高度な技術を持ったミュージシャンたちが、エネルギーを凝縮させメロディアスな曲を作り上げる
そこに初めてエイジアを聴いたときの驚きと成功が生まれた
記録的なベストセラーとなったデビュー・アルバムに続くセカンド・アルバム
誰もが大きな期待を持っていた中で、エイジアはどんなアルバムを作ったのか
ジョン・ウェットンはこのセカンドについて" 最初のアルバムでは、このバンドからこんなサウンドが
聴けるなんて予想もしなかったね、というわけで、みんなショックを受けたんだ 今度はみんながある
程度の音楽を予想しているわけだし、ショック度も少なくなるから、もっといいものにしなくちゃ
ならないと感じている "
さすがにファミリーからキング・クリムゾン、ロキシー・ミュージック、ユーラヒア・ヒープ、U.K.と
歩んできたジョン・ウェットンは状況をクールに見つめていた
このアルバムを見て気づくのは、全10曲中1曲がジョン・ウェットンの作詞作曲、残り9曲はジョン・
ウェットンとジェフ・ダウンズの共作になる
セカンド・アルバムの作品は、いずれもさらに贅肉を削ぎ落としているように思える
作品はシンプルで、よりキャッチーで、メロデイ・ラインは美しく、しかもデビュー・アルバムの持って
いたあのワクワクさせるようなビートと、透明感あふれる壮大なスケール感をなくしてはいない
デビュー・アルバムでは、まだ部分的に使われていたインストゥルメンタルのソロ・パートを少なくし
徹底したソング・オリエンティッド、歌中心主義をとっている
ファースト・シングルになった" ドント・クライ "から、ファンタジックな" 永遠の輝き "まで、また
新しい冒険の旅に誘い込んでくれる