スペシャル・メンバーで結成された" GTR "
1986年に凄いメンツのバンドが誕生した
元イエス、エイジアのスティーヴ・ハウ、元ジェネシスのスティーヴ・ハケットというギター界の
スーパー・スター2人が手を組んだ
" GTR "は、この両スティーヴに加え元ブロンズにいたマックス・ベーコン、トーヤなどでプレイを
していたフィル・スポルディング、さらにメンバー中唯一1人のアメリカ人でマリリオンに在籍していた
ジョナサン・ムーヴァーの5人で成り立っている
後の3人は、いずれも先に2人居たグループを聴いて育ったわけで、尊敬するアーティストと一緒に活躍
できることを心から喜んでいたのも当然である
これは、バグルス、イエス、エイジアと移ってきたこのアルバムのプロデューサー、ジェフ・ダウンズも
同じである
§ Recorded Music §
1 When the Heart Rules the Mind - ハート・マインド
2 The Hunter - ハンター
3 Here I Want - ヒア・アイ・ウェイト
4 Sketches in the Sun - スケッチ・イン・ザ・サン
5 Jekyll and Hyde - ジキルとハイド
6 You Can Still Get Through - ゲット・スルー
7 Reach Out ( Never Say No ) - リーチ・アウト
8 Toe the Line - トー・ザ・ライン
9 Hackett to Bits - ハケット・トゥ・ビッツ
10 Imagining - イマジニング
§ Band Member §
Steve Howe - スティーヴ・ハウ( G )
Steve Hackett - スティーヴ・ハケット( G )
Max Bacon - マックス・ベーコン( Vo )
Phil Spalding - フィル・スポルディング( B )
Jonathan Mover - ジョナサン・ムーヴァー( Ds )
GTR (2CD DELUXE EXPANDED EDITION)
- アーティスト: GTR
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そもそも、プログレが音楽シーンに確固たる地位を築いたのは1970年代初頭
ビートルズ、ローリング・ストーンズが活動休止、クリームが解散してブリティッシュ・ロックの
衰退が憂慮され始めた1960年代末に、その穴を埋めるべくまず名乗りを上げたのがレッド・ツェッペリン
を頂点とするハード・ロックであり、ジェネシス、イエスの存在はスゴイものがあった
スティーヴ・ハウとスティーヴ・ハケットのグループ内の立場は似通ったものがあった
イエスはジョン・アンダーソン、ジェネシスにはピーター・ガブリエルという曲も作れ、しかも
ヴォーカルを担当するリーダー的人物がいた
したがって両スティーヴはいずれも、その人物が望むような音を出さなくてはいけなかった
元来ロックとは、あらゆる音楽形態を貪欲に自分の内に昇華するものだが、とりわけプログレにおいては
クラシックとの融合という大事業を果たし、さらにブルース、ジャズ・トラッドとあらゆるジャンルの
サウンドを確固たる演奏技術をベースに取り入れるという特色があった
したがってプレイヤーは、あらゆる領域の音楽に精通していることを要求されるのである
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" ハート・マインド "を聴いて思い浮かぶのは、エイジアの" ヒート・オブ・ザ・モーメント "…機械音を
できるだけ入れまいという姿勢に、ミュージシャンの自負が見える
後半にアコースティック・ギターが入るあたりがプログレらしいが、シングルとしての完成度を高める
というやり方は、ジェフ・ダウンズの巧いところで、ヒット・パターンのひとつである
" ゲット・スルー "は低音から力強く始まり、マックス・ベーコンのヴォーカルがシャウトして決まって
いるため、思わずハード・ロックしてしまいそうな楽曲
" イマジニング "は間奏におけるスティーヴ・ハウとスティーヴ・ハケットの掛け合いでは、ハケットが
リズムをキープし、ハウがメロディをプレイ、またドラムとベースがメロディを打ちを行い、ギターも
これに合わせる箇所があるが、これは全員リズム感がないとなかなか巧くいかないものだ
2人は完璧なギター・プレイヤーであることを要求され、どちらも期待に充分応え、多くのギター・
キッズを虜にしてきた
だから1970年代後半からのシンセサイザーをメインにしたエレクトロニクス・サウンドの興隆は彼らに
とって好ましくない状況であり、今ここにギターを全面に出した" GTR "サウンドで、音楽シーンに
衝撃を与えるべく立ち上がったといえた
このアルバムを聴くにあたっては、彼らの通ってきた音楽活動を踏まえ、1970年代に活躍したプログレ・
グループのサウンドを思い起こすことで、スティーヴ・ハウとスティーヴ・ハケットのアルバムに込めた
心意気をさらに感じることができる