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Ultimate Music Album - 極 -


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KANSAS - Leftoverture:永遠の序曲 -

1976年に発表されたKANSASの4枚目のアルバム
シングル" Carry on Wayward Son - 伝承 "が映画『 幸せの旅路 』に起用

 

ジェフ・グリックスマンがプロデュースを担当した通算4枚目の" 永遠の序曲 "は、カンサスという

バンドの可能性をさまざまな側面から表現したアルバムだった

カンサスはアメリカン・プログレッシブ・ロックの最右翼として語れることが多かったが、スター

キャッスルやレヴィアサン、イーソスといったバンドがキーボードを主軸としたサウンドを追求して

いたのに対し、カンサスはスティーヴ・ウォルシュの" 歌 "に比重をおいていたという意味でも、亜流の

アメリカン・プログレッシブ・ロック・バンドとは一線を画していた

このアルバムからは" 伝承 "がシングル・ヒットしている

 

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§ Recorded Music §
1 Carry on Wayward Son - 伝承
2 The Wall - 壁
3 Wha's on My Mind - 深層心理
4 Miracles Out of Nowhere - 奇跡
5 Opus Insert - 挿入歌
6 Questions of My Childhood - 少年時代の謎
7 Cheyenne Anthem - 暗示録
8 Magnum Opus - 超大作
 a. Father Padilla Meet's the Perfect Gnat - ファーザー・パディラと完全なるブヨの対決
 b. Howling at the Moon - 月に吠える
 c. Man Overboard - 船から落ちた男
 d. Industry on Parade - メカニック総出演
 e. Release the Beavers - ビーバーに自由を
 f. Gnat Attack - ブヨの襲撃

§ Band Member §
Phil Ehart - フィル・イハート( Ds )
Steve Walsh - スティーヴ・ウォルシュ( Vo,Key )
Kerry Livgren - ケリー・リヴグレン( G,Key )
Richard Williams - リチャード・ウィリアムス( G )
Robby Steinhardt - ロビー・スタインハート( Vio )
Dave Hope - デイヴ・ホープ( B )

 

LEFTOVERTURE

LEFTOVERTURE

 

 

" 歌 "を大切にしていたが、彼らはシングル・ヒット・バンドではなく大作主義を標榜しながらシングルも

あてるという絶妙のバランス感覚を働かせるユニークなバンドだった

もともと70年代初期のブリティッシュプログレッシブ・ロックに強い影響を受け、その知的感性を

アメリカの土着的な匂いと合体させようと試みたバンドで、このアルバムの後半に登場する大作に

彼らのイデオロギーの質が見事に打ち出されている

カンサスの凄さは、表現力をコントロールする卓越した技術と、アメリカのバンドらしからぬ緻密な

音楽センスにあった

特にこのアルバムではブリティッシュ・ロックの連中も真っ青の起承転結の激しさを主張し" 動 "は

ハード・ロックの側面から、" 静 "はクラシカル・ロックの側面から切り込み、緊張感あふれる音楽

空間を作り出すことに成功していた

" Magnum Opus "を" 超大作 "と名付けた当時のディレクターの気持ちがよくわかる

どこまでも続くドラマティックな曲展開は、英国に対するアメリカの返答の色合いが強く、プログレ

シブ・ロックに対するカンサスの強いこだわりを表現した作品として、マニアの注目を集めた

 

 

ヴァイオリンがカントリーの領域を超越して、アメリカン・ロックの中で語られるようになったのは

このロビー・スタインハートの貢献によるものだ

彼のヴァイオリン奏法は、キーボード主体で構成する当時のプログレッシブ・ロックに大いなる刺激を

与えた

重厚なキーボード、鋭いギターの作り出す音空間の中で、ロビーは感情移入を巧みに操りながら

ファンタジーあふれるメロディを誕生させるのである

このアルバムの随所に彼の感性が鋭い光を与えている

また、歌詞の斬新さも見逃すことはできない

モダンな観察力と幻想的な世界観のコンビネイションは、このアルバムのカバーを伝える神秘的な流れに

見事に符合している

聴き手のイマジネイションに信号を送り続けたカンサスの歌詞は、このアルバムでは、まだ古典への

あこがれが強かったように思う

後にモダン・テクノロジーと伴走してほしいと願うファンには、華麗な躍動感で聴き手の美意識を

くすぐりながら、アメリカのロック・シーンに新しい形のロックを提示することに成功する

 

カンサスの歴史は、70年代にケリー・リヴグレンとデイヴ・ホープ、フィル・イハートがトリオ編成の

バンドを結成したことから始まる

彼らはカンサス州のウェスト・トペカのハイ・スクールの仲間で、フランク・ザッパに触発されてバンド

を結成している

翌71年、父親がカンサス大学の音楽の教授だったロビー・スタインハートが加わり、4人組となった

彼らはホワイト・クローバーと名乗り活動を開始するが、同年ロビーが脱退しバンドは解散、フィルは

新たな刺激を求め72年に英国に渡った

折しもプログレッシブ・ロックの全盛期で、フィルはイエスキング・クリムゾンといったバンドに

強い影響を受けて4ヶ月後に帰国し、再びデイヴ、ロビーとホワイト・クローバーを結成する

さらにスティーヴ・ウォルシュ、リチャード・ウィリアムスを加え、ケリーが復帰

バンド名は6人編成となり、バンド名をカンサスと変え、74年にKirshner Recordsと契約をする