" Don't Look Back - 新惑星着陸 - "
長い航海を経たボストン号のファンタスティックなドラマのパートⅡ
ボストンのアルバム" 新惑星着陸 "は、当時新人グループのセカンド・アルバムにしては珍しく、約2年の
ブランクをおいて発表された
76年に発表したデビュー・アルバム" 幻想飛行 "が驚異的なヒットを記録したため、当初から多少間を
おいた1977年に発表が予定されていたが2度の延期、その理由は、このアルバムの最終的な仕上げで
あるミックス・ダウンに時間をかけたためだった
ボストンのサウンドは、グループを率いる鬼才トム・ショルツの存在なくして語れないが、その彼が
満足しなければ、アルバム発表は再度延期されたかもしれなかった
§ Recorded Music §
1 Don't Look Back - ドント・ルック・バック
2 The Journey - ザ・ジャーニー
3 It's Easy - イッツ・イージー
4 A Man I'll Never Be - ア・マン・アイル・ネヴァー・ビー
5 Feelin' Satisfied - フィーリン・サティスファイド
6 Party - パーティ
7 Used to Bad News - ユースト・トゥ・バッド・ニュース
8 Don't Be Afraid - ドント・ビー・アフレイド
§ Band Member §
Brad Delp - ブラッド・デルプ( Vo )
Tom Schols - トム・ショルツ( G,B,Key )
Barry Goudreau - バリー・グロドー( G )
Fran Sheehan - フラン・シーン( B )
Sib Hashian - シブ・ハシアン( Ds )
幼少のころよりクラシック音楽を学び、マサチューセッツ工科大学卒業後、ポラロイド社の研究スタッフ
として活動していた彼は、1年の時間を費やし" たった1人 "でデビュー・アルバムのデモ・テープを完成
させ、そのサウンドは" 現在可能なたいていのレコードよりも素晴らしいサウンド "という高い評価を受け
注目を集めた
このデモ・テープに忠実にレコーディングされたのが、ボストンのデビュー・アルバム" 幻想飛行 "である
セカンド・アルバムのレコーディングに際しても、この実績がいかんなく発揮されている
作詞、作曲、アレンジ、リード・ギター、キーボード、プロデューサー、エンジニア、ミキサー、そして
アルバム・カバーのデザインにおけるコンセプトまで、1人で手がけている
特にサウンド・プロデュースに関するプロセスは、今回もすべて1人でやってのけ彼の妥協の許さぬ
徹底したサウンド・クラフツマン・シップが、ミックス・ダウンに1年2ヶ月の月日を必要とさせた
レコーディング、ミックス・ダウンは、ボストン郊外にあるトム・ショルツの自宅に作られたハイダ
ウェイ・スタジオで行われている
ボストンのメンバーは各々スタジを持っているが、何といっても最高に設備が整っているのはトム・
ショルツのハイダウェイ・スタジオで、大手レコード会社のレコーディング・スタジオにも匹敵する
クオリティを備えていた
このスタジオで、トム・ショルツが1年2ヶ月も磨きをかけたクリエイティブなサウンドは美の結晶と
いえよう
ボストンのサウンドは、大きく分けてリード・ヴォーカル&コーラス、ディストーションを効かした
ギター・オーケストレーション、リズム・セクションの3つに分けることができ、この3つを1つにする
手段としてアコースティック・ギターが用いられている
ノーマル・トーンのエレクトリック・ギターやキーボードは、ほとんどの場合サウンドにバリエーション
をつけるために用いられている
特に、ギター・オーケストレーションはトムとバリーの双方が普通の弾き方でツイン・リードをとる
パターンと、バリーのほうがボトル・ネック奏法で弾くツイン・リードのパターンがあり、両方共
ハーモニー・スタイル、バトル・スタイル、かけあいスタイルを展開しているので、全部で6つの
パターンが聴かれる
" ノー・シンセサイザー、ノー・コンピューター "とクレジットされているが、トム・ショルツがあえて
クレジットした理由は、このアルバムに収められているサウンドが手作りのものであり、一つ一つ吟味
して味つけした音を根気よく積み重ねていったものだということを伝えたかったのだろう
基本的なところはあまり変化はないが、曲の構成やサウンド・プロデュースに対するアプローチは
変わってきており、ボストンの新しい境地を示していることは一目瞭然だった