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Jeff Beck - ジェフ・ベック -

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世界の頂点に立つ、進化を続けるレジェンド・ギタリスト

 

ロック界最高峰の天才ギタリストのひとりであり、またエリック・クラプトンジミー・ペイジととも

に英国ロックの三大ギタリストとも称されているジェフ・ベック

最近ではやや老成してしまった感の否めないクラプトンやペイジを尻目に、ベックは時折、彼特有の

気まぐれぶりを見せはするものの、今も現役感覚に満ちた緊張感あるプレイを聴かせてくれる

 ❋       ❋       ❋

ジェフ・ベックは1944年6月24日、イギリスのサリー州ウェストンに生まれた

工員をしていたベックが初めてバンドを組むのは1962年、18歳のころだった

ザ・ナイト・シフトを結成したベックは、フェアグラウンドでのギグを始めとしてライヴ活動を開始、

当時バンドはエディ・コクランジーン・ヴィンセントなどを演奏していた

またこのころ、ベックは妹の紹介でジミー・ペイジに出会ったという

1963年夏、ジェフ・ベックはシリル・デイヴィス率いるオールスターズの参加し、はじめてのレコー

ディングを体験、メンバーはニッキー・ホプキンス(p)、クリフ・バートン(b)、カーロ・リトル(ds)と

いったところで、彼らはすでにプロとして活動していた

また、その直後にトライデンツというバンドに参加したベックは、ロンドンの名門クラブ、マーキーや

クラブ100といったハコに出演、そこでトライデンツは、ジミー・ペイジが在籍したニール・クリス

チャン&ザ・クルセイダーズロン・ウッド在籍のバーズなどの前座を務めた

この当時、すでにフィードバック奏法をマスターしていたといわれるベックだが、その彼のギター・

テクニックは周辺シーンで高い評価を呼んでいた

そうした中、ベックはジミー・ペイジの紹介により、あのヤードバーズに参加…1965年3月のことだった

キース・レルフ(vo)、クリス・ドレジャー(g)、ポール・サミュエル・スミス(b)、ジム・マッカーティ(ds)

からなるヤードバーズは、エリック・クラプトンに代わる後任ギタリストを探しているところだった

 

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ジェフ・ベック加入後のヤードバーズは、1965年8月には初の全米公演を実現、またその間にはアルバム

" フォー・ユア・ラヴ "により、正式な全米デビューを果たす一方、いずれも全英3位となったシングル

" ハートせつなく " " いじわるっ娘 "などのヒットもあって、彼らは一躍その名を世界に知らしめることと

なった

ヤードバーズは1965年暮れに" ハヴィング・ア・レイヴ・アップ "、1966年8月には" ジェフ・ベック&

ザ・ヤードバーズ "を発表し、彼らはより知名度を高めたが、その間1966年春にはベックが突如骨髄膜炎

で入院、夏には扁桃腺炎を患い、さらに秋にはそれを再発させ再び入院するというアクシデントが

起きている

また、このころヤードバーズミケランジェロアントニーオ監督の映画『 欲望 』に出演しており

この撮影中ベックはギターを壊すほどの熱演を披露したが、その直後に行った公演中に彼は高熱のために

倒れてまたもや入院することになってしまった

すでにこの当時、ヤードバーズにはジミー・ペイジが加入していたこともあって、1966年暮れに

ベックは健康上の理由からバンドを脱退せざるを得なくなってしまった

 

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ジェフ・ベックヤードバーズを脱退すると同時に、プロデューサーのミッキー・モストとソロ・

レコーディングを開始、1967年に入るとベックは自らヴォーカルを披露するソロ第1弾シングル" ハイ・

ホー・シルバー・ライニング "を発表、これが全英14位となるヒットを記録し、彼は自らバンドを率い

ライヴ活動も開始した

またジェフ・ベックはソロ活動開始まもなくのこの時期、先の曲に加え" タリー・マン " " 恋は水色 "と

シングル・ヒットを放っている

1968年春、ベックはソロ時代に関わった面々を中心に、第一期ジェフ・ベック・グループを結成、ベック

のほか、ロッド・スチュアート(vo)、ロン・ウッド(b)、ミッキー・ウォーラー(ds)という布陣で制作

されたアルバム" トゥルース "を同年8月に発表、また前後してグループはアメリカを中心にツアーを廻る

が1969年2月にロン・ウッドとミッキー・ウォーラーが突如脱退、グループは新たにトニー・ニューマン

(ds)、ダグラス・レイク(b)、ニッキー・ホプシンス(p)を迎えたが、ダグラスがわずか1ヶ月でクビ、

ロン・ウッドを再び迎い入れ次作の制作に入る

その作品" ベック・オラ "は同年の6月に発表されたが、果たしてこの作品は好意を持って迎えられ大反響

を得ることになった

そして、その後グループはアメリカ・ツアーを行なうが、ここではレッド・ツェッペリンとの共演も実現

しかし、グループはそのツェッペリン人気にあてられる格好となり、そのショックもあって第一期

ジェフ・ベック・グループはいきなり解散してしまうのだった

 

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グループ解散から2ヶ月経ったころ、ジェフ・ベックはヴァニラ・ファッジと行動をともにする

ヴィンス・マーテルの急病で予定していた活動をこなすのが困難となっていたヴァニラ・ファッジに

ヴィンスの代役としてベックが参加したのだった

そして、ここでベックはヴァニラ・ファッジのメンバーであるカーマイン・アピス、ティム・ボガートと

意気投合、すぐに新グループを画策したが、1969年11月にベックはロンドンで自ら運転中に自動車事故を

起こし、全治3ヶ月の重症を負ったため、この計画は実現しなかった

1970年2月に退院したベックは、その後エルトン・ジョンのバンドやロード・サッチのステージなどに

ゲスト参加するという活動を行ったが、この間にコージー・パウエルと出会いベックは彼との新たな

グループ結成を思い立つ

そして1971年夏、コージー・パウエル(ds)、ボブ・テンチ(vo)、クライヴ・チェイマン(b)、マックス・

ミドルトン(key)らとともに第二期ジェフ・ベック・グループを結成、同年10月にはアルバム" ラフ・

アンド・レディ "を発表した

1972年5月、第二期ジェフ・ベック・グループはアルバム" ジェフ・ベック・グループ "を発表、これは

全米19位となりかなりの好セールスを記録した

しかしこの後、コージー・パウエルが脱退したのをきっかけに、さらにボブ・テンチ、クライヴ・

チェンマンもグループから脱退、代わりにベックは元ヴァニラ・ファッジで当時カクタスに在籍していた

カーマイン・アピス(ds)、ティム・ボガート(b,vo)を呼び寄せてグループ活動を続行したが、その後の

マックス・ミドルトンの脱退をもって、第二期ジェフ・ベック・グループは終焉を迎えた

 

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1972年9月、ジェフ・ベックは呼び寄せたカーマイン・アピス、ティム・ボガートの3人で、かつて計画

したものの実現せずにいた新バンドの結成を果たした

ベック・ボガート&アピス( 以下BBA )の誕生である

BBAは翌1973年2月にアルバム" ベック・ボガート&アピス "を発表、同アルバムはチャートで全英28位

全米12位を獲得、またスティーヴィ・ワンダーが提供したことでも知られる" 迷信 "のヒットで一躍注目

を浴びた彼らは、クリーム以来の強力なトリオ・バンドとして高い評価を受ける

評価の高かったBBAだが、この前後にスティーヴィ・ワンダーの" トーキング・ブック "やバッジャーの

" ホワイト・レディ "、UPPの" UPP "などに参加したベックは、またもや早くもグループを解散、

気まぐれともいえる行動をとることになる

また同時期にミック・テイラーの脱退に伴い、ローリング・ストーンズにベックが後任として参加、と

いう噂も流れているが、これは結局実現せず、この時期以降ベックはグループ名を掲げての活動を

止めている

 

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再びソロ・アーティストとなったジェフ・ベックは、1975年に初のソロ・アルバムを制作

このアルバムにはフィル・チェン(b)、リチャード・ベイリー(ds)、そしてかつてジェフ・ベック

グループに在籍したいたマックス・ミドルトン(key)が参加、同アルバム" ブロウ・バイ・ブロウ~

ギター殺人者の凱旋 "は、1975年5月に発表されたが、この壮絶なギター・インストゥルメンタル作品は

なんと全米4位を記録するヒットとなった

この後、幾度となくメンバーを入れ替えながらライヴ活動を行っていたベックは、スタンリー・クラーク

ジョン・マクラフリンらとも交友を深め、そして1976年6月に" ワイアード "を発表、同作品は、前作

にも参加していたマックスやリチャードに加えウィルバー・マスコム(b)、さらにヤン・ハマー(key)や

ナラダ・マイケル・ウォルデン(key,ds)らをゲストに迎えて制作されていた

そして前作の続編ともいえ、さらに前作以上にシャープでメタリックな内容となった" ワイアード "は

前作に引き続き全米16位という好チャート・アクションを獲得している

来日や全米ツアーを挟んで、1978年に入るとジェフ・ベックスタンリー・クラークに急接近をみせた

ベックはスタンリー・クラークの" モダン・マン " " プレイ・フォー・ユー "といったアルバムに参加、

そして同年11月には、サイモン・フィリップス(ds)、トニー・ハイマス(key)というバックを従えた

ジェフ・ベック・グループ・ウィズ・スタンリー・クラークとして来日もしている

 

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1980年3月、ヤン・ハマーサイモン・フィリップス、トニー・ハイマス、モー・フォスターを迎え

入れて制作したアルバム" ゼア・アンド・バック "を発表、この後1981年から1984年暮れまでのおよそ

4年間、しばらくジェフ・ベックはソロとしての活動を休止

コージー・パウエルスタンリー・クラークティナ・ターナー、ボックス・オブ・フロッグス、

ロバート・プラントによるプロジェクト、ハニー・ドリッパーズなどの作品にゲスト参加する一方

アムネスティ・インターナショナルへの資金援助を目的とするイベント" The Secret Policeman's

Other Ball "や多発性脳脊髄硬化症という難病に犯されてしまったロニー・レイン( 元フェイセス )

救済のチャリティ・イベント" The Arms Consert "にも出演、さらに1984ロッド・スチュワート

全米ツアーへの参加などもあったが、これは途中で喧嘩別れしたため7回の公演のみとなってしまった

1985年に入るとベックはようやく自身のアルバム制作に着手、久々のアルバム" フラッシュ "は1985年

6月に発表され、同作にはヤン・ハマーカーマイン・アピス、トニー・ハイマスらにゲストでロッド・

スチュアートが参加、またプロデューサーは飛ぶ鳥を落とす勢いだった売れっ子プロデューサー、ナイル

ロジャースとアーサー・ベイカーだった

特にシングルとなった" ピープル・ゲット・レディ "でロッドとベックの共演は話題を呼んだ

 

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1986年以降、ベックはしばらく沈黙するが、1988年暮れに映画サントラ" ツインズ "に参加、ニコレット

ラーソン、アンドリュー・ローチフォードらをヴォーカルに迎えた曲など3曲を提供している

1989年8月、ギター・インストゥルメンタル・アルバム" ギター・ショップ "を発表、そのほか同時期には

マルコム・マクラーレンのアルバム" ワルツ・ダーリン "へのゲスト参加などがあった

1993年、オーストラリア映画の『 フランキーズ・ハウス 』のサウンド・トラックに参加、またベックの

ルーツであるジーン・ヴィンセント&ザ・ブルー・キャップスを彷彿させる作風の、ビッグ・ダウン・

プレイボーイズとの連名アルバム" クレイジー・レッグス "を同年6月に発表している

一方で90年代のベックは、1990年のジョン・ボン・ジョヴィの" ブレイズ・オブ・グローリー "を

皮切りに、バディ・ガイスパイナル・タップロジャー・ウォーターズケイト・ブッシュ、ポール・

ロジャース、ジョン・マクラフリンといったアーティストたちの作人に参加、さらに『 カウボーイ・

ウェイ 』『 リトル・ビッグ・フィールド 』といった映画サントラ作品といったところでもベックの

ギターは活躍した

 

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90年代を通して自身のソロ・アルバムを発表しなかったジェフ・ベックだが、果たして90年代も最後の

年になって、実に10年ぶりとなるソロ名義となるオリジナル・アルバムが届けられた

1999年3月、" フー・エルス "を発表、そして翌年の2000年11月には、日本先行リリースで" ユー・バッド

イン・カミング "が前作から短いスパンで届けられ、さらに2003年8月には前作から2年という早さで

アルバム" ジェフ "が届けられた

このアルバムではいち早くダンスとロックを融合させた最先端のサウンドで注目されているアポロ440が

コラボレイターとして参加しており、よりエレクトロニクスへと近づいたサウンドになったと目された

2010年には" エモーション・アンド・コモーション "、2016年にはデビュー50週年アルバム" ラウド

ヘイラー "を発表している

単純に指が速く動くといったレベルでのテクニックであれば、ジェフ・ベックよりも巧いギタリストは

相当数いるだろう…ただしベックの繰り出すギターは、そうしたテクニックよりも重要なセンスや豊かな

エモーションを感じさせるサウンドといったものにこそ価値があることを教えてくれる

この点は若き天才ギタリストたちには到底マネできない部分である

鮮やかに多彩な奏法を弾きこなすテクニック、変拍子などもこなすリズム感覚、音楽セオリーを知り

尽くしながらあえてそこを外した自在なフレーズを奏でるセンス、また本能に任せた天性のものといって

もいい、エモーショナルで奔放なアドリブなど、天才的と評されるジェフ・ベックのギターは今でも

ロック界最高峰のものであるし、今後もその唯一無二のスリルを感じさせてくれるギター・サウンド

聴かせ続けてくれるに違いない

 

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