前作" 夜明けのランナウェイ "かや約11ヶ月ぶりのスタジオ・アルバム
このアルバムは2つの鍵を握っていた
まず、ボン・ジョヴィというバンドが全米マーケットで前作以上の成功を収めることができるだろうか
後者の問題点はラットのセカンド・アルバムの発表と合わせて考えるべきポイントなのだが少なくとも
前者の問題点は、このアルバムの最大の課題として大きく影を落としていたのだった
前作" 夜明けのランナウェイ "は日本、イギリスで大ヒットとなり、84年度のブライティ・ホープ
No.1のバンドに選出されていた
本国アメリカではシングルは順調に上昇したものの、アルバムは今一歩のところでゴールド・ディスクに
手が届かなかった
§ Recorded Music §
1 In and Out of Love - 恋の切り札
2 Price of Love - プライス・オブ・ラヴ
3 Only Lonely - オンリー・ロンリー
4 King of the Mountain - キング・オブ・ザ・マウンテン
5 Silent Night - サイレント・ナイト
6 Tokyo Road - TOKYO ロード
7 Hardest Part is the Night - ハーディスト・ナイト
8 Always Run to You - オールウェイズ・ラン・トゥ・ユー
9 To the Fire - 真紅の炎
10 Secret Dreams - シークレット・ドリームズ
§ Band Member §
Jon Bon Jovi - ジョン・ボン・ジョヴィ( Vo )
David Bryan - デヴィッド・ブライアン( Key )
Tico Torres - ティコ・トーレス( Ds )
Alec John Such - アレック・ジョン・サッチ( B )
Richie Sambora - リッチー・サンボラ( B )
ボン・ジョヴィの名前を世界中のロック・ファンに浸透させたという意味では、確かに成功したと
いえるが、その斬新なサウンド・スタイルは比類なき成功への切り札でもあった
つまり、スターになるべくして登場したボン・ジョヴィは、スターという十字架を背負ったヒーローで
ありながら" 夜明けのランナウェイ "では傷ついたヒーローを演じてみせたのである
このアルバムのポイントは、傷ついたヒーローが本当のシンデレラ・ヒーローになるのかという、
この一点に凝縮されていた
アルバムの内容は、デビュー作" 夜明けのランナウェイ "の延長線上の作風に主軸をおき新しい実験的な
試みを加味させたアルバムという印象を受ける
まず、" プライス・オブ・ラヴ "とシングル・カットされた" オンリー・ロンリー "が完全に従来の" ライト
サイド "の手法をモチーフにしている
" ハード・サイド "を代表する" 恋の切り札 " " TOKYO ロード " " ハーディスト・ナイト "はボン・ジョヴィ
がニューヨーク出身であることを主張したロックン・ロール志向の強い作品であるし、音創りの点から
すれば" 真紅の炎 "と" シークレット・ドリームズ "は、ボン・ジョヴィの新しい姿を伝え、実験的な要素
を盛り込んだムードを放っているということができる
曲によってはハード・ロックのエネルギーを満載しているパターンもあるが、それはロック・バンドと
して当然の方向性でありポップ・バンドと明確に区別される点である
ボン・ジョヴィはポップなメロディを有してはいるがポップ・バンドではない
かといってハード・ロック・バンドかといえば一概にそうだといい切れる材料は少ない
アメリカン・ロックン・ロール・バンドというテーマに帰着するサウンドが、このセカンド・アルバムの
本流となっている
" 7800°ファーレンハイト( 華氏7800度 )"…" ロックが溶けてしまう温度 "とジョン・ボン・ジョヴィは
説明したが、ロックのあらゆるジャンルが溶けてしまい、すべてが合体した新しいロック・スタイルが
彼らの躍動感は前作からずっと続いていた
ロックン・ロールに乗りながらもサビの部分にサラリと聴かせる絶妙のメロディ、完璧な調和を伝える
ハーモニーの美しさ、B級ロック・バンドにはできない細部へのこだわりが随所に発見することができる
" プライス・オブ・ラヴ "…ジョンが華麗に歌い、リッチーが絶品の技を聴かせ、全員のハーモニーが
水晶のごとく弾け飛ぶ…彼らは現代に再生する魔術師、ボンジョヴィの魅力はここにある