David Sylvianの最高傑作のソロ・アルバム
坂本龍一、土屋正巳、ロバート・フィリップなど豪華ゲストが参加
デヴィッド・シルヴィアンは、ポップな音楽シーンから距離をおき内省的な姿勢で独自の音楽空間や
表現を探求し続けるアーティストである
ジャパン以後の彼のソロ作品は、最初に音楽を耳にしたときから明確なインパクトを感じるような作品
ではなくなっていったが、音楽を聴き込むほどに独自の世界に引き込まれる、こうした内省的で精神的な
サウンドは、ひとつ間違えば独りよがりの単調で自己満足的な停滞にも陥りかねないところだが
シルヴィアンの音楽世界は、地味ながら確実に変化し発展し続けていた
そして、彼の音楽の発展の一因となっているのが、ヴォーカル・ナンバーとインストゥルメンタル作品の
バランスなのではないかと思う
§ Recorded Music §
1 Words With the Shaman - ワーズ・ウィズ・ザ・シャーマン
Pt.1 Ancient Evening - エンシェント・イヴニング
Pt.2 Incantation - インカンテイション
Pt.3 Awakening - アウエイキング
2 Preparations for a Journey - プレパレイションズ・フォー・ア・ジャーニー
3 Steel Cathedrals - スティール・カシードラルズ
このふたつの要素が分解し、あるいは融合することによってサウンドがヴィジュアルな要素と交差し
歌詞が詩的な世界を深め、その表現は確実に変化しているということだ
シルヴィアンのソロ第1作となった" ブリリアント・トゥリーズ "は、一応全曲ともヴォーカル作品では
あるが、その内容はポップなビートを持った曲から、ヴォーカルが楽器のひとつに近くなっている曲まで
混在している
続く大作" ゴーン・トゥ・アース "では、全曲がヴォーカル編とインスト編にはっきりわけられ、それぞれ
に新たな可能性が追求されている
そして、こうした追求が" シークレッツ・オブ・ザ・ビーハイヴ "へと結実する
そうした相乗効果が彼の音楽を常にフレキシブルなものにしているひとつの要因といえる
デヴィッド・シルヴィアンの作品" 錬金術 "は、当初カセットのみで発売された作品
" 錬金術 "のカセットが発表されたのが、ソロ第1作にあたる" ブリリアント・トゥリーズ "と大作" ゴーン
トゥ・アース "の間の時期のこと
この独立したCD化に際しては、カセットの曲もすべてテイクされている
内容は、全曲インストゥルメンタル作品で" プレパレイションズ・フォー・ア・ジャーニー " " スティー
ル・カシードラルズ "がビデオ作品の音楽であったり、舞踏家キャビー・エイジスのダンスのための
音楽を作っていたり、クロス・メディア的な表現を試みるシルヴィアンの作家性の一端を垣間みることが
できる作品になっている
ちなみに" ワーズ・ウィズ・ザ・シャーマン "はジョン・ハッセルとの共作、" スティール・カシード
ラルズ "は坂本龍一との共作で、そのほかはシルヴィアンのオリジナルということになる
テイクされている曲には年代的な開きがあり、内容の方ももちろん一貫したコンセプトで統一されて
いるわけではないが" 錬金術 - 可能性の兆し "というタイトルには注目していいと思う
シルヴィアンの音学におけるヴォーカル作品とインスト作品のバランス、あるいは相乗効果による発展に
ついては述べたとおりだが、この作品はヴィジュアルな要素を音楽に取り込んでいこうとするシルヴィ
アンの姿勢が明確に打ち出された作品であるばかりではなく、ヴォーカル作品とインスト作品の相乗的
な発展の出発点に位置する作品ともいえる
" 錬金術 "とか" 可能性の兆し "といった言葉は、デヴィッド・シルヴィアンというミュージシャンの
音楽性がすべて集約されているようにも思える
David Sylvian デビッドシルビアン / Alchemy - An Index Of Possibilities 輸入盤 【CD】
- ジャンル: CD・DVD・楽器 > CD > ロック・ポップス > オルタナティブ・パンク > アーティスト名・D
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