ラヴ・サウンドの王様
イージー・リスニング界の第一人者" Paul Mauriat "
コート・ダジュールの街は一種独特の雰囲気に包まれている
ニースの小高い丘にそびえる古城から見下ろすと、L・サンジュ湾の海岸線はどこまでも丸く、どこまで
も柔らかい
コバルト・ブルーの地中海、その波打ちぎわに続くいわゆる" イギリス人の散歩道 "にはまだ人影はまだら
ニース…
それは太陽と地中海が接吻し、そして泡立つ海から現れた女神…
これほど、文字通り風光明媚な街" ニース "なのだが現代ならこう書くかもしれない…7月15日、太陽が
泡立つ海にキスをする…すると、フランスをはじめ世界中から人々がこの街にやってくると
§ Recorded Music §
1 El Bimbo - オリーブの首飾り
2 Penelope - エーゲ海の真珠
3 Nocturne - 蒼いノクターン
4 Petite Melodie - そよ風のメヌエット
5 The Green Lake - 窓からローマが見える
6 Adieu L'Ete Adieu La Plage - 渚の別れ
7 Petit Oiseau Mecanique - 可愛いラヴ・バード
8 Cleopatre - クレオパトラ
9 Pegase - ペガサスの涙
10 Romantissima - 地中海の星
11 I Will Follow Him ~ Shariot ~ - 恋のシャリオ
12 Menuetto - 薔薇色のメヌエット
13 Rendez-Vous Au Lavandou - 思い出のランデヴー
14 Aerosong - カリオカの碧い風
エクス・アン・プロヴァンス
マルセイユから高速道路をひと走りで行けるプラタナスの並木と噴水の街
ポール・モーリアの生まれ故郷であるマルセイユの街からほど近い避暑地である
ここではプラタナスの木陰が日向の明るさと徐々にコントラストを強めてくると夏盛り
光と影、その微妙にして強烈なまでの対比で映し出されるエクス・アン・プロヴァンス
キャンバスと絵の具、それにパレットを手にのんびり歩くのが似合うかもしれない
この街外れに、あのセザンヌが一生飽きることなく描き続けた山、サン・ヴィクトワールがそびえている
この町で生まれた彼は、哲学者のように思索し書物を書く代わりに終生サン・ヴィクトワールを描き
続けたという
コート・ダジュールのもうひとつの顔、それはアルプスが真っ直ぐに地中海に落ち込んだあたり、海抜
100mの崖が続くニースからマントンにかけて
眼下に広がる紺碧の地中海、雲ひとつない南フランスの空、そしてオレンジ色の屋根と白壁の家々
どこまでも静寂に包まれた村のたたずまいが、耳を澄ますとオリーブ畑から帰ってくる娘たちの歌でも
聴こえてきそうだ
美しい自然に恵まれた地中海をさらに広く見渡すと、そこには神々の時代を見つめてきたエーゲ海が
広がる…そのスニオン岬の断崖に立つのはポセイドンの神殿
アテネのアクロポリスの丘にはパルテノン神殿、エクティオン神殿、そしてアテナ・ニケ神殿とエーゲ海
を臨むギリシャは何といっても神々の住む地
どこまでも青い空の下に白い大理石の列柱が立ち並び、静寂と光の中で、今この瞬間さえも" 永遠 "の
世界へと導かれていく
無論、それは真昼の太陽の下だけではない…満月の光が列柱の彫刻に陰影を与えるころ、それは絶頂を
極める
まさにギリシャは神と太陽の国であり、エーゲ海はその聖なる母である
コート・ダジュールがいったいどこから始まって、どこで終わるかについては諸説ある
しかし、抜けるような青空、紺碧の海、咲き乱れる花々の中に身をおいた瞬間、もうそのような地名の
境界のことなど、とるに足らないことだと思える
大切にしたいのは" コート・ダジュール "という美しい響きを持った言葉と、この地に降る注ぐ" 光 "に
いつまでも" 永遠 "を続けることではないだろうか