ジョン・ウェットンが求めていたサウンド" Danger Money "
このセカンド・アルバム" デンジャー・マネー "で、バンドの方向性が明確化するとともにバンドでの
エディ・ジョブソンの役割が相対的になったのは必然である
ときに時代的なハモンドの音色を交えた絶品のシンセサイザー・ワークをバックに、キャッチーな
ヴォーカル・メロディを聴かせる楽曲は、ジェラルドやヴィエナなどの日本のブログレッシブ・ロック
バンドたちにも大きな影響を与えたに違いない
ビル・ブラッフォードとアラン・ホールズワースが脱退して、エディ・ジョブソンのフランク・ザッパ
時代の同僚テリー・ボジオ(Ds)が加わった作品
過去のプログレ感覚を要素のひとつとして取り入れたサウンドの心地よさは、プログレ好きのための
プログレといえる
§ Recorded Music §
1 Danger Money - デンジャー・マネー
2 Rendevouz 6:02 - ランデヴー6:02
3 The Only Thing She Need - ジ・オンリー・シング・シー・ニーズ
4 Caesar's Palace Blues - シーザース・パレス・ブルース
5 Nothing to Lose - ナッシング・トゥ・ルーズ
6 Carrying No Cross - キャリング・ノー・クロス
§ Band Member §
Eddie Jobson - エディ・ジョブソン( Key, E-Vio )
John Wetton - ジョン・ウェットン( Vo,B )
Terry Bozzio - テリー・ボジオ( Ds )
- アーティスト: U.K.,エディ・ジョブソン,ジョン・ウェットン
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2016/04/27
- メディア: CD
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ギターレス・トリオになったことと、ジャズ的要素がなくなったためデビュー・アルバム" 憂国の四士 "
よりもさらにポップな印象の曲になっている
当初のジョン・ウェットンによるU.K.のコンセプトが、キーボード&ヴァイオリンのエディ・ジョブソン
をフィーチャーしたトリオ・バンドだったので、ある意味もともとの構成に戻ったといえるだろう
" 憂国の四士 "そしてこの" デンジャー・マネー "でU.K.のアプローチは、プログレッシブ・ロックと
いってもキング・クリムゾン的な精神性の追求よりも、プログレ的サウンド面・演奏テクニック面で
追求しシフトしたものといえる
音の方は後のエイジアの原型になる楽曲…親しみやすい曲、大英帝国まんまの荘厳+サウンド、B3に
よる格調高さ+複雑な展開の曲とバラエティに富んでいる
エディ・ジョブソンはハモンドを黒人ぽく使っていなくて、むしろ白人らしい品よく上品にテクニカルに
使っている
マルチ・プレイヤーのエディ・ジョブソンの活躍が目立ち、ヴァイオリンまで弾きまくりソロを
決めまくる
コンパクトかつポップな楽曲は一聴するとエイジアに近い印象を受けるが、短い曲ながらプログレッシブ
の起承転結を感じさせ" プライド "を強く感じさせる仕上がりである
ここが彼らを" 最後のプログレ "のグループと賛美する要因でもある
メロディ・ラインがポップすぎるために、渋めを好む人には敬遠されることもあるが、このラインで
このグループを超えるものは存在しない
従ってポップなプログレという意味では究極の作品ともいえる
タメの効いたいかにもテリー・ボジオというドラムスによるイントロからして印象的な" デンジャー・
マネー "、変調子と転調の繰り返しに甘美なメロディを組み合わせて、それをコンパクトにまとめた
" 最後のプログレ "の相応しい名曲
ジェネシスの" ファースト・オブ・フィフス "を彷彿させるピアノが印象的な" ランデヴー6:02 " " ジ・
オンリー・シング・シー・ニーズ "は1stを受け継ぐややジャズ・ロック的テイストも感じられる
" シーザース・パレス・ブルース "はヴァイオリン・トリオ編成の曲であり、エディの演奏が目に浮かぶ
ような力強い生き生きとしたプレイが強烈な印象を残し、この曲を聴くとまるでプログレという音楽や
時代が真空パックされているかのような錯覚を受ける
" ナッシング・トゥ・ルーズ "にいたっては、ポップなプログレという意味では、このアルバムの中でも
特に完成度の高い楽曲である
制約された状況下で3人の才能あるトップ・ミュージシャンたちが頑張ってスタジオで作った作品、
英国らしさを色濃く残しつつ天才エディを成長させた意義のある作品である