わずか4年で、" WHAM! "はポップ・シーンから消えた
でも、その歌声はファンの片隅にいつまでも残るだろう
結局のところ、ワム!は82年の5月" ワム・ラップ! "でデビューして以来、わずか4年余りでポップ・
シーンからその姿を消すことになった
その理由はいろいろ取り沙汰されたが、結局はワム!としてやるべきことは全てやってしまったと
いうことになるのだろう
誰しも成功は長く維持したいと思うはずで、そして、そのためにさまざまな努力をしているけれども
大抵は努力虚しく成功の夢は打ち破られ" 過去の人 "となったころにひっそりと解散したり、音楽界を
去っていく
なかなか人気があるときに潔くピリオドを打つというのは難しいし、ファンにしたってもう少し頑張っ
てもいいのにと欲を出す
しかし、何事も引き際が肝心、見向きもされなくなってからそうしたのでは意味なし、スターはスター
らしく、散り際も大事である
成功の幕を自ら上手く下ろすことがもっとも大事で難しいこと、ポップ・スターにはより一層要求される
なぜなら、イメージを傷つけては過去はもとより、未来まで失うことになりかねないからである
§ Recorded Music §
1 Wham Rap! ( Enjoy What You Do? )- ワム・ラップ!
2 Young Guns ( Go for It ) - ヤング・ガンズ
3 Bad Boys - バッド・ボーイズ
4 Club Tropicana - クラブ・トロピカーナ
5 Wake Me Up Before You Go Go - ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ
6 Careless Whisper - ケアレス・ウィスパー
7 Freedom - フリーダム
8 Last Christmas - ラスト・クリスマス
9 Everthing She Wants - 恋のかけひき
10 I'm Your Man - アイム・ユア・マン
11 A Different Corner - ディファレント・コーナー
12 Battlestations - バトルステーションズ
13 Where Did Your Heart Go? - 哀愁のメキシコ
14 The Edge of Heaven - エッジ・オブ・ヘヴン
シビアにみれば、ワム!の解散はジョージ・マイケルとアンドリュー・リッジリーというコンビに限界が
訪れたという事実に突き当たる
もともと、ワム!の音楽的リーダーシップはデビューからずっとジョージがとっていて、作詞作曲から
ヴォーカルまで、すべての面でジョージの一人舞台でアンドリューは単なる相棒でしかなかった
だが、それは結果であってワム!は、この幼友達同士の2人のコンビであって初めて生まれたものであり
仮にジョージ1人でデビューしていたら、これほどの成功を収めることができたかどうかわからない
さらにいえば、もしアンドリューという相棒がいなかったら、ジョージもあり得なかったかもしれ
ないのだ
ワム!はもともと中学校の同級生だったジョージとアンドリューが音楽の趣味が合うということで
意気投合し友だちを集めてバンドを作ったことからスタートする
ジョージは中学時代から作曲をしており、そのうちの何曲かはワム!の作品として仕上げているし
大ヒット・ナンバーの" ケアレス・ウィスパー "は彼が映画館で座席案内のアルバイトをやっていたころに
作ったものというエピソードはあまりにも有名だ
" ワム・ラップ! " " カモン " " クラブ・トロピカーナ "の3曲のデモ・テープがレコード会社の目に止まり
契約となり、シングル" ワム・ラップ! "でポップ・シーンにデビューとなったが、残念ながらこの
デビュー曲はごく一部でしか話題にならなかった
第2段の" ヤング・ガンズ "がスマッシュ・ヒットとなり、ワム!の名前は一躍ポップ・シーンに知れ
わたり、第3段の" バッド・ボーイズ "がまたまたヒットし、彼らの活動はようやく軌道に乗り、スーパー
スターへの道をまっしぐらに歩き始めた
そして、イギリス本国はもとより、ヨーロッパそしてアメリカでもワム!のパワーは大爆発し、デビュー
からわずか2年足らずで彼らは世界中のポップス・ファンの注目の的となってしまった
最も、このトントン拍子の成功が逆にいえば早すぎた解散という事態を招いてしまったような気がした
猫の目のように目まぐるしいポップ・シーンとはいえ、デビューわずか4年で活動をやめてしまうのは
早すぎだし、何より人気・実力ともまだまだ充分というのだから、一般的に考えれば" なぜ解散 "だった
急激な成功による環境の激変、彼ら自身の考え方の変化といったことが、結局はワム!にピリオドを打つ
ことになったと考えるのが妥当なところだろう
レコード会社の移籍後、ワム!サイドとインナービジョン・レコードサイドの間で揉め事もあったようだ
それはさておき、このアルバムは、そんな彼らのファンへの最後のプレゼントともいえるヒット・
ナンバーによるベスト・アルバムである
何かの拍子にレコードだなの中にこれを見つけて、ふっと聴いてみたくなる…
そんなアルバムだと思う