1982年のアメリカン・ロック・シーンにテイク・オフ
1982年、アメリカン・ロック・シーンは急速にロック色を強めていた
J・ガイルズ・バンド、ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ、エイジアのNo.1ヒット、ヴァン・
ヘイレンも久々にシングル、アルバムともに大ヒットし、ジャーマン・ヘヴィ・メタルのスコーピオンズ
もアルバムがトップ10に入るという勢いだった
中でも、アメリカのロック系ラジオ・ステーションで爆発的なエア・プレイをみせていたのがエイジア
だが、次なるヘヴィなエア・プレイが期待されていたのが、この707のアルバムであった
アメリカではアルバムができるのに先駆け、全米のラジオ局に" メガフォース "の12インチ45回転盤が
配布され、レディオ・レコーズ誌のAORラジオ局のエア・プレイ・チャートで25位に初登場となり話題を
呼んでいた
§ Recorded Music §
1 Mega Force - メガフォースのテーマ
2 Can't Hold Back - キャント・ホールド・バック
3 Get for You - ゲット・フォー・ユー
4 Out of the Dark - アウト・オブ・ザ・ダーク
5 Hell or High Water - ヘル・オア・ハイ・ウォーター
6 We Will Last - ウィ・ウィル・ラスト
7 Hello Girl - ハロー・ガール
8 Wright Again - ライト・アゲイン
9 No Better Feeling - ノー・ベター・フィーリング
10 Heartbeat - ハートビート
§ Band Member §
Kevin Russell - ケヴィン・ラッセル( G,Vo )
Tod Howarth - トッド・ハワース( Key,G )
Phil Bryant - フィル・ブライアント( B )
Kevin Chalfant - ケヴィン・チャルファント( Vo )
Jim McClarty - ジム・マクラーティ( Ds )
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ハイ・トーンのよく伸びるケヴィン・チャルファントのリード・ヴォーカル、そしてドライブの効いた
もうひとりのケヴィン、ケヴィン・ラッセルのギター、さらに圧倒するような胸のすくバンド全体の
音作り、キャッチーなリフとメロディ、ノリノリの音作り、さらにどの曲をとっても遜色のないクオリ
ティは、このアルバムの爆発的なヒットを期待させた
アルバムのプロデュースは、ジョージ・タトゥコーとケヴィン・ラッセルの共同プロデュースだが、
シングル・カットで映画のタイトル曲にもなっている" メガフォースのテーマ "だけは、キース・オルソン
のプロデュース( 作曲にはジャーニーのジョナサン・ケインもクレジット )
かつてフォリナーやフリートウッド・マックの1975年に発表した大ベスト・セラー" ファンタスティック
マック "などでエンジニアを担当、この当時はパット・ベネター、リック・スプリング・フィールドの
プロデュースで大ヒット作を次々とヒット・チャートに送り込んでいた敏腕プロデューサーである
残るジョージ&ケヴィンのプロデュース曲にしても、バラード曲" アウト・オブ・ザ・ダーク "を除いては
非常にスピード感のあるサウンドでヴォーカルもギター・ソロもキーボード・ソロも全てガッツとパワー
がみなぎる気持ち良い音作りになっている
メンバーは、非常に多彩なキャリアを持っており、ギター、ヴォーカル、作曲、プロデュースからミキ
シングと大活躍のケヴィン・ラッセルは、父親もミュージシャンで12歳のときから父親のバンドで演奏
していたという
ベースのフィル・ブライアンは、707加入前いくつかのローカル・バンドでプレイしていたようだし、
ドラマー、ジム・マクラーティはデトロイト出身で、707加入前はジャズやオーケストラで演奏して
いたという
その多彩なキャリアと確実なテクニックが大きなエネルギーとなって、このボード・ウォークからの
ファースト・アルバムで結集されている
ただし、彼らにとってこのアルバムがデビュー・アルバムというわけではない、707が結成されたのは
ロサンゼルスで1978年にL.A.のクラブにデビュー、クラブ・シーンで大きな支持を受けるとともに、80年
にはカサブランカ・レコードと契約、" I Could Be Good for You "というシングルが全米ヒット・チャート
にチャート・イン、ビルボード・ホット100の52位まで上がったことがある
当時のメンバーは4人編成だった
バンド名の707は、世界一の旅客機メーカー、ボーイング社のジェット旅客機からつけられ、707は720
727、737、そしてジャンボ・ジェット747へと続くシリーズの1番機で、1号機が飛んだのは1957年、
60年代には燃料消費率の低いターボ・エンジンを付けた型もデビューした
肝心の映画は『 キャノンボール 』のスタッフ・トリオ、ハル・ニーダム( 監督 )、アルバート・S・
ラディ( 制作 )、それにレイモンド・チョウ( 製作総指揮 )で、世界109ヵ国から集められた
超エリート戦士たちからなる緊急機動軍団( メガフォース )の目の見張るような活躍ぶりを描いた
もので、その活動の場は国際的スケール…といったわけで『 キャノンボール 』に続き、超大ヒットを
狙ったスケールのでかい映画ということだったが、パッとしない映画だった