後の日本のポップス、ロック界に影響を与えたバンド
The Ventures
1973年夏もまた日本全国をベンチャーズ・サウンドが全国津々浦々に鳴り響いていた
ドン・ウィルソン、ボブ・ボーグル、ノーキー・エドワーズに、当時新人加入のジョー・ハリルと女性
ヴォーカリスト、スーザン・シュレイバーを加えた新編成ベンチャーズが1973年7月1日の札幌公演を
皮切りに10月初旬まで全国で約1,000回公演を行えば、メル・テイラーをリーダーにジェリー・マギー
ジョン・ダリル、ビル・リンカーン、ボブ・スポルディングの5人組となったザ・ダイナミックスが
7月24日の東京公演から9月6日の千葉公演まで37公演を行うという前代未聞のベンチャーズ・ラッシュ
この異常とも思える公演スケジュールにも関わらず、各地の2つのグループのコンサートは結構の入り
だったというからまたビックリである
§ Recorded Music §
1 Diamond Head - ダイアモンド・ヘッド
2 Slaughters on 10th Avebue - 10番街の殺人
3 Cruel Sea - クルーエル・シー
4 Apache - アパッチ
5 Walk Don't Run '64 - ウォーク・ドント・ラン'64
6 Perfdia - パーフィディア
7 Telster - テルスター
8 Bulldog - ブルドッグ
9 Pipeline - パイプライン
10 Caravan - キャラバン
11 Skylab - スカイラヴ( 未来へのパスポート )
12 Driving Guitars - ドライビング・ギター
13 House of the Rising Sun - 朝日のあたる家
14 Guitar Boogie Shuffle - ギター・ブギー・シャッフル
15 Honky Tonk - ホンキー・トンク
16 Kyoto Doll - 京都の恋
17 Strangers in Mi-Do-O-Su-Ji - 雨の御堂筋
18 Manchurian Beat - さすらいのギター
19 A Taste of Honey - 蜜の味
20 Wipe Out - ワイプ・アウト
§ Band Member §
Nokie Edwards - ノーキー・エドワーズ( G )
Bob Bogle - ボブ・ボーグル( B )
Don Wilson - ドン・ウィルソン( G )
Joe Barile - ジョー・バリル( Ds )
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この人気の秘密はやはり何度となくいわれてきたことだが、頑なまでに自分たちのサウンドを固守し
変化を許さないことがひとつ
そして、もうひとつはファンを愛し、サービスを欠かさないこと
1973年7月29日の日曜日、ベンチャーズの一行5人は忙しい公演の合間をぬって上野の京成デパートで
ファントの交歓会を行ったが、約2時間にわたって彼らは集まったファンの差し出すLPやT・シャツ、
色紙にサインを書きまくった
嫌な顔ひとつせず黙々とサインペンを走らすベンチャーズの面々をみて人気の秘密の一端を知らされた
とか…つまり、いい意味でベンチャーズは芸人に徹しており、プライベートはどうであろうとファンの
前に出たときはいつでも、どこであろうと真剣そのものなのである
❐ Diamond Head - ダイアモンド・ヘッド ❐
猫も杓子もエレキ、エレキと騒いだ1965年の一大エレキ・ブームの頂点にあって熱病のごとく大いに
ブームを煽ったのが、このベンチャーズの最高最大のヒット曲である" ダイアモンド・ヘッド "であった
洋楽ポピュラー盤としては空前絶後ともいえるベストセラーになったことはご存知の通り常夏のハワイ島
ハワイ、そのもっとも有名なワイキキの浜辺にあるダイアモンド岬を描写したもので作者はダニー・
ハミルトン
本国アメリカでは1964年にリリースされた" ウォーク・ドント・ラン Vol.2 "のB面に収められた
❐ Slaughters on 10th Avenue - 10番街の殺人 ❐
" ダイアモンド・ヘッド "を追いかける形で大ヒットしたのがこのナンバー
当時の日本のヒット・パレードで調べるとシルヴィ・バルタンの" アイドルを探せ "に代わって" ダイア
モンド・ヘッド "がトップに立ったのが1965年3月15日で以降4月19日までの6週間連続首位、その後
4月26日から6月21日までの9週間連続トップとなったのがこの" 10番街の殺人 "だった
アメリカでは1965年のアルバム" ベンチャーズ・ノック・ミー・アウト "で紹介された曲で、原曲は
リチャード・ロジャーズとロレンツ・ハートのブロードウェイ・コンビが1936年に発表したミュージカル
" On Your Toes "の歌曲のひとつとして作詞・作曲したもので、ハモンド奏者シャーリー・スコットの
レコードもあった
このベンチャーズの演奏はドン・ウィルソンとボブ・ボーグルのユニゾンがまったく心憎いほどピッタリ
と息があっているところがミソ、メル・テイラーのドラミングもいかにもノッている感じだ
❐ House of the Rising Sun - 朝日のあたる家 ❐
1964年アニマルズ盤で大当たりしたこの曲、アメリカのニューオリンズにその昔あったという" ライジング
サン( 旭屋 )"なる売春宿にたむろする夜の女たちの哀しみを歌ったドラディショナル・ナンバー
民謡学者のアラン・ロマックスが1937年にケンタッキー州ミドルスローボの炭坑で採譜したものだという
そのもともとのオリジナル・スタイルはジョーン・バエズ盤で聴くことができるがベンチャーズの
アレンジはノーキー・エドワーズのソウルフルなリード・ギターを中心にかなり黒っぽく演奏している
❐ Manchurian Beat - さすらいのギター ❐
ヨーロッパの人気バンド、ザ・サウンズが1963年にヒットさせた哀愁のメロディ
原題を" Manchurian Beat "という
" 満州人のビート "というタイトルからして面白いが、たしかにエキゾチックでノスタルジックなムードを
持っている
1971年4月にベンチャーズのシングルでリバイバル・ヒットした