" ダーク・ホース的名盤 " " ファン向け名盤 " " ファン度が出る1枚 "
1981年リリースの4thアルバム" Fair Warning - 戒厳令 - "
アルバム・ジャケットは、カナダの画家ウィリアム・クアレックが1953年に病院で描いた作品で『 The
Maze 』の一部をコラージュしたもの
セールス面やキャッチー度など関係なく、エディ・ヴァン・ヘイレンが切れまくっていたのがこの
アルバムで、楽曲もギターもセンスが爆発している
ヴァン・ヘイレンがほかのハード・ロック・バンドと一線を画しているのは、コードの進行が斬新で
ギターのリフやバッキングのアイディアの豊富さであると思うが、中でもこの" 戒厳令 "が頂点とも
いえるし、エディのギター・テクニックの総集編といえる
ただ、かねてから評価が分かれる作品であり、ヴァン・ヘイレンのアルバムの中では、イマイチ認知度が
低いアルバムでもある
§ Recorded Music §
1 Mean Street - ミーン・ストリート
2 Dirty Movies - ダーティ・ムーヴィーズ
3 Sinner's Swing - シナーズ・スウィング
4 Here About it Later - ヒア・アバウト・イット・レイター
5 Unchained - アンチェインド
6 Push Comes to Shove - プッシュ・カムズ・トゥ・シャヴ
7 So This is Love? - これが愛だって
8 Sunday Afternoon in the Park - サンディ・アフタヌーン
9 One Foot Out the Door - 一歩踏み出せ
§ Band Member §
David Lee Roth - デヴィッド・リー・ロス( Vo )
Edward Van Halen - エドワード・ヴァン・ヘイレン( G )
Alex Van Halen - アレックス・ヴァン・ヘイレン( Ds )
Michael Anthony - マイケル・アンソニー( B )
|
リリース当時、1曲目から今まで聴いたことのないような鳴り始め、何が始まるのかゾクゾクさせられ
ギター・ファンとともに高い次元で満足させてくれるアルバムである
このアルバムの中で聴けるエディのギターのトーンや斬新なギター・テクニック数々、それに輪を
かけてベースとドラムのコンビが今まで以上の一体感、重み、グルーヴ感に磨きがかかり、主役の
エディのギターの最高の引き立て役を演じている
プロデューサーのテッド・テンプルマンも最高の仕事をしている
ギターの音作りも、デビュー当時と比べるとエフェクトを多く使い出してきて重厚さも感じ、エディの
バッキングのセンスの良さが際立つが、サウンド全体はエディのギターのインパクトが強くデヴィッド・
リー・ロスのヴォーカルはやや印象が薄い
全体的にアメリカ的な砕けた雰囲気はなく、真摯に濃密に音を追求している
ある意味でファースト" 炎の導火線 "に近いが、もっとハードで様式美チックな印象を受ける作品である
ただ、これまでにない曲調のものも多く" シナーズ・スウィング " " ヒア・アバウト・イット・レイター "
" アンチェインド " " プッシュ・カムズ・トゥ・シャヴ "などは未だにライヴで演奏することがあるし
好きな人も多いのではないかと思う
この楽曲はキーボードレス時代のものとしては、もっと評価されていいドラマティックな曲だと思う
" ミーン・ストリート "のイントロでは、スラップ演奏とタッピング演奏を複合したギター・テクニックが
披露され、このギター・タッピングはその後の" ギターをキーボード的に弾きまくる "という全世界的な
潮流を決定づけた名演となった
このアルバムは決して聴く方に妥協した産業ロックの香りはない
だからキャッチーで琴線に触れるメロディを多用するものではない、ということがわかるまで時間が
かかってしまう
ただ・ここに入っているグルーヴと一体感、演奏力はさすがに凄いものがある
絶対的にいえることは、エディのギターは普通ではない天才としかいいようのない演奏をしている
いわゆる曲は地味だが演奏が神業という世界が繰り広げられる
はじめに聴いたときに良い曲と悪い曲がはっきりしすぎると思うのは、メロディ・ラインのみ追いかける
と凡庸に聴こえるが、少し聴いてみると、あのギター・ラインが恋しくなってくるから不思議だ
アルバムは全米で5位に達したものの、ヴァン・ヘイレンのオリジナル・アルバムとしてはトリプル・
プラチナに達していないもっとも低いセールスになっているが、ギター・ベース・ドラムというスリー・
ピースでの演奏に可能性を極限まで出し切ろうとする熱意が伝わってくるのが、このアルバム" 戒厳令 "の
魅力ではないだろうか