Sadistic Mica Bandにバンド名を変更して再結成
ヴォーカルに桐島かれんを迎える
1975年に突然の解散をしたサディスティック・ミカ・バンド
元YMOの光が強く残っていた高橋幸宏が主体となって、バブル絶頂期に復活した
女性ヴォーカルに桐島かれんを迎えて、ここにサディスティック・ミカ・バンドは一時的に再結成する
ことになる
スタジアム・ロック的なゴージャズな音色で、ドラムスがスパンスパンいうのが目立ちシンセサイザー
が空間を切り込むように割り込んできてメリハリを付けたり、キラキラしたギター・ソロが伸びやかに
奏でられ、ロマンティックな雰囲気を醸したりといった演出も印象に残り、音楽の質感は高く隙きがない
§ Recorded Music §
1 Boys & Girls
2 脳にファイアー!
3 薔薇はプラズマ
4 賑やかな孤独
5 暮れる想い
6 42℃のピクニック
7 ダシール・ハメット&ポップコーン
8 UN COCO LOCO
9 愛と快楽主義者
10 7 Days,at last
§ Band Member §
加藤和彦( Vo,G )
高橋幸宏( Vo,Ds )
小原 礼( Vo,B )
高中正義( G )
桐島かれん( Vo )
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全体のイメージをつかさどるスタジアム的感触に比して、実際に演っている根幹に音楽や詞世界には、
踏みとどまるような知性や躊躇するような印象も感じられ、やや暗い雰囲気を感じさせる部分もあり
脳天気なイケイケ・ドンドンではない
それを思うと、当時、加藤和彦のような先端を走り続けた人の作品にいうのはおこがましいが、もっと
引き算の方法で完成された同じ楽曲も聴きたく思った
とはいえ、1989年という時代の流行や、バブル景気が絶頂に登っていく時代の空気、それとこのバンドの
メジャーさは、そうはさせなかっただろうとも思う
ギター・ソロが鳴ると、少しフュージョンの感触が現れるあたりに高中正義の存在を感じる
高中正義のうねりだすギターで始まる" Boys & Girls "で復活の幕が上がる
先行シングルとなったこの曲は、マツダ・ファミリアのCMソングにもなり、オリコン13位を記録、
サディスティック・ミカ・バンドとしては唯一オリコン・トップ100入りシングルとなっている
小原礼が低く忍び寄るような声で歌う" 脳にファイアー! "、バック・コーラスには忌野清志郎が参加
加藤和彦のソフトな声を堪能できる" 暮れる想い "、高橋幸宏と桐島かれんのデュエットが甘い雰囲気を
醸しだす" 42℃のピクニック "、高中正義がみんなを南国に世界に案内してくれる" UN COCO LOCO "
など聴きどころ満載である
以前のミカ・バンドとは違って、ヴォーカルに高橋幸宏が加わったこと、小原礼のヴォーカルも増加した
ことにより、相対的に加藤和彦のヴォーカルが減少した
そのため以前のように、加藤和彦のヴォーカルを期待した人には、やや不満の残るものになったのは
否定できないが、昔のままではなく新しいミカ・バンドの型を提示したという意味では評価できる
アルバムになっている
はじめ聴いたときに、スタジアム感が売れ線的なクリエイト方法に感じて、この音楽の高い質感に対して
すごくもったいない感じがしたのだが、聴いていくうちにそのリッチさもバケーション的でいいように
思えてくる…とにかくクオリティが高い
再結成当時、テレビ番組で矢沢永吉とサディスティック・ミカ・バンドが一緒に出演したことがあり
矢沢永吉はキャロル時代に仲が良かったバンドが、サディスティック・ミカ・バンドであり、もっとも
衝撃を受けたのもサディスティック・ミカ・バンドだったと語っている
1976年の日比谷野外音楽堂でサディスティックスが矢沢永吉のバック・バンドを務めたことはあまりにも
有名な話である