TOTOの看板ギタリスト、Steve Lukatherの1stソロ・アルバム
エディ・ヴァン・ヘイレン、スティーヴ・スティーヴンスなど
豪華ミュージシャンが参加
1958年にロサンゼルスで生まれたスティーヴ・ルカサー
TOTOのメンバーとして、またスタジオ・ワークで世界のトップ・ギタリストに数えられ、この
" ルカサー "でいよいとソロ・アーティストとしての第一歩を踏み出した彼が、初めてギターを手に
したのは、1965年7歳のときだった
このときからルカサーの現在に至る" ギタリスト人生 "が始まるわけだが、そんな彼にしても当初から
" ギター "が自分の人生を左右するほどのものになるとは想像もしていなかったようだ
ジミ・ヘンドリックスやエリック・クラプトン、ジェフ・ベックなどをヒーローに、小学校を卒業する
ころ初めて人前で演奏したりと、ごく普通の" ちょっとギター好きな少年 "だったという
そんな彼が本格的にギターの勉強を始めたのが16歳のとき、ジミー・ワイルバースというギタリストに
ついて、レッスンを始めてからだ
§ Recorded Music §
1 Twist the Knife - トゥイスト・ザ・ナイフ
2 Swear Your Love - スウェア・ユア・ラヴ
3 Fall into Valvet - フォール・イントゥ・ベルベット
4 Drive a Crooked Road - ドライブ・ア・クルケッド・ロード
5 Got My Way - ガット・マイ・ウェイ
6 Darkest Night of the Year - ダーケスト・ナイト・オブ・ザ・イヤー
7 Lonely Beat of My Heart - ロンリー・ビート・オブ・マイ・ハート
8 With a Second Chance - ウィズ・ア・セカンド・チャンス
9 Turns to Stone - ターンズ・トゥ・ストーン
10 It Looks Like Rain - イット・ルックス・ライク・レイン
11 Steppin' on Top of Your World - ステッピン・オン・トップ・オブ・ユア・ワールド
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スティーヴ・ルカサーのソロ・アルバム" ルカサー "だが、音を聴く前にある程度ハード&ヘヴィな
仕上がりだろうとは予想していた
TOTOはやはりデヴィッド・ペイチ、ジェフ・ポーカロのバンドであるし、TOTOとは違ったサウンド
だと思っていた…強いていえば" ターン・バック "や" アイソレーション "の路線かと
しかし、オープニングからハードなリフの嵐で、まさかここまで徹しているとは、ルカサーのギターは
マイケル・ランドゥ、ダン・ハフをはじめとした多くのフォロワーを生んできたが、それはあくまで
クリーンなナチュラル・ディストーション・サウンドでのリフ&スケールを飛び越えたメロディアスな
フィンガリングにあり、決してHRやHMバンドの単なる歪んだ音とは確実に一線を画している
しかし、ここで聴けるルカサーのワイルドさは、もはやマルチ・スタジオ・ギタリストの影はほとんど
なく、本来のハードなロックン・ローラーそのものなのだ
マイケル・ジャクソンの大ヒット・アルバム" スリラー "の中の" ビート・イット "もちろん豪快な
ソロはエディ・ヴァン・ヘイレンのものだったが、あの曲の基盤ともなるギター&ベースのユニゾンでの
リフは両方ともルカサーが弾いていた
面白いのは前回は引き立て役だったルカサーが今回は主役であり、変わってエディ・ヴァン・ヘイレンが
ベースで参加している
注意して聴くとピッキングやフィンガリングがギタリストなのだ、" トゥイスト・ザ・ナイフ "で聴く
ことができる
このアルバムで一番ビックリしたことは、全曲ヴォーカル・ナンバーだったことで、これまでも
ファースト・アルバムからリード・ヴォーカルも務めていたルカサーだが、TOTOにかける彼の
ヴォーカルは、ランディ・グッドラムとのコラボレーションがあったりと、バラード・シンガー的な要素
が強く決してハードなナンバーに向いている声とは思えなかった
しかし、ゲスト・ヴォーカリストをフィーチャーすることなく、すべて歌ってくれたルカサーの声が
こんなにもストロングだったとはビックリした
バック・コーラスにリチャード・マークスが参加している" スウェア・ユア・ラヴ "は、すぐにそれと
わかったが、それ以外で例えば本来一聴してすぐにピンとくるロサンゼルスのコーラス隊、トミー・
ファンダーハーグやトム・ケリーの声も埋もれてしまうくらい堂々とシャウトしている
このアルバムではルカサーは思う存分好きなことができたようだ
この" ルカサー "は、当時TOTOの8名目のアルバムになり得なかったが、ファンにとっては、この上ない
プレゼントとなった
未だに衰えることのない日本でのTOTOの人気は、やはりこの人の力だと思う