一歩足を踏み出したBryan Adamsの" Into the Fire "
" ご機嫌なロック・アルバム "を作りたくなかったという意識がありありと理解できるアルバムになって
いるが、商業的には成功を収めることができなかったが、ここには彼の" 陰 "の部分を感じることができる
当時、ただの青春ロック小僧だと思われていた彼が" 脱皮 "を目指して作った
脱皮といえば簡単だが継承しつつ発展させて、なおかつ" 違う "と感じさせるのは並大抵ではない
その並大抵ではないことを成し遂げた故に、前作" レックレス "のようなサウンドを期待した人には
がっかりされたアルバムでもある
§ Recorded Music §
1 Heat of the Night - ヒート・オブ・ザ・ナイト
2 Into the Fire - イントゥ・ザ・ファイヤー
3 Victim of Love - ヴィクティム・オブ・ラヴ
4 Another Day - アナザー・ディ
5 Native Son - ネイティヴ・サン
6 Only the Strong Survive - ストロング・サヴァイヴ
7 Rebel - 反逆者
8 Remembrance Day - リメンブランス・ディ
9 Hearts on Fire - ハーツ・オン・ファイヤー
10 Home Again -ホーム・アゲイン
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彼自身にしてみれば年相応の音楽性を醸し出したにすぎず、相変わらず良質の曲が詰まったアルバムで
あることに疑いの余地はない
ブライアン・アダムスらしくシンプルなサウンドで、" レックレス "よりもテンポを落としてフレーズも
ブルージーである
サード・アルバム" カッツ・ライク・ア・ナイフ "でアメリカでブレイク、前作" レックレス "で世界中で
ブレイクしたブライアン・アダムスだが、今回の" イントゥ・ザ・ファイヤー "では、成功に浮かれること
なくしっかりとした素晴らしい曲を書いている
名バラード" ヘヴン "がヒットした後だったが、" Keep Rockin' "なロック路線を演っている
このアルバムからはシングル・ヒットが" ヒート・オブ・ザ・ナイト "だけなので地味な印象を持たれ
がちだが、ブライアンの渋いギターがたまらない
ロマンティックなイントロから、ブライアンの叫び声と流れていく" ヴィクティム・オブ・ラヴ "、爽快
ブライアン流のロックン・ロール的な" ストロング・サヴァイヴ "…60年代のR&Bテイストが漂ってくる
ビリー・ジョエルのバラードのように始まる" 反逆者 "、変わりゆく時代の流れに対抗し続ける男を
描いている
キャッチーなサビ・メロを持つロック・ナンバー" ハーツ・オン・ファイヤー "などアメリカン・ロックの
ブライアン・アダムスである
" ネイティブ・サン "などは夕焼けに似合いそうだし、最後を飾るのは名バラード" ホーム・アゲイン "
キースのギターのメロディアスさは秀逸、そしてブライアンのヴォーカルも哀愁じみてていい
シングル・ヒットが少ないアルバムだが、逆にいえばベスト盤にテイクされていない良曲がたくさん
テイクされている
判りやすいバラードもなければ、若さあふれる楽曲もない…ここにテイクされているのは、いろいろと
経験し、大人になったブライアンの姿がある
そして前作" レックレス "の大ヒットで一躍スターダムに駆け上がったブライアンが、その壁を乗り越え
ようとし、またミュージシャンとして成長過程にいた当時の姿を生々しく映し出したのがこのアルバムだ
このアルバムは聴けば聴くほどその良さが伝わってくる