ラテン・ロックへの回帰…" 哀愁路線 "がスタートする
それまでの暴力臭さ、宗教臭さ、ジャズ臭さといったさまざまな臭みを消化して、よりポップ色を強め
ダンサンブルな音作りを指向し大ヒットとなった" アミーゴ "
3作目" サンタナⅢ "以降は人間としてはヒンズー教に、ミュージシャンとしてはジャズに傾倒してあれ
これ暗中模索をしていたカルロス・サンタナであったが、アース・ウインド&ファイアーとのツアーで
ひとつの活路を見い出すことになった
アース・ウインド&ファイアーのサウンドにノッて観客達が熱狂的に踊っているのを見て" 俺たちの
サウンドもかつてはこうだったはずじゃないか "と思ったに違いない
無名時代のサンタナを見始めたプロモーターのビル・グラハムは、1975年にバンドのマネージャーとなり
カルロス・サンタナに明快なラテン・ロックへの回帰を勧めたともいわれている
§ Recorded Music §
1 Dance Sister Dance ( Baila Mi Hermana ) - ダンス・シスター・ダンス
2 Take Me with You - テイク・ウィズ・ミー
3 Let Me - レット・ミー
4 Gitano - ジプシー仲間
5 Tell Me Are You Tired - テル・ミー・アー・ユー・タイアド
6 Europa ( Earth Cry Heaven's Smile ) - 哀愁のヨーロッパ
7 Let it Shine - レット・イット・シャイン
§ Band Member §
Carlos Santana - カルロス・サンタナ( G )
Tom Coster - トム・コスター( Key )
David Brown - デヴィッド・ブラウン( B )
Leon 'Ndugu' Chancler - レオン・ンドゥグ・チャンクラー( Ds )
Armando Peraza - アーマンド・ペラーザ( Per )
Greg Walker - グレッグ・ウォーカー( Vo )
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初期の傑作" キャラバンサライ "以降、スリ・チンモイへの傾倒から宗教色を強めてロック・ファンの
支持を失ったいたサンタナが、音楽的な原点回帰を図った
アルバム・セールス面でも再びヒット・チャートにカムバック、このアルバムによってCBSコロムビアは
サンタナとの再契約に踏み切ったといわれている( 5年契約で7枚のアルバム制作 )
アルバム・タイトル" アミーゴ "は当初は" MOKSHA( ヒンズー語で" 自由或は開放の意味 )"になる
予定だったが、急遽ラテン・イメージの強いスペイン語の" AMIGOS "に変更され、アルバムのカバー・
デザインは、ライヴの名作" ロータスの伝説 "を手がけた横尾忠則が担当している
" 原点回帰 "…それは" ダンス・シスター・ダンス "のサウンドにもっとも顕著に現れているし、続く
" テイク・ミー・ウィズ・ユー "は、アルバム" サンタナⅢ "までのサンタナ・サウンドそのものである
" レット・ミー " " レット・イット・シャイン "など、当時のディスコ・ブームの影響を感じさせる
曲もある
カルロス・サンタナのスパニッシュ・ギターで始まる" ジプシー仲間 "は歌詞がすべてスペイン語で
歌われて、サルサというジャンルに馴染みのない人でも、一度聴いただけでハマってしまいそうな曲に
なっている
何度もリフレインされる" ゴッサ・コモ・コソ・ヨッ・アミーゴ "というフレーズは自然と口ずさんで
しまう
グレッグ・ウォーカーを新ヴォーカリストに起用した" アミーゴ "は、サンタナ本来のプリミティヴな
ラテン・ロックの復活を思わせるが、一方で非常に計算されたポップ性を備え持っている
それは当時の主流であったアース・ウインド&ファイアー、タワー・オブ・パワー、グラハム・セント
ラル・ステーションらに代表されるファンク・ミュージックへのサンタナなりのアプローチであり日本で
大ヒットしシングルにもなった" 哀愁のヨーロッパ "に象徴されるセンチメンタルかつ甘いメロディを
持ったムーディな新展開であった
特に" 哀愁のヨーロッパ "は" 君に捧げるサンバ "の延長線上にありながら、さらにそれをポップに昇華
させたスタイルで、この成功を契機にサンタナの" 哀愁路線 "が確立される
また、上述したように" ジプシー仲間 "も、このアルバムのハイライトといえる