再び新たな感動をFOREIGNERが届けてくれた
ロックの歴史にもう1枚名作がここに完成した
フォリナーについては、1987年当時かなり根強く解散の噂が出ていた
すでに81年の" 4 "のアルバムで、5枚のシングル・ヒットをさせ前作" プロヴォカトゥール "から" アイ・
ウォナ・ノウ "という世界的なビッグ・ヒットを生んでいた
その勢いに乗って、アルバムを早期に発表するかと思っていたが、メンバーは別の可能性を求めて動き
出していた
即ちルー・グラムのソロ・アルバム" レディ・オア・ノット "の発表がそのひとつだ
ルーの旧友たちとともに作り上げたこのアルバムは、ルー・グラムの新しい可能性を示唆し、解散説を
納得させる充分な要因となった
そしてまたミック・ジャガーはヴァン・ヘイレンの" 5150 "を共同プロデュースし、プロデューサー、
ソングライターとして進むことも、これまた納得できることだった
§ Recorded Music §
1 Heart Turns to Stone - ハート・ターンズ・トゥ・ストーン
2 Can't Wait - キャント・ウェイト
3 Say You Will - セイ・ユー・ウィル
4 I Don't Want to Live Without You - ウィズアウト・ユー
5 Counting Every Minute - カッティング・エヴリ・ミニット
6 Inside Information - インサイド・インフォメーション
7 The Beat of My Heart - ビート・オブ・マイ・ハート
8 Face to Face - フェイス・トゥ・フェイス
9 Out of the Blue - アウト・オブ・ブルー
10 A Night to Remenber - ナイト・トゥ・リメンバー
§ Band Member §
Lou Gramm - ルー・グラム( Vo )
Mick Jones - ミック・ジョーンズ( G,Key )
Rick Wills - リック・ウィリス( B )
Dennis Elliott - デニス・エリオット( Ds )
|
確かに現状は解散にまで至っていたが、ルー・グラムとミック・ジョーンズはニューヨークにあるルーの
家で問題点を話し合い、解決し、このアルバムのレコーディングに臨んだといわれている
前作から3年経過してしまったこの" インサイド・インフォメーション "は、前作のようにプロデューサー
の交代劇があったり、ゴスペル・コーラスを加えたりといった手の混んだことはやっていない
アルバムはこれまでになくシンプルでストレートに仕上げられていて、原曲の良さをそのまま小細工
しないで表現している
解散説の後でできあがったこのアルバムでは、ミック・ジョーンズは贅肉を剃り落としたフォリナーの
磨きぬかれたロックを披露してくれているし、さらに表現力を増したルー・グラムのヴォーカルと
シンプルでタイトなリック・ウィルスとデニス・エリオットのセッション…
アルバムは" ハート・ターンズ・トゥ・ストーン "という極めつきのロックン・ロールで始まり、" カウン
ティング・エヴリ・ミニット " " ナイト・トゥ・リメンバー "といった曲でもノリのいいロックン・ロール
を披露している
そしてミディアムからスローな珠玉のメロディを持った作品もいくつか、" ガール・ライク・ユー "の
流れをくむ" ウィズアウト・ユー "、ファースト・シングルとなった" セイ・ユー・ウィル "の歌い出し
には、ドキッとさせられるものがあるし" アウト・オブ・ブルー "も美しい
" ヒート・オブ・マイ・ハート "で聴けるアコースティック・ギターからヘヴィなエレクトリック・ギター
への展開は、また新しい方向性を示している
ミック・ジョーンズにとってフォリナーは充分まだ面白くやっていける対象であったということで
これが解散説をも吹き飛ばした
アルバム" 4 "をロバート・ジョン 'マット' ラングと、" プロヴォカトゥール "をアレックス・サドキンの
共同プロデュースした後で、この" インサイド・インフォメーション "は遂にミック・ジョーンズの単独
プロデュース・アルバムとなった
前作のようにプロデューサー交代で時間をくったりするのは沢山だと思ったのか…
フォリナーのことは、ミック・ジョーンズ自身が一番良く知っているし、フォリナーの個性をもっとも
ストレートに表現したアルバムができあがった
オーバー・ダビングも極力押さえられ、曲自体の持つクオリティの高さ、ロックン・ロールの持つ勢いと
緊迫感がアルバムに収められている
外部からは、再びトンプソン・ツインズのトム・ベイリー、そしてゴー・ウエストのアルバムなどに参加
しているピーター・ジョン・ヴェセッテらが参加している
このフォリナーのアルバムは、その時代の流行の音を追うのではなく、いい曲といいヴォーカルがいかに
大切かということを教えてくれた