" 禁じられた夜 " " グッド・トラブル "のヒットから
長い充電期間を経てリリースした" Wheels Are Turnin' "…まさにREO
前作" グッド・トラブル "からシングル" キープ・ザ・ファイアー・バーニン "がヒット、次いで
" スウィート・タイム "も発表したが、それからしばらくシングル発表ばかりかライヴ活動も停止して
しまい、当然のようにグループの解散、休止といった噂も当時飛び交っていたREOスピードワゴン
" 禁じられた夜 "で日本にも彼らの名を一躍知らしめることになり、何曲ものシングルがヒット、加えて
彼らの精力的なライヴ活動もあり、アルバム・チャートのトップに立ち、80年代初頭のロング・セラー・
アルバムになった結果、アメリカを代表するロック・バンドとして名声を得るに至った
それに続いた" グッド・トラブル "が普通に見れば充分な記録を残しながらも、驚異的な売り上げとなった
" 禁じられた夜 "に較べれば、いささか見劣りするのものであったこと、加えてデビュー以来11年間、
休みなしにライヴとレコーディング活動を繰り返してきた彼らとしては、長い休養を要する時間にきて
いたともいえる
それまでの活動ぶりからすれば納得のいく出来事であり、充分なリフレッシュを図ったといえる
§ Recorded Music §
1 I Do Wanna Know - 愛は気ままに
2 One Lonely Night - ワン・ロンリー・ナイト
3 Thru the Wondow - スルー・ザ・ウィンドウ
4 Rockn' Roll Star - ロックン・ロール・スター
5 Live Every Moment - リヴ・エヴリ・モーメント
6 Can't Fight This Feeling - 涙のフィーリング
7 Gotta Feel More - ガッタ・フィール・モア
8 Break His Spell - ブレイク・ヒズ・スペル
9 Wheels Are Turnin' - ホイールズ・アー・ターニン
§ Band Member §
Kevin Cronin - ケヴィン・クローニン( Vo )
Gary Richrath - ゲイリー・リッチラス( G )
Bruce Hall - ブルース・ホール( B )
Neal Dougty - ニール・ドーティ( Key )
Alan Grazer - アラン・グラッツァー( Ds )
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アルバムの内容は、REOスピードワゴンの真価とその本領を問うものといえる
興味をそそられるのは、生音主体のサウンド作りであること
当時の音楽シーンにおいては、エレクトロニクス機材をふんだんに起用し、それが手腕に長けたグループ
などですら、その機材を使ってよりアップ・デイトな音作りをみせるものだったが、彼らはその種の
機材の起用を避けているようであり、それらの風潮に対する反発の姿勢もくみとれる
つまり、ギター、ベース、ドラム、キーボードといったロック・バンド本来のスタイルによる、しかも
彼ら自身これまでのスタイルを踏襲した音作りを基調にしている
そして注目すべきは曲作りであろう…ストレートなロック調にどこか哀愁味ある泣きのメロディが挟み
込まれれた作品を特徴づけるとともに、親しみやすさを覚えさせる大きな要因にしてきたということ
それも50年代、60年代の昔に遡るポップス、ロックン・ロールのポップ・センスを含んでのもので、
そうした特徴がここではより発揮され親密度を高めている
お手のものともいえる本来の持ち味をフルに生かし、余裕のある無理のない歌と演奏を楽しませてくれる
" 愛は気ままに "はいかにもREOらしいブギ・シャッフル調のナンバーで、演奏は実に豪快
ニール・ドーティが書いた" ワン・ロンリー・ナイト "はミディアム・スローの哀愁味あふれるナンバーで
一人ぼっちで過ごす夜の孤独の様がリアルに伝わってくる
" スルー・ザ・ウィンドウ "はレゲエ風のアクセントをつけたミディアム調のロック・ナンバーで、窓から
そっと抜け出し待ち続けている恋人のもとに走る男の様が歌われているし、" ロックン・ロール・
スター "は" ロックン・ロール・バンドなんかに入って人生を無駄にしちゃいけないよ "と母親が言い
聞かせたのに反抗し、母親を見返してやるとばかりロックン・ロール・スターを目指して家を飛び出して
いった少年がその望みを実らせるという話だが、もっともそれだけじゃなくオチもついている
そして" リヴ・エヴリ・モーメント "はケヴィンの作品で、一時一時を無駄にせず大切に生きていこうと
いうところか
そして何といっても" 涙のフィーリング "、友情がいつの間にか愛情に変わり、その気持を抑えられなく
なってしまった男の苦悩の様を歌ったものだが、単にそれだけの話しではなく、もしかして許されざる
恋の話と思わせるところもある
以前、ケヴィンが男の背徳を歌ったことがあっただけに、この曲の背景に興味がそそる
" ガッタ・フィール・モア "はケヴィンとゲイリーにトム・ケリーが加わっての共作で、かつて出会った
ことのなかった恋人の出現と、その人への募る想いが歌われている
どこか不気味でスリリングなサウンドを持っている
" ブレイク・ヒズ・スペル "は、男に泣かされボー然としている女性を慰めるという内容でREOらしい
作品のひとつといえるし、ラストはアルバム・タイトル曲の" ホイールズ・アー・ターニン "でサザン・
ロック風の泥臭さも窺わせるワイルドなロックになっている
骨太なたくましさを感じさせる曲、演奏を聴くことができる