FOREIGNERの5thアルバム" Agent Provocateur "
内側と外側を通して人生のスパイの話を歌ったコンセプト・アルバムで、イギリスでは最初で唯一1位を
獲得し、アメリカでは4位に達した
アメリカでのアルバムの売り上げは、前作" 4 "よりも少なかったが、バンドでもっともヒットした
シングルで、アルバムの愛のテーマである" アイ・ウォナ・ノウ "をテイクしており、この曲はバンドで
唯一、イギリスとアメリカで1位を記録し、それぞれ3週間と2週間トップとなった
これに続くシングルの" イエスタディ "は、アメリカで最高12位にヒット曲となった
§ Recorded Music §
1 Tooth and Nail - トゥース・アンド・ネイル
2 That Was Yesterday - イエスタディ
3 I Want to Know What Love is - アイ・ウォナ・ノウ
4 Growing Up the Hard Way - グローイング・アップ
5 Reaction to Action - リアクション・トゥ・アクション
6 Stranger in My Own House - ストレンジャー・イン・ハウス
7 A Love in Vain - ラヴ・イン・ヴェイン
8 Down on Love - ダウン・オン・ラヴ
9 Two Different Worlds - トゥー・ディファレント・ワールズ
10 She's Too Tough - シーズ・トゥー・タフ
§ Band Member §
Lou Gramm - ルー・グラム( Vo )
Mick Jones - ミック・ジョーンズ( G,Key )
Rick Wills - リック・ウィルス( B )
Dennis Ellott - デニス・エリオット( Ds )
|
4枚目のアルバムで頂点を極めたあと、当時イエスの" ロンリー・ハート "のヒットで注目を浴びていた
プロデューサーのトレヴァー・ホーンに食指を立てた彼らだったが、一緒にレコーディングするものの
なぜかその出来に満足せず、それをボツにしてあげくに新たなレコーディングを行い、このアルバムを
完成させたと伝えられている
その出来だが、キーボードを中心に作り上げられた曲が前作よりかなり多い印象を受ける
ミック・ジョーンズのギターは、時代に合わない地味なものだったが、それをキーボードという武器に
替えたことで、楽曲の巾が広がっている
プロデューサーとしてもヴァン・ヘイレンの" ドリームス "やビリー・ジョエルの" ハートにファイア "
などを生み出していくので時代をよく読んでいたと感じることができる
アルバムの冒頭を飾るのは" トゥース・アンド・ネイル "、アグレッシブで挑発的なギターと、ソリッドな
シンセサイザーが融合したヘヴィでタフなアップ・テンポ、テンションが上がるナンバーになっている
続く" イエスタディ "は、前作" 4 "の" ガール・オン・ザ・ムーン "を思わせる幻想的で愁いを帯びた
メロディが琴線に触れるミッド・テンポで、ルー・グラムの伸びやかなヴォーカルが楽しめる
" アイ・ウォナ・ノウ "、物憂げで内省的なヴァースから、月夜を思わせる幻想的なブリッジを経て
ゴスペル風の温もりのあるコーラスをしたがえたソウル・フルなサビへと展開する感動的なバラードで
上述したように、全米で1位を記録している
この序盤3曲は、前作" 4 "を再現したかのような素晴らしい出来になっている
劇的なサウンドで幕を開けるのが" ラヴ・イン・ヴェイン "、ドライブ感のあるタイトなギター・リフで
突っ走る痛快なアップ・テンポ" シーズ・トゥー・タフ "、どこか陰のあるメロディからルー・グラムの
シャウトとともに豪快なサビを展開する" グローイング・アップ "あたりもいい感じはするが、前作" 4 "
では5曲ものシングル・カットに曲も粒ぞろいだったので、それを基準にしてしまうと今ひとつ物足り
ない感じがしてしまう
前作の大ヒット( 全米10週連続1位、1,500万枚を超える空前のベストセラー )は、アーティストに
とっても重圧になったであろうし、ファンの方も次作に対する期待が高くなり過ぎてしまったこともある
また、3年半というブランクが空いたことも不運だったような気もする
ただ、痛快なハード・ロックン・ロールにブルージーで陰のあるミッド・テンポ/バラード、そして
ルー・グラムのソウル・フルでタフな歌声という唯一無二のフォリナー・サウンドは不変
そういう意味では、前作同様のファンにとっては忘れがたい1枚である