Larry Carltonのワン&オンリーなギター・プレイを世に知らしめ
当時のギター・キッズに多大な影響を与えた最高傑作
当時、子供でも魅せてしまうほどのノリの良い作品であったことはいうまでもなく、とにかくギター、
ベース、ドラム、キーボードというあまりにシンプルな構成故、なおさら個々の技術が浮き彫りになる
シンセサイザーや凝った録音技術に頼らざるとも、しっかりとした曲作り、そしてプレイヤーたちの
力量でこれほど人を惹きつけ、忘れられない音楽が作れることをいい聞かせてくれるアルバムである
特に" ポイント・イット・アップ "のまるで素潜り名人のようなもの凄く息の長い、それでいてまったく
無駄のないフレージングは圧巻…聴いていて息苦しくなるほどだ
これほどまでにアイディアが枯渇しないプレイは滅多に聴けるものではない
凡人は途切れ途切れにしかアイディアが浮かばないものだ
§ Recorded Music §
1 Room 335 - ルーム335
2 Where Did You Come From - 彼女はミステリー
3 Nite Crawler - ナイト・クロウラー
4 Point It Up - ポイント・イット・アップ
5 Rio Samba - リオのサンバ
6 I Apologize - 恋のあやまち
7 Don't Give It Up - 希望の光
8 ( It Was ) Only Yesterday - 昨日の夢
§ Member §
Larry Carlton - ラリー・カールトン( G,Vo )
Greg Mathieson - グレッグ・マティソン( Key )
Abraham Laboriel - エイブラハム・ラボリエル( B )
Jeff Porcaro - ジェフ・ポーカロ( Ds )
Paulinho Da Costa - ポリーニョ・ダ・コスタ( Per )
ジャズ・フュージョン界を代表するギタリスト、作曲家で6歳のころからギターを始め、ハイスクール
時代にはブルース・ギタリストのB.B.キングやジョン・コルトレーンに影響を受けたという
その後、偉大なジャズ・ギタリストのジョー・パスに師事を受け、クルセイダーズ脱退後のソロとして
出した3作目のアルバムが、このアルバム" 夜の彷徨 "である
録音は1978年、当時日本でもフュージョン・ブームのさなか、ジャズ、ソウル、ロックなどのポップ音楽
をミックスした独自の音楽性は一躍、世界最高のフュージョン・ギタリストとして名声を得る
楽曲のキャッチーさ、バックのツボを押さえた堅実な演奏にカールトンのギブソン335の甘く渋い音色
メロディアスなチョーキング、すべてが高度にバランスしていて、時代を代表するフュージョンの名作が
生まれた
カールトンのプレイを聴いていると" ギタリスト "ではなく" ミュージシャン " " アーティスト "なんだと
痛感する
" 彼女はミステリー "と" 恋のあやまち "がヴォーカル曲で、ほかの6曲はインストゥルメンタル・ナンバー
生き生きとしたギター・サウンド、流れるようなフレーズが最高な" ルーム335 "、ファンキーなバック
演奏にカールトンのギターがブルージーに歌う" ナイト・クロウラー "、ロック・ファンも喜ぶであろう
弾きまくりギターの" ポイント・イット・アップ "、サンバのリズムのカールトンのフレージング・センス
が光る" リオのサンバ "と、テクニックはもちろん素晴らしいが、やはりフィーリングあふれる演奏
フレージングの素晴らしさが、ほかのギタリストと一線を画している
このアルバムは、上述の" フィーリング " " フレージング・センス "がギュッと詰まった1枚である
また、" ルーム335 "は、やはり超名曲で超名演、ジャンルの違いはあれ一度は聴いてもらいたい
フレージング、サウンド、楽曲のクオリティ、すべてにおいてとてつもなく高い水準にある
ただ、ロックン・ロールやブルースのような、いい意味で土臭い音楽およびギター・プレイが好きな人に
とっては、ラリー・カールトンのプレイはソフトでマイルドに響き、多少食い足りなさを感じると思う
エリクトリック・ギターの、いわゆる" 教科書 "的な作品と呼んでも差し支えない
破綻のないプレイ、サウンドには好き嫌いが分かれると思うが、少なくともエレクトリック・ギターに
興味のある人は、一度聴いておいて損はないと思う
TOTOの名ドラマーであったジェフ・ポーカロが参加しているからという訳ではないが、TOTOの
ような曲やサウンドが好きな人の耳には、すんなり入ってくるんじゃないかと思う