GenesisのメンバーMike Rutherfordのソロ・プロジェクトとして発足
サイド・プロジェクトとして定着したMike & The Mechanics
1985年発表のファースト・アルバム、全曲がマイクとクリストファー・ニールの共作になっており、
実質的なマイクのソロ作とみるべき作品だが、今までの作品と大きく異なるのはヒット曲がでたことに
尽きるだろう
このヒットのおかげでグループは本作以降もジェネシスの活動休止期に断続的ではあるものの長きに
渡って活動していくことになる
サウンドは典型的な80年代モノでシンセサイザー主体となっているが、ヴォーカル陣の素晴らしい歌声と
うまくマッチし、全体的にポップな曲調も多いが、ジェネシス・ファンが期待する重めの雰囲気…
いわゆる英国風というやつはしっかりと残っている
§ Recorded Music §
1 Silent Running - サイレント・ランニング
2 All I Need is a Miracle - オール・アイ・ニード・イズ・ア・ミラクル
3 Par Avion - パー・アヴィオン( 航空便 )
4 Hanging by a Thread - 危機一髪
5 I Get the Feeling - アイ・ゲット・ザ・フィーリング
6 Take the Reins - 愛の支配
7 You Are the One - ユー・アー・ザ・ワン
8 A Call to Arms - ア・コール・トゥ・アームズ
9 Taken In - テイクン・イン
§ Band Member §
Mike Rutherford - マイク・ラザフォード( G,B )
Paul Carrack - ポール・キャラック( Vo )
Paul Young - ポール・ヤング( Vo )
Peter Van Hooke - ピーター・ヴァン・フォーク( Ds )
Adrian Lee - エイドリアン・リー( Key )
ジェネシスから各メンバーのソロを聴いたが、このマイク&ザ・メカニックスは本家をある意味上回る
ほど傑出した存在で、楽曲の音数が少なくムダな音を発せず、シンプル・ソリッドでここまで聴かせる
点がまず特筆できる点である
ただ、それだけでは飽きてしまう可能性が大だが、何よりメロディがあまりに素晴らしく、これほどの
美しい楽曲はまず聴くことはできないじゃないかと思った
ジェネシスでは、フィル・コリンズが目立ちすぎてほかのメンバーは地味にみえてしまいがちだが
マイク・ラザフォードの才能がこんなにスゴイとは思わなかった
曲自体に派手さはないが、キラキラしたシンセ・サウンドを絶妙に効かせたアレンジはセンスよく洗練
されていて、大人向きのポップなロックといった感じである
当時はフィル・コリンズのソロが大ヒットし、86年のジェネシス・ファミリー大ブレーク直前の時期
このアルバムもジェネシス・ファミリー大ブレークに大きく勢いをつけたアルバムだった
1曲目の" サイレント・ランニング "のPVが連日テレビでオンエアされ大々的に宣伝され大ヒットを記録
その後も" ミラクル " " テイクン・イン "と3曲がヒット、アルバムも大ヒットした
このアルバムが成功した理由は2人の声質の違うヴォーカリストの起用と、2人の作曲家を起用したことだ
( B.A.ロバートソンとクリストファー・ニール )
9曲目だけがフィル・コリンズ、トニー・バンクス、マイクの共作で、緊張感のある曲になっている
マイク&ザ・メカニックスのスタート地点になったセルフ・タイトルのデビュー作、ポール・ヤングを
ヴォーカルにフィーチャーしアップ・テンポな" オール・アイ・ニード・イズ・ア・ミラクル "が全米5位
ニュー・ウェーヴ風ロックといった" サイレント・ランニング "が全米6位と立て続けに大ヒット、さらに
アルバムが全米トップ30入りを果たすなど" サイド・プロジェクト "としては予想外の大成功を収めた
クラシック・ロックとニュー・ウェーヴの要素を織り交ぜたイギリス風のAORといった趣の楽曲は、
イギリスやアメリカだけでなく、各国のラジオでも人気を集め、そのポップなロック・サウンドは
21世紀の今聴いても少しも色褪せてはいない
マイク&ザ・メカニックスが一時的なプロジェクトに終わらず活動を続けてこれたのも、このデビュー
アルバムの大成功がひとつの大きな要因となっているのは違いない
超ロングラン・プロジェクトの原点がここにある