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Ultimate Music Album - 極 -


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冨田 勲 - Snowflakes Are Dancing:月の光 -

" トミタ "のシンセサイザー・デビュー・アルバム
たちまち全世界で空前の大ヒットとなり" トミタ "の名を一躍知らしめた

 

ワルター・カルロスの" スイッチト・オン・バッハ "に衝撃を受けた冨田勲は、モーグシンセサイザー

個人輸入し自宅に電子音楽スタジオを作って、シンセサイザー音楽作家としての活動を開始、その

処女作" 月の光 "は、ドビュッシーピアノ曲をシンセ作品としたもので、アメリRCAレコード

から1974年にリリース、当初コロムビアをはじめ日本国内のレコード会社各社に発売を持ちかけたが

すべて断られた、というのは有名な逸話である

結果として、ビルボード・クラシック・チャート2位、日本人として初めてグラミー賞ノミネートという

" 箔 "をつけて日本に逆輸入されることになった

無機質な音響という従来の電子音楽のイメージを根底から覆し、シンセ音楽の可能性を世界に知らしめた

斬新かつ衝撃的な作品であり、" 月の光 "を冨田勲作品の最高傑作とするファンも多い

 

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§ Recorded Music §
1 Snowflakes Are Dancing - 雪は踊っている(「子供の領分」第4曲 )
2 Reverie - 夢
3 Estampes:Gardens in the Rain - 雨の庭(「版画」第3曲 )
4 Suite Bergamasque - 月の光(「ベルガマスク組曲」第3曲 )
5 Arabesque No.1 - アラベスク第1番
6 Preludes,BookⅠ:The Sunken Cathedral - 沈める寺院(「前奏曲集第1巻」第10曲 )
7 Suite Bergamasque:Passepied - パスピエ(「ベルガマスク組曲」第4曲 )
8 Preludes,BookⅠ:The Girl with the Flaxen Hair - 亜麻色の髪の乙女(「前奏曲集第1巻」第8曲 )
9 Children's Corner:Golliwogg's Cakewalk - ゴリウォーグのケークウォーク(「子供の領分」第6曲 )
10 Footprints in the Snow - 雪の上の足跡(「前奏曲集第1巻」第6曲 )

 

 

 

 

作曲家の冨田勲が、モーグⅢを駆使して自作スタジオで作り上げた最初のクラシック音楽のシンセサイ

ザー音楽化アルバム、アメリカでは1974年4月に発売されたが日本ではそれより遅れて同年8月に

リリース、収録曲はいずれもピアノの原曲だが、特に秀逸なのは壮大さの際立つ" 沈める寺 "、叙情の

極み" 亜麻色の髪の乙女 "、別世界へと誘うような" 夢 "だろう

アメリカでグラミー賞ノミネートもされ、冨田勲も" 展覧会の絵 " " 火の鳥 "と立て続けに新作を発表し

すでに確立していた作曲家としての名声を上回るほどのシンセサイザーの巨匠との評価を得られたのは

周知の通りである

 

 

亜麻色の髪の乙女

亜麻色の髪の乙女

  • 冨田 勲
  • エレクトロニック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes
 

 

モーグシンセサイザーの可能性をリスナーに届けたアルバムで、発売当時この" 未来 "の機械で創る

音楽に対して賛否両論が巻き起こった…今ではまったく議論の余地のない評価だが、当時はシンセサイ

ザーに対するある種の偏見があったのも事実であった

多チャンネル・テープ・レコーダーでの録音もまた昭和という時代を感じさせる

冨田勲が素晴らしい作曲家だからこそドビュッシーをテーマに選んで、この色彩感覚あふれる印象派

代表ともいえるピアノ曲オーケストレーションのように扱い、従来の既存の楽器の概念を超えた

シンセサイザーの音色で彩ることで未来の音楽の姿を見せられた思いがした

ドビュッシーの原曲のピアノ曲も素敵だが、オリジナル曲の良さを最大限に生かしてここに新しい音楽が

提示されている

冨田勲の創る音楽世界観がしっかりと構築されているからこそ世界中のリスナーに支持される音楽が

作り得たわけだ

 

この作品の驚くべきところは、たった24個の音しか連続再生してくれない分解されたシンセサイザー

そして16トラックの録音機、説明書もインストラクターもいないまま冨田勲がたった一人でこれだけの

音宇宙を表現してしまったことだろう

東京の8畳間で夜中も一人でシンセと格闘した冨田勲の心境やいかにであるが、結果としてでき

上がった音はもちろん最初からトミタ・サウンドであり、日本の範疇に収まるようなものではなかった

今聴いても突出したパフォーマンスであり、これを超える作品もそうはない

これだけ大胆にシンセサイザーを使っているのに、今に至るまでこのアルバムを超える暖かい音の

シンセの音も聴かない…冨田勲の音の生成プロセスそのものが" 文化遺産 "に相応しい

今でもBGMや効果音に利用され耳にする機会がある名作" 月の光 "、そのオリジナルを知る人はもちろん

知らない人でもこれがシンセサイザーの規範になり、今でも多くのミュージシャンに影響をおよぼす

力のある記念碑的存在のアルバムである

 

月の光

月の光