フュージョン界においても誉れ高き名盤
そのサウンドは、トロンボーンとテナーサックスという管楽器によるアンサンブルに、スティックス・
フーパーとゲスト・ベーシストによるリズム隊、ジョー・サンプルのフェンダー・エレクトリック・
ピアノが絡むことで醸し出されるサウンドである
1970年代後半のフュージョンはおろか、70年代前半のクロス・オーバーという言葉もなかった時代から
ジャズという既成概念にとらわれず、さまざまなジャンルの音楽を取り込んできた
ラリー・カールトンという後のフュージョン・シーンで有名になる技巧派ギタリストを、グループの
結成初期から準メンバーとして参加させていた
§ Recorded Music §
1 Spiral - スパイラル
2 Keep That Same Old Feeling - キープ・ザット・セイム・オールド・フィーリング
3 My Mama Told Me So - マイ・ママ・トールド・ミー・ソー
4 Til' the Sun Shines - 太陽の輝き
5 And Then There Was the Blues - アンド・ゼン・ゼア・ワズ・ザ・ブルース
6 Serenity - セレニティ
7 Feeling Funky - フィーリング・ファンキー
§ Band Member §
Wayne Henderson - ウェイン・ヘンダーソン( Tro )
Wilton Felder - ウェルトン・フェルダー( Sax )
Joe Sample - ジョー・サンプル( Key )
Stix Hooper - スティックス・フーパー( Ds )
Larry Carlton - ラリー・カールトン( G )
Robert 'Pops' Popwell - ロバート・ポップ・ポップウェル( B )
アメリカのジャズ・フュージョン・バンド、ザ・クルセイダーズの1976年に発表されたアルバムで、前身
のジャズ・クルセイダーズ時代から16作目、ザ・クルセイダーズとしては9作目のアルバムになる
オリジナル・メンバーであったウェイン・ヘンダーソンはこのアルバムを発表後、グループを脱退した
アメリカでは総合アルバムチャートのビルボード200で38位に達し、ビルボードのジャズ・アルバム・
チャートでは2位、R&Bアルバム・チャートでは9位を記録した
もともとテキサス出身のR&Bバンドで、90年代にロサンゼルスに移ってジャズ・クルセイダーズと
名乗って活躍していたが、70年代にクルセイダーズと改名し純粋なファンクを演奏するようになり
前作の" チェイン・リアクション "から評価が高まり、特に当時の最高のセッション・ギターリスト、
ラリー・カールトン・フリークから評判になったアルバムである
特に1曲目の" スパイラル "のサックスのウェルトン・フェルダーとのメロディ・ユニゾンから素晴らしく
エモーショナルに" うたう "ソロで有名になった
また、ピアノのジョー・サンプル、トロンボーンのウェイン・ヘンダーソン、ドラムのスティクス・
フーパー、ベースのロバート・ポップウェルなども名演していて、この作品はソウル、R&B、ファンク
ジャズ・ファンから高い評価を得てファン層を広げたことは間違いない
70年代のクルセイダーズは全部名盤だが、その中でもこのアルバムは特に質が高いと思うし、演奏も
素晴らしい
演奏面では、ベースにロバート・ポップウェルが加入したことによってリズムに柔らかさが増した感じが
するし、ラリー・カールトンの柔らかい音色のギターも絶好調である
もちろん、柔らかいといっても、クルセイダーズだから豪快であることが大前提である
曲も代表的といえる" スパイラル "や" キープ・ザット・セイム・オールド・フィーリング "があるし
" フィーリング・ファンキー "のようなクールな曲もあり充実している
今作で、ウェイン・ヘンダーソンが脱退してしまうことを考えると、6人が揃った奇跡のアルバム
だったといってもいいと思う