重厚なブラスとオルガン、パンチのある女性ヴォーカルが
醸し出す陰鬱な雰囲気が独特
1970年発表、マーカス・キーフの手による幻想的なジャケットが非常に幻想的だが、それだけに留まらず
非常に人気の高いグループで、たった1枚しかアルバムを発表してないのにも関わらず近年には
未発表音源が発掘されるなど長きに渡って親しまれているグループである
参加しているのはリンダ・ホイル(vo)、リントン・ネイフ(key)、マイク・ジョップ(g)、モ・フォスター(b)
クラント・サーペル(ds)で、なるほど現在まで多くのセッション、グループで名前を目にする猛者も
含まれている
彼らのほかにジョン・ポール・ジョーンズらのアレンジによるブラス隊も参加していて、重圧かつ
豪華なサウンドを聴かせている
§ Recorded Music §
1 I Am and So Are You - アイ・アム・アンド・ソー・アー・ユー
2 Night Flight - ナイト・フライト
3 I Wonder If I Care as Much - もう気にしない
4 Mr.Joy - ミスター・ジョイ
5 Three Sisters - スリー・シスターズ
6 Coconut Grove - ココナッツ・グローヴ
7 All Along the Watchtower - オール・アロング・ザ・ウォッチタワー
§ Band Member §
Linda Hoyle - リンダ・ホイル( Vo )
Lynton Naiff - リントン・ネイフ( Key )
Mo Foster - モ・フォスター( B )
Mike Jopp - マイク・ジョップ( G )
Grant Serpell - クラント・サーペル( Ds )
プロデュースはジョン・アンソニーでプログレ・ファンには馴染み深い人物、" アイ・アム・アンド・
ソー・アー・ユー "は豪快なブラスを導入したブルース、ジャズ・ロック、" ナイト・フライト "は
フォーク、ブルース風のバラードと、この2曲だけでも彼らの実力、人気は難なく計り知れる楽曲
演奏が優れているのはもちろんだが、演奏そのもののコクというか味というか、にじみ出る魅力が
強く感じられる
リンダ・ホイルのヴォーカルはもちろんのこと、虜になるほど素晴らしいリントン・ネイフのオルガン
強い主張はないが張りのある優れたトーン、演奏を聴かせるギター、手堅いだけではなくドッシリと
主張するリズム隊、そしてときに加わるブラス、ストリングスとすべてが味わい深い
楽曲はブルース・ロック、フォークの延長線上の曲が多いが、そこに微妙に加味されたジャズ、ジャズ・
ロック的な雰囲気が妙味である
ジュディ・ドリスコールを擁していたころのブライアン・オーガー&トリニティにも近い雰囲気の曲も
あり、ブルージーでかなり渋いがそれだけに味わい深い作品である
グループは本作発表後に解散しリンダ・ホイルが翌年に" ピーセス・オブ・ミー "を発表している
リントン・ネイフはToe Tae、クラント・サーペルはセイラー、モ・フォスターはファンシーへ
散っていった
このアルバムのジャケットは、ヒプノシス( ツェッペリン、ピンク・フロイドなど )、ロジャー・
ディーン( イエス・エイジアなど )と並んでロックアルバム・ジャケット史にその名を残すマーカス・
キーフが手がけている
マーカス・キーフといえばアフィニティの名が挙げられるほどに本作の幻想的なジャケットが印象的で
非常に英国・ヨーロッパ的で現在では出せない魅力に満ちている
ジャケットのそんな魅力は本作のサウンドにも表れていて、ヒプノシスのジャケットで有名なトゥリーズ
の2枚目の作品同様、( ブルース )ロックとジャズ、トラッド、フォークを消化したそのサウンドは
どこをとっても" あの時代のイギリス "にしか出せないものばかりである( 特にハモンド・オルガン )
ヴォーカルのリンダ・ホイルの声はソウルフルの1語に尽きる
本作で注意を惹くのが" アイ・アム・アンド・ソー・アー・ユー "と" もう気にしない "のブラスと
ストリングスのアレンジをジョン・ポール・ジョーンズが手がけていること、ジャズ・ロック風に
アレンジされたボブ・ディランの" オール・アロング・ザ・ウォッチタワー "など、どれも非常に質の
高い内容である
ジャケットに騙されたと思って買っても決して損はしない本作は多くのロック、トラッド、ジャズ・
ファンにもお勧めである