AC/DCの存在を全世界に知らしめた出世作と同時に
ボン・スコット時代の最高傑作
" マット・ラング三部作 "の第1弾となる本作により、彼らはついに全米制覇のきっかけを掴むことになる
ビルボードHOT200で17位まで上昇し、彼らの存在は一気にメジャー・シーンへと浮上した
前作との間に、超絶な熱量を放出する初のライヴ・アルバムを挟んでリリースされることになった本作、
しかしながら、内容的な面に関しては、ここでの彼らは従来からするとかなりポップ&キャッチーに
なったともいえそうな作風へと変化していく
もちろん基本路線は全くブレることのないバッド・ボーイズ・ロックン・ロールであることに間違い
ないがこれまでのような真にあからさまなガレージ風ではなく、非常に計算されたバランス感覚のもと
構築されていて、とてもスッキリ聴きやすくなっている
大ヒットの秘訣は、確実にこうした部分にこそあったといえる
§ Recorded Music §
1 Highway to Hell - 地獄のハイウェイ
2 Girls Got Rhythm - 女たちのリズム
3 Walk All Over You - 地獄の絆
4 Touch Too Much - タッチ・トゥー・マッチ
5 Beating Around the Bush - 闇から追い出せ
6 Shot Down in Flames - ショット・ダウン
7 Get it Hot - 熱くやろうぜ
8 If You Want Blood ( You've Got It ) - 流血の叫び
9 Love Hungry Man - ハングリー・マン
10 Night Prowler - 夜のプローラー
§ Band Member §
Bon Scott - ボン・スコット( Vo )
Angus Young - アンガス・ヤング( G )
Malcom Young - マルコム・ヤング( G,Vo )
Cliff Williams - クリフ・ウィリアムズ( B )
Phil Rudd - フィル・ラッド( Ds )
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この路線は明らかにプロデュースにあたったマット・ラングの推し進められたものであり、そしてその
方向性というのは、この後の2作品にも受け継がれていく
そういう意味で、彼が残した功績というのは、バンドにとって非常の大きなものがあったというのは
間違いないところである
この" 三部作 "がHR/HMシーン全体に与えた影響というのには、本当に計り知れないものがあって
この数年後に全世界を席巻することになるヘヴィ・メタル・ブームのサウンド面におけるその根幹となる
相当に大きな部分を、ここで提示された音的方向性が占めているというのは、以後のムーヴメントの
推移を眺めていれば何人も否定することは絶対にできない歴史的事実であると断言できる
彼らのとってもこの路線というのは、バンドのもっともベーシックなサウンド・スタイルを決定づけた
ものであり、ここにきてその方向性は確固たるものとなった
必要以上にファクトにならず、あくまでもミディアム・テンポ主体の楽曲アレンジ、ヘヴィかつ
シンプルなリズム・パターン、そして適度なポップ感覚を織り交ぜたバランス感覚重視の曲作り、
80年代型ハード・ロックの勝利の方程式は、ここにおいてその原初の形を成立させた
ただし、バンドにとってはそうした諸々も、直後に見舞われることになる悲劇によって、一瞬その
すべてがかき消されることになった…ボン・スコットの急死
非常に洗練されたドライな感じに仕上がっていて、" 地獄のハイウェイ "はもちろん、間髪入れずタテノリ
だが印象的なリフ満載の名曲が数々続いてくる
" 女たちのリズム " " 地獄の絆 " " タッチ・トゥー・マッチ " " 闇から追い出せ " " ショット・ダウン "と
曲の流れも最高で、ボン・スコットのしゃがれた歌声にもさらにキレが出て歌唱も最高、かつ非常に
洗練されたヴォーカル処理がなされて見事である
モーターヘッドなどと並びロックン・ロールの英雄として多くのバンドからリスペクトを集める存在
として、ロック好きを自認する人であれば一度はそのバンド名を耳にしたことがあると思う
そのような彼らの作品は、どれもが高品質なロックン・ロールを提供してくれるが、ボン・スコットの
最高にクールなヴォーカルが聴かれる本作は特に素晴らしい
特にロックン・ロールを歌うために生まれてきたといっても過言ではないボン・スコットのヴォーカルは
クールの一言に尽きる
アンガス、マルコムのヤング兄弟によって紡がれるギター・パートも、リズム隊の独特のグルーヴも
最高潮に達している
そして、それらをまとめ上げたデフ・レパードなどとの仕事でも知られるプロデューサーのジョン・
マット・ラングの働きも素晴らしい
キャッチーなメロディを携えたご機嫌なロックン・ロール・ナンバーを聴きたければ、本作を手に
入れることをお勧めする