" Love and Peace "は" 平和は愛のもう一つの言葉 "という考えから出発
そしてその考えが到達したメッセージが" Imagine "
タイトル曲" イマジン "は、宗教や人種の対立から起こる憎悪を無意味なものとし、平和を訴える歌で
ジョン・レノン自身も認めているとおり、この歌の歌詞はかなり共産主義的な主張を含んでいる
ジョン・レノンは歌の中で曲を聴く者自身にも、彼のユートピア的なイメージを共有してほしいと
訴えているほどで、そうした歌詞の内容のためラジオやテレビなどでは時に放送禁止にもなった
なお、" イマジン "と" 真実が欲しい "の原曲はビートルズ在籍時にすでに存在しており、1969年の
" ゲット・バック・セッション "で演奏されたテープが残されている
また本作にテイクされている" ジェラス・ガイ "は、1968年のインド滞在中に書かれた" チャイルド・オブ
ネイチャー "という曲が原曲であり、ジョン・レノンはこの曲をビートルズとして発表しようとして
いたらしく" ホワイト・アルバム "のセッションや" ゲット・バック・セッション "で何ヴァージョンも
録音しているのが残されている
§ Recorded Music §
1 Imagine - イマジン
2 Crippled Inside - クリップルド・インサイド
3 Jealous Guy - ジェラス・ガイ
4 It's So Hard - イッツ・ソー・ハード
5 I Don't Want to Be a Soldier - 兵隊にはなりたくない
6 Gimme Some Truth - 真実が欲しい
7 Oh My Love - オー・マイ・ラヴ
8 How Do You Sleep? - ハウ・ドゥ・ユー・スリープ?( 眠れるかい? )
9 How? - ハウ?
10 Oh Yoko! - オー・ヨーコ
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そのほかにも、アルバムには" 兵隊にはなりたくない "や" 真実が欲しい "などの政治色の強い楽曲が
収録されているが、" 所有 "を無意味なものであると訴える音楽が、ミリオンセラーのソング・ライターが
大きな邸宅でグランドピアノを弾くというジャケットで売り出されたことを諷刺する記者もいた
また、差別を否定し世界平和を訴える趣旨であるはずの" イマジン "と並んで、ビートルズ時代の
パートナーであったポール・マッカートニーを辛辣に誹謗中傷した曲" ハウ・ドゥ・ユー・スリープ?
( 眠れるかい? )がテイクされている
9.11アメリカ同時多発テロ事件の後には、アメリカのラジオ局で" イマジン "のリクエストが殺到する
という現象が起きた
ジョン・レノンのソロ第2弾で、前作における自身の肉声を極限まで吐露して聴く者に感動を与えた
衝撃性は薄れ、タイトル作に代表される穏健な平和的思想がアルバム全体を覆う作品である
ジョンの多くのファンはガッカリした代わりに、一般的なファンを本作で獲得したかもしれないし、
現在でもジョンの代表的アルバムは…と問うと本作を挙げる人が多いと思う
タイトル曲" イマジン "は上述したように有名になりすぎたが、アルバム収録版は堅い…曲のイメージから
して堅さは似合わないように思える
" ジェラス・ガイ "は" 俺は嫉妬深い男さ "という屈折した歌詞で愛を表現したバラードの佳曲で、ロッド
スチュワートが取り上げたことでも有名になった
" イッツ・ソー・ハード "は" とにかくシンドイ "という内容で、いかにもジョン・レノンらしく
またビートルズ時代の" アイム・ソー・タイアード "を想起させ微笑ましい
" オー・マイ・ラヴ "は初めて愛に目覚めた男の優しきラヴ・ソング、" ハウ・ドゥ・ユー・スリープ "は
瞳の大きなポールをからかった題名で、歌詞中でポールを批判しているが、冗談ソングとして取るしか
ないか…、" ハウ? "は隠れた名曲で、悩みつつも進まざるを得ない当時の心境を歌に託している
" オー・ヨーコ "は朝から晩までヨーコという内容で、コメントのしようがないが歌っている本人の
楽しさは伝わってくる
そもそもジョンにとって" ポールに対する越えられない壁 "は、その自然な曲作りにあったように思う
だからこそアルバム" レット・イット・ビー "では、この曲の前後を" 変なおしゃべり "と" マギー・
メイ "にし少し意地悪をした
" そうか、ピアノの白鍵だけであんなに荘厳な曲ができるのか " " 曲はポールが一枚上手だけど、詩は
俺が上手だ "…そんな感じでできたのが" イマジン "だと感じる
本作はシングル" イマジン "を含み、またいくつかの佳曲もあり全体として統一感のある構成になっている
ことから一般の音楽ファンには入りやすいアルバムだと思う