バンドの代表曲" Hot Blooded "収録
タイトルとなった" Double Vision "もヒット曲となった
メンバーはファースト同様の大所帯英米混合バンド6人で構成されていて、ミック・ジョーンズの
ロックな感性と、イアン・マクドナルドのプログレ的要素がうまく噛み合っているサウンドである
1曲目の" ホット・ブラッディッド "はフォリナーの典型的なロック・ナンバーで、6曲目のタイトル曲
" ダブル・ヴィジョン "も展開に捻りがあって凝ったナンバーとなっている
個人的にはイアン・マクドナルド参加の3枚のアルバムは必聴であると思う
1978年らしくシンプルでソリッドなロック作品で、アップテンポな曲からバラードまでバラエティ
豊かでポップな曲もあり、大衆的かもしれないが今聴くとかえって新鮮、年代を反映した残響のない
音質も雰囲気があっていい
§ Recorded Music §
1 Hot Blooded - ホット・ブラッディッド
2 Blue Morning,Blue Day - 蒼い朝
3 You're All I Am - 君は僕のすべて
4 Back Where You Belong - バック・ホエアー・ユー・ビロング
5 Love Has Taken It's Toll - ラヴ・ハズ・テイクン・イッツ・トゥル
6 Double Vision - ダブル・ヴィジョン
7 Tramontane - トラモンテイン
8 I Have Waited So Long - 待ちくたびれて
9 Lonely Children - 寂しき子供達
10 Spellbinder - スペルバインダー
§ Band Member §
Lou Gramm - ルー・グラム( Vo )
Mick Jones - ミック・ジョーンズ( G,Vo )
Ian McDonald - イアン・マクドナルド( G,Key )
Al Greenwood - アル・グリーンウッド( Key )
Ed Gagliardi - エド・がリアルディ( B )
Dennis Elliott - デニス・エリオット( Ds )
|
オリジナル・メンバーによる最後の作品で、ファーストにあったブリティッシュ的なまろやかさや
厚みとは異なりシャープでカッチリした音の輪郭を持ち、楽曲にもいよいよミック・ジョーンズの才気が
溢れ出した感じもあり、多彩な音楽性を持つキャッチーな曲が並ぶ
この頃はまだシンセサイザーが控えめで隠し味のように効果的に使われている
四半世紀前の音といってしまえばそれまでだが、彼らの中でも異色のバラード" 待ちくたびれて "を
聴くだけでも価値がある1枚である
全編に渡りシンプルながらも80年代へ向かう片鱗が感じられ、あの頃洋楽にハマっていた世代には
たまらない懐かしさもある一方、英米混在の彼らからこういう爽快なアメリカン・ロックの典型が
生まれるというのも不思議なものであった
大きなノリの刺激的なロック・チューン" ホット・ブラッディッド "で幕を開け、このインパクトで
出色だったデビューの重圧は吹き飛んだと思える通り、聴かせどころのツボとバランスのとれた
仕上がりをみせ、Top20入りしたミディアム・テンポの" 蒼い朝 "、後年のバラードとは一味違う乾いた
情感が逆に切々と思いを伝える" 君は僕のすべて "の流れがとてもいい
ルー・グラムの一枚岩のヴォーカルだけでなく、フォーク・タッチの" バック・ホエアー・ユー・
ビロング "や同じブラスが牧歌的な穏やかさを醸し出している" 待ちくたびれて "での柔らかい歌、
さらにシンセを軸に展開するインストゥルメンタル曲の" トラモンテイン "などオリジナル・メンバー
ならではの巾広い音楽性が楽しめる
巻頭曲と同じくTop3入りをした" ダブル・ヴィジョン "は曲の良さもさることながらブラスの入れ方が
最高でキャッチーかつソリッドなロックの名曲、そのほか細かく刻まれるギター・リフに絡みつく管楽器
が印象的な" 寂しき子供達 " " ラヴ・ハズ・テイクン・イッツ・トゥル "のブルース・ロック風の語りにも
似たヴォーカルや、最終曲の静と動を使い分けた巧みな歌唱も地味ながらいい味を出している
衝撃のファースト、練りに練ったメガ・ヒット" 4 "はもちろん素晴らしいが、ベテラン混成ロック・
バンド、フォリナーらしさが一番顕れているのは本作だと思う
1978年リリースのセカンド・アルバム" ダブル・ヴィジョン "はビルボードアルバム・チャート3位と
大ヒットを記録、チャート、セールスともに前作を上回った
その最大の理由は、大ヒットした前作と同じ方向性でアルバムを制作したことが挙げられる
70年代後半に彗星のようにデビューしたスーパー・グループは、音楽市場で多くのリスナーに愛され
そしてほぼキープ・コンセプトで2作目を出したのは手堅い戦略だったと思う
ほとんどの曲でミック・ジョーンズが絡んでいるが、彼のコンポーサー、メロディ・メーカーとしての
センスが多くにリスナーの琴線に触れたものと思われる
加えて彼の奏でるシンプルながら非常にスリリングなギター・リフも、人々の耳に残ったのだと思う
そしてバンドの顔であるルー・グラムの熱唱、彼のエモーショナルなヴォーカルも、ミックの作る熱い
メロディと相まって楽曲をさらに昇華させている
それに、ほかのメンバーのプログレっぽいタッチが程よく加味されて、フォリナーという新しいロック
サウンドを生み出している