1975年、自身初のリーダー・アルバム
" The First Seven Days "でソロ・キャリアをスタート
ヤン・ハマー…チェコスロバキア出身の作曲家、ピアノ奏者、キーボード奏者でドラム奏者でもある
ヤン・ハマーが人々に知られるようになったのは、1970年代前半にマハヴィシュヌ・オーケストラで
キーボードを担当したときだった
そして1980年代にはテレビ番組『 特捜刑事 マイアミ・バイス 』のテーマ曲や『 クロケットのテーマ 』
あるいは映画音楽を制作し著名となり、演奏家として、また同時にプロデューサーとしての活動を続け
後に映画制作にも携わるようになる
ヤン・ハマーは、その時々の時代の最も影響力を持ったジャズあるいはロックのミュージシャンたちと
共演してきた
§ Recorded Music §
1 Daekness / Earth in Search of a Sun - 闇
2 Light / Sun - 光
3 Oceans and Continents - 大洋と大陸
4 Fourth Day - Plants and Trees - 第4日 植物と樹木の出現
5 The Animals - 哺乳類の創造
6 Sixth Day - The People - 第6日 人間の創造
7 The Seventh Day - 第7日 神の安息
§ Personal §
Jan Hammer - ヤン・ハマー( Key,Ds )
David Earle Johnson - デヴィッド・アール・ジョンソン( Per )
Steven Kindler - スティーヴ・キンドラー( Vio )
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旧約聖書第一章『 創世記 』をテーマとした第1期マハヴィシュヌ・オーケストラ解散後のヤン・ハマーの
初のソロ・アルバムで、1曲目の" 闇 "は、後にジェフ・ベックのライヴ盤" ライヴ・ワイアー "でも
お馴染みとなった曲だが、こちらはそのオリジナルとなっている
冒頭のシンセサイザーやメロトロン+フリーマンのリアルなストリングスの響きといい、ライヴ盤とは
比較にならない重厚で密度の高い作りになっている
5曲目の" 哺乳類の創造 "におけるデヴィッド・アール・ジョンソンのパーカッションとヤン・ハマーの
ミニ・モーグの迫真のプレイも聴きどころで、ピアノの小品風な部分と各種シンセサイザーやメロトロン
ディジタル・シークエンサーを駆使しクラシカルにドラマティックに仕上げた部分とを融合させた
ジャズという域を超えたプログレッシブなヤン・ハマーの一面を堪能させてくれる
ここでのヤン・ハマーは、モーグ/オバーハイム/フリーマン・ストリングなどさまざまなシンセ
サイザーをはじめ、アコースティック・ピアノ、フェンダーローズ、果てはメロトロンまで駆使して
創造的な音響宇宙を現出している
ヤン・ハマーの音楽は後年、妙なコマーシャリズムに走り評価が高くない部分もあるが、本作は
それほど緩んでいない
勝因のひとつはアコースティック・ピアノの活用で、2曲目の" 光 "は前半、1971年頃のキース・
ジャレットみたいなピアノを聴くことができる
後半はもろシンセティックなプログレに変貌して、シンセサイザーの音質やフレージングも翌年の
" ワイアード "を先取りするものが聴ける
聖書の神の創造の1週間をモチーフに音楽した全7曲で、一人多重で作ったジャン・ハマーのキーボード
プレイヤーとしてのセンスが素晴らしいアルバムである
内容は今でいうところのフュージョン、プログレッシブ・ロック、ワールド・ミュージック、ニュー・
エイジと多岐にわたっている
上述したように" 闇 "はジェフ・ベックのライヴにも収録されているが、その演奏のテンションの高さは
こちらが上だと思うし、最終曲の" 第7日 神の安息 "はフュージョンとして癒やし系の美しい曲である
テクノなどとは違った、手弾きの演奏でのエレクトリックな音楽で、そのどれもが人の手による音楽の
優しさが詰まっている
" 哺乳類の創造 " " 第6日 人間の創造 "にデヴィッド・アール・ジョンソンがパーカッションで、" 光 "
" 哺乳類の創造 " " 第6日 人間の創造 " " 第7日 神の安息 "にスティーヴ・キンドラーがヴァイオリンで
参加している