日本のディスコ・カルチャーにも大きな影響を与えた作品
1975年リリースの" That's the Way of the World - 暗黒への挑戦 - "
ブラック・ミュージック史上に燦然と輝き続ける名盤で、全米ナショナル・チャート・No.1を獲得し
シングルの" シャイニング・スター "もHOT100にて1位となり、名実ともにトップ・アーティストの
仲間入りを果たし、彼ら自身にとってもエポックメイキングなアルバムとなった
内容的には、前作で開眼したポップ&キャッチー路線をさらに押し進めていった形だが、そのソング
ライティング能力に関しては飛躍的な向上をみせていて、ポップ・アルバムとしての死角は皆無、
とにかく全体を通しての聴きやすさといったら、これまでの比ではない
名作アルバムとしての必須条件、聞き手を選ばず老若男女誰もが楽しめるという要素を完璧に備えている
§ Recorded Music §
1 Shining Star - シャイニング・スター
2 That's the Way of the World - 暗黒への挑戦
3 Happy Feelin' - ハッピー・フィーリン
4 All About Love - 今こそ愛を
5 Yearnin' Learnin' - ヤーニン・ラーニン
6 Reasons - リーズンズ
7 Africano - アフリカーノ
8 See the Light - 神よ、光を
§ Band Member §
Maurice White - モーリス・ホワイト( Vo,Kalinba )
Philip Bailey - フィリップ・ベイリー( Vo,Per )
Verdine White - ヴァーダイン・ホワイト( Vo,B )
Al McKay - アル・マッケイ( G )
Johnny Graham - ジョニー・グラハム( G )
Fred White - フレッド・ホワイト( Per )
Ralph Johnson - ラルフ・ジョンソン( Per )
Andrew P.Woolfolk - アンドリュー・ウールフォーク( Sax,Fl )
Larry Dunn - ラリー・ダン( Key )
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名盤としてのもうひとつの条件、極めてハイレベルな音楽性をも同時にこのアルバムは保有している
大衆迎合的な、流行や時勢に乗っかっただけの音楽をやっつけで作ったのではなく、ここには時代を軽く
超越していける普遍性が存在している
卓越した演奏技術、幾重にも積み重ねられた複雑極まる楽曲アレンジ、守りに入らない攻めの姿勢が
感じられる実にソリッドなサウンド・プロダクション、そして力量を遺憾なく発揮するフィリップ・
ベイリーとモーリス・ホワイトの圧倒的なツイン・ヴォーカルの威力など、聴き手の感性を激しく
揺さぶり、そして打ちのめすような衝撃力や尖鋭性をも本作は内包している
そういった意味では、本作はこれまでの彼らのキャリアを総括するような作品になったといえる
" シャイニング・スター "から" 暗黒への挑戦 "の流れは見事というしかなく、次第に精神性よりも
キャッチーな商業性を目指していくのだが、ここではどの曲も荒削りながらメッセージと気迫が脈々と
感じられ、特に" 暗黒への挑戦 "はコピーのような曲がかなり作られ、コンサートではラストに演奏される
名曲で、完璧なライヴ・パフォーマンスは当時のミュージシャンや評論家を唸らせた
ブラック・ミュージックの流れを変えたといってもいいアルバムである
音の進歩や尖鋭性重視であった黎明期から、歌重視の大衆性を身に纏うようになるまでの彼らの歩みを
これ以上ない最高の形でミキシングしたもである
彼らの持てるすべての要素、能力が素晴らしくポジティヴな方向で姿を現し、完成を見たのが本作である
このアルバムは同名のサウンド・トラックであり、主演はプロデューサー役のハーヴェイ・カイテルで
EW&Fは「 ザ・グループ 」の名で出演し、当時の貴重なライヴが収められている
しかし、モーリス・ホワイトの演技は拙く、モーリス本人もこの映画そのものの興行は失敗を予見して
いたので、映画の公開に先駆けてこの作品を発表、その予見は大当たりし、逆にこのアルバムは大ヒット
売上記録はトリプル・プラチナム・アルバムとなり、EW&Fを国民的なグループにした大ヒット作である
アルバムの中の曲はどれも粒ぞろいで、アルバムを通して流れるような聴きやすい展開になっている
何度聴いても、何か発見のある名盤中の名盤である