爽やかさを身上とするEaglesが
西武の悪党をテーマとした作品を作った
西部開拓時代の" ならず者 "をテーマにしたコンセプト・アルバムで、イーグルス扮するドゥーリン=
ドリトン・ギャングの盛衰を描いている
グレン・フライとドン・ヘンリーのソング・ライティングチームがこの作品から誕生、" テキーラ
サンライズ " " ならず者 "などグループのスタンダードとなる曲を生み出し、今作以降のグループの
主導権を握るようになった
タイトル曲" ならず者 "はシングル・カットはされなかったが、リンダ・ロンシュタットやカーペンターズ
( カーペンターズの邦題は" 愛は虹の色 " )などにカバーされた
§ Recorded Music §
1 Doolin-Dalton - ドゥーリン・ドリトン
2 Twenty-One - 21才
3 Out of Control - アウト・オブ・コントロール
4 Tequila Sunrise - テキーラ・サンライズ
5 Desperado - ならず者
6 Certain Kind of Fool - その種の愚か者
7 Doolin - Dalton ( Inst ) - ドゥーリン・ドリトン( インスト )
8 Outlaw Man - アウトロー・マン
9 Saturday Night - サタディ・ナイト
10 Bitter Creek - ビター・クリーク
11 Doolin - Dalton/Desperado ( Reprise ) - ドゥーリン・ドリトン/ならず者( リプライズ )
§ Band Member §
Glenn Frey - グレン・フライ( G,Vo )
Don Henley - ドン・ヘンリー( Ds,Vo )
Bernie Leadon - バーニー・レドン( G,Vo )
Randy Meisner - ランディ・マイズナー( B,Vo )
|
このアルバムに登場する主人公は、刹那的に生きる社会に背を向けた人間、そして歳を重ね時代が変わり
否応なく社会との関わりのあり方を再考する時期に直面していく
かつて1960年代後半に社会の規範を否定し" ラヴ&ピース "を合言葉とした自由な大勢の若者がいた
その生き方は当然ながら同時に" 社会に否定される "ということでもあり、そのため彼らは" 社会 "に
属する人間たちとのつながりを持たなかった…当然ながら10年もしないうちに社会を否定したつもりで
あった若者たちも" 社会 "と自分たちとの関係を改めて問い直さざるを得ない時期に直面することになる
イーグルスがこのアルバムで" ならず者 "を" 社会の規範を否定した人間 "として捉え、自分たちに重ね
合わせているのは明らかなので、そうした時代背景を考慮して捉える必要があると思う
表ジャケットは自分たちがギャングに扮し、裏ジャケットでは当時のギャングたちが捕まって地面に
横たわる写真を採用するという凝りよう
70年代のイーグルスの歴史は、ある意味カントリー色を徐々に払拭してエレクトリック・ロック色を
強め、" ホテル・カリフォルニア "に至る過程と考えることができる
その中で本作はバンドとしてカントリー路線を極めてみよう、そしてウェスト・コーストのバンドで
あるとの自覚のもと、自分たちのポジションを歴史の中で確認してみよう、という意図があって作成
されたのではなかろうか…その意図は見事に成功し、コンセプト・アルバムとしてよくできており
ワイルド・ウェストの光景が眼前に浮かぶかのようである
" イーグルス・ファースト "より名曲充実度は高まり、カントリー色の強いイーグルスが好きな人に
とっては本作が最高であろう( もっともハード・ロック色の濃い" アウト・オブ・コントロール
" アウトロー・マン "のような曲も含まれているが )
しかし、イーグルスの歴史から浮いてしまっている作品ではない
上述したようにグレン・フライとドン・ヘンリーがリードする体制は本作からスタートし、特に
タイトル曲をはじめドン・ヘンリーがリード・ヴォーカルを担当する曲が増えた
以後の作品でドン・ヘンリーの深みのある声がイーグルスの曲をどれほど劇的なものにしたことか、
そして変わらぬコーラスのレベルの高さ
ドン・ヘンリーがヴォーカルの曲は" ならず者 " " ドゥーリン・ドリトン " " サタディ・ナイト "など
どれも心に染みる名曲ばかり、他の曲ではヒット曲" テキーラ・サンライズ "が光彩を放つ