Eric Claptonが1977年に発表したアルバム
タイトルは、Claptonのニックネーム
" 461オーシャン・ブルーヴァード "以降のエリック・クラプトンの作品は、アメリカやジャマイカの
スタジオで録音されたが、本作は久し振りに母国イギリスでのレコーディングとなった
プロデューサーは、ローリング・ストーンやザ・フーとの仕事で知られるグリン・ジョンズ
サポート・メンバーは、1974年からのレギュラー・バンドに元キング・クリムゾンのメル・コリンズを
加えた編成となっており、" ワンダフル・トゥナイト ”は、当時の妻のパティにインスパイアされて作った
ラヴ・ソングで、エリックのバラードの中でも特に人気が高く、ライヴでも頻繁に披露されている
§ Recorded Music §
1 Cocaine - コカイン
2 Wonderful Tonight - ワンダフル・トゥナイト
3 Lay Down Sally - レイ・ダウン・サリー
4 Next Time You See Her - ネクスト・タイム・ユー・シー・ハー
5 We're All the Way - ウィ・アー・オール・ザ・ウェイ
6 The Core - ザ・コア
7 May You Never - メイ・ユー・ネヴァー
8 Mean Old Frisco - ミーン・オールド・フリスコ
9 Peaches and Diesel - ピーチェズ・アンド・ディーゼル
§ Personnel §
Eric Clapton - エリック・クラプトン( G,Vo )
George Terry - ジョージ・テリー( G )
Dick Sims - ディック・シムズ( Key )
Carl Radle - カール・レイドル( B )
Jamie Oldaker - ジェイミー・オルディカー( Ds )
Mel Collins - メル・コリンズ( Sax )
Yvonne Elliman - イヴォンヌ・エリマン( Vo )
Marcy Levy -マーシー・レヴィ( Vo )
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本作リリース前にすでにエリックは伝説のギタリストとしての地位を確立していた
ヘロイン中毒だった過去も遠い昔になった本作では、ソングライティングの才能をいかんなく発揮した
中での素晴らしいバラード" ワンダフル・トゥナイト "では、初期のナンバー" プロミセス "の内包されて
いたあらゆる可能性を実現し、自信を持って楽曲のテンポを落としている
また" ワンダフル・トゥナイト "のみならず本作全編を通じて、この上なく表情豊かなギター・ワークを
いくつもみせている
だが、なんとも皮肉なことに本作でもっとも有名なナンバーはヒット曲の" コカイン "で、ギターの
シンプルなリフに支えられたこのナンバーでは、トレードマークである激しさを包んだ滑らかな歌声と
優れたギター・ソロを披露している
エリックの楽曲で何より欠かせないのは派手なギターの速弾きではなく、そのサウンドの基本である
ブルースのバックグラウンドである
本作におけるギターとヴォーカルにより、エリックは誰よりも幅広いロック言語の持ち主のひとりとして
地位を築き上げた
内容は文句なしに格好良く、優しい…なぜ優しいか
それはエリックの演奏によるところだけでなく、録音の素性が多いきく寄与している
音が少しこもったように聴こえるかもしれないが、それは刺激的な味付けをせず、音圧を上げ過ぎず
極めて自然なミックスとマスタリングがされているので、思い切ってボリュームを上げて聴いてほしい
全米3位となった" レイ・ダウン・サリー "、優しい雰囲気の" ウィー・アー・オール・ザ・ウェイ "や
" メイ・ユー・ネヴァー "、グルーヴ感のあるバッキングとマーシー・レヴィのソウルフルな歌唱が最高な
" ザ・コア "、ラストは仄かな哀愁感、郷愁が漂うギター・バラード" ピーチェズ・アンデ・ディーゼル "
ベスト盤では出会うことがないであろうセピア色の名曲である
エリック・クラプトンという人はバック・バンドの人選が本当に素晴らしい
サイドギターの職人ジョージ・テリー、南部っぽいがタメの効いた中にも抑制感があるジミー・
オルディカーのドラムと、いかにも通なアメリカン・ミュージックをわかっていると思わせる人たちで
こういう人に囲まれて、確かに上手いがあんまり黒くない、永遠のブルースに憧れるイギリス人が
ちょっと浮いている感さえするアルバムである
曲の出来が良かったせいか豪華ゲストを控えにしたことが幸いし、バンドのまとまりは非常によい
こういうバンドの総合力を活かしたアルバムを作れるようになったのもエリックの成長に証であろう
ソロ時代に入ってからのアメリカ南部路線の到達点といえる作品で、レイトバックという表現がよく
使われるが、出来過ぎなほど練られた演奏のためリラックス感はあまりない
ダウン・トゥー・アースなサウンドを人工的に構成するアプローチは、この時期のエリックが目標に
していたザ・バンドと共通している