Def Leppardの作品中、もっともハードでドライヴ感
あふれるサウンドに仕上がっている
イギリスのモンスター・ロック・バンド、デフ・レパードの1981年発表のセカンド・アルバム
バンドのサウンドはキャリアを重ねるとともに変化するもので、決して衰えではなく成熟…それは
分かっていても彼らの初期のやたらと攻撃的で荒々しいサウンドを求めてしまう
大ヒット作の" 炎のターゲット "、そしてロック史上に燦然と輝く" ヒステリア "へと続くこのアルバムは
勢いのまま、やや単調さが感じられたデビュー・アルバム" オン・スルー・ザ・ナイト "から大きく成長
とてもデビュー・アルバムから1年余りしか経っていないとは思えない出来になっている
§ Recorded Music §
1 Let it Go - レット・イット・ゴー
2 Another Hit and Run - アナザー・ヒット&ラン
3 High 'n' Dry ( Saturday Night ) - ハイ&ドライ
4 Bringin' on the Heartbreak - ブリンギン・オン・ザ・ハートブレイク
5 Switch 625 - スイッチ625
6 You Got Me Runnin' - ユー・ガット・ミー・ラン
7 Lady Strange - レディ・ストレンジ
8 On Through the Night - オン・スルー・ザ・ナイト
9 Mirror,Mirror ( Look into My Eyes ) - ミラー・ミラー
10 No No No - お前にNo No No
§ Band Member §
Joe Elliott - ジョー・エリオット( Vo )
Steve Clark - スティーヴ・クラーク( G )
Pete Wills - ピート・ウィリス( G )
Rick Savage - リック・サヴェージ( B )
Rick Allen - リック・アレン( Ds )
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やや優等生チックに無難に収まっていた感のあるデビュー・アルバムから一転、一気にロック・バンド
としてのワイルドネスとヘヴィネスをアピールした作風へと変化を遂げている
現在に至る彼らの音楽の真の原点となる音が詰まっていて、本作における最重要ポイントといえば
何といってもプロデューサにマット・ラングを迎えたことに尽きる
前作からのサウンド・チェンジも、すべては彼の意向がダイレクトに反映されたものにほかなく、それが
ものの見事にバンドのスタイルにマッチして、彼らが一気にワールド・ワイドへと浮揚するきっかけを
もたらすことになる
彼が本作でとった方法論というのが、AC/DCで完成させたサウンド・スタイルをそっくりそのまま
デフ・レパードというバンドへ移植するという実に大胆なものだった
結果、ラングとAC/DCの関係は極めて険悪なものになってしまった
Def Leppard - Bringin' On The Heartbreak (Version 2)
Def Leppard - Lady Strange (High N' Dry)
ハードな曲も良いが、やはりメロディアスな曲がよく、ライヴでもよく演奏される" ブリンギン・オン
ザ・ハートブレイク "もテイクされていていて、初期デフ・レパードの名曲が何曲か入っている
インストの" スイッチ625 "も地味だがとてもいい曲だと思っていて、デフ・レパードの歴史を語る上では
外すことのできないアルバムだろう
発売当初はあまりパッとしなかったが、" ブリンギン・オン・ザ・ハートブレイク "が地方のラジオ局で
ヘヴィ・ローテーションでかけられたことをきっかけに尻上がりにセールスを伸ばした
美しいメロディ、ヘヴィなギター、重厚なコーラスといったレパード節が炸裂したもので、今後の
デフ・レパードの方向性を位置づけたといっても過言ではないほどの貴重な1曲である
本作を最後にオリジナル・メンバーでギターのピート・ウィリスが脱退、ベスト盤の" ブリンギン… "は
後に加入したフィル・コリンのヴァージョンなので、本作のものと聴き比べるのも面白い
人気急上昇中の中でライヴ活動を一旦休止し、時間をかけて次作の曲作りを開始、1曲ずつ丹念に
仕上げていきクオリティの高さ及び奥深さ、進化させた作品をいかに完璧に仕上げるかということに
注意が払われ、3ヶ月半かけて制作・完成したのが本作" ハイ&ドライ "であり1981年に発売された
前作の延長線上にみえるが、前作のイメージを壊さないで進化させたスタイルであり、一層ドラマ
ティック&スリリングさを強調させた楽曲、演奏、サウンドでスケールを広くさせている
コンパクト性の曲はなく楽曲の構成上により演奏時間も長めで、じっくりと曲を聴かせる貫禄ある
仕上がりのものが全体を占めていて、いかにこのアルバム制作へ相当の力を入れたかを物語っている
素晴らしい力作である
ただ前作に比べて全体的にヴォーカルやコーラス部分が粗くなったような感じがする