持っている曲を全部ぶち込んで、取り敢えず
発売したという感じのアルバム
80年代ロック・シーンが生み出した最強のロック・バンドのひとつであるといっても過言ではない
ガンズ・アンド・ローゼズの2枚組の1枚目、当時ラファエロの壁画をアレンジしたこのジャケットセンス
のカッコよさにもゾクッときたものだが、内容はまさにそれ以上の鳥肌モノの出来栄えとなっている
非凡な才能の塊を持った若者たちが、暴走する才能を止められずに、この2枚組を完成させ砕け散った
今となってはそんな印象を覚える
内容は、相変わらずのガンズ節に加え" コーマ "など彼らの葛藤を窺える実験的なタイトルも多数
含まれている
ロック・ファンにとっては聖典ともいえる名盤中の名盤
§ Recorded Music §
1 Right Next Door to Hell - ライト・ネクスト・ドア・トゥ・ヘル
2 Dust N' Bones - ダスト・アンド・ボーンズ
3 Live and Let Die - リヴ・アンド・レット・ダイ
4 Don't Cry - ドント・クライ
5 Perfect Crime - パーフェクト・クライム
6 You Ain't the First - ユー・エイント・ザ・ファースト
7 Bad Obsession - バッド・オブセッション
8 Back of Bitch - バック・オブ・ビッチ
9 Double Talkin' Jive - ダブル・トーキング・ジャイヴ
10 November Rain - ノーヴェンバー・レイン
11 The Garden - ザ・ガーデン
12 Garden of Eden - ガーデン・オブ・エデン
13 Don't Damn Me - ドント・ダム・ミー
14 Bad Apples - バッド・アップルズ
15 Dead Horse - デッド・ホース
16 Coma - コーマ
§ Band Member §
Axl Rose - アクセル・ローズ( Vo,Key )
Slash - スラッシュ( G )
Izzy Stradlin - イジー・ストラドリン( G )
Duff McKagan - ダフ・マッケイガン( B )
Matt Sorum - マット・ソーラム( Ds )
Dizzy Reed - ディジー・リード( Key )
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だいたいが長尺のロック・アルバムは嫌われる運命にある…曲が長ったらしい、聴いていて退屈だ、
全曲聴いていたら日が暮れた…本作もいうに漏れず長尺であり、しかも2枚組の1枚目、この後もう1枚
聴かないといけないのかと思うとゲップが出そうであるが、不思議と飽きずの聴き続けていられるのが
本作の魅力である
いかにもハード・ロック・ナンバーからブルース、バラードとどれも飽きず、さまざまなフレーバー
あふれ出る無限の才能と底なし沼どころの騒ぎではない
ビートルズの" ホワイト・アルバム "を彷彿させる出来である
ガンズ・アンド・ローゼズは90年代のレッド・ツェッペリンと呼ばれたバンドでありロックン・ロールが
持っている怒りや危険さを" ピストルと薔薇 "のバンド・ポスターをもって具現化させたバンド、各人
1人1人が強烈な存在感を有し、強烈なパワーでグイグイとリスナーを引っ張り回す
" Ⅱ "が" 静 "ならば本作は紛うことなき" 動 "だ
" ライト・ネクスト・ドア・トゥ・ヘル "から詞にしても曲にしてもパワー全開、" Ⅰ "は赤い
ジャケットから" Ⅱ "の青ジャケより激しい曲中心といわれたが、" ユー・エイント・ザ・ファースト "
はアコースティックなミディアム・ナンバーそして壮大なバラード・ロック" ノーヴェンバー・レイン "
まさかこの曲がシングル・カットされるとは思わなかった
ラストの" コーマ "は今までのガンズにはなかったタイプの曲だが、この曲でアクセル・ローズの怒りの
パワーは聴く者に体当りするかの如くもの凄いエネルギーを放っている
ガンズはこれ以降ほぼ空中分解していくが、やはりアクセルの我儘というより殆どの曲を手掛けている
イジー・ストラドリンの脱退がかなり影響していると思われるし、これだけさまざまな色を持った
バンドはガンズ以降出てきていない
キーボードが入ったせいか、かなりブルージーで肉体的なアルバムだったと感じた
曲は統一性がなく構成もデタラメで曲のレベルの差も激しい…" 才能を持て余した連中がアイディアが
豊富すぎて煮詰まって、アルバム作成を放棄して取り敢えず出した "という感じのとにかく無茶苦茶な
作品、2枚のアルバムでもはみ出すほどの肥大したエゴ・暴力的な衝動・怒りのパワーに圧倒される
1枚で収まらなかったので2枚組にしましたアルバムは山ほどあるが、ほかのどこにこんなとんでもない
アルバムがあるか、まともなアルバムは実質的にデビュー作だけなのに" 世界一 "担ってしまったバンドの
実力が窺われる凄まじいアルバム
完成しなかったことが残念な気がするがヒット・チューンばかりでも、渋い曲ばかりでも、この迫力は
出なかった…そういう意味では完成しなかった故に伝説になった偉大な未完のアルバムという気がする