革命児Guns N' Rosesが満を持して送り出した
2枚同時リリースの第2弾
" Ⅰ "が動であれば" Ⅱ "は静である…激しいといえば激しいが、メタルやいかにもハード・ロック然と
したファスト・ナンバー、アリーナ・ナンバーが並んでいるわけではない
ロック・バンドはもともと静と動を自由自在に操ることのできるミュージシャンであって、こんな化け物
のようなアルバムが丸々1枚で出されたかどうなるか…毀誉褒貶どころの騒ぎではない
要するに1枚に収まりきる要領や情報量ではなく、彼らのアイディアは沼などという浅いものではなく
ロックン・ロールという大海の深海に位置する
急に激しくなったかと思えば唐突に静かになり" ピストルと薔薇 "の名にふさわしく、激しいロックを
したかと思えば美しいメロディを奏でる
楽曲に関していえば" Ⅰ "と同様の路線で、90年代が産んだ化け物のような2部作である
§ Recorded Music §
1 Civil War - シヴィル・ウォー
2 14 Years - 14イヤーズ
3 Yesterdays - イエスタディズ
4 Knockin' on Heaven's Door - ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア
5 Get in the Ring - ゲット・イン・ザ・リング
6 Shotgun Blues - ショットガン・ブルース
7 Breakdown - ブレイクダウン
8 Pretty Tied Up - プリティ・タイド・アップ
9 Locomotive - ロコモーティヴ
10 So Fine - ソー・ファイン
11 Estranged - イストレインジド
12 You Could Be Mine - ユー・クド・ビー・マイン
13 Don't Cry ( Alt. Lyrics ) - ドント・クライ( オルタナティヴ・リリックス )
14 My World - マイ・ワールド
§ Band Member §
Axl Rose - アクセル・ローズ( Vo,Pia )
Slash - スラッシュ( G )
Izzy Stradlin ー イジー・ストラドリン( G )
Duff McKagan - ダフ・マッケイガン( B )
Matt Sorum - マット・ソーラム( Ds )
Dizzy Reed - ディジー・リード( Key )
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狙った訳ではないと思うが" Ⅰ "よりも聴きやすく入りやすい曲が多い
" シヴィル・ウォー " " イエスタディズ " " ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア " " ユー・クド・ビー・
マイン "など名曲も入っているし、" ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア "はエリック・クラプトンや
アヴリル・ラヴィーンなんかもカバーしているボブ・ディランの曲である
しかし、この多様な楽曲群とマット・ソーラム加入による安定感や、これでもかとグングン押してくる
圧迫感、そしてバンドのなんともいえないギリギリな感じは、この瞬間の彼らにしか成し得ない完成度だ
この物量と音はファーストでは無理であって、セカンドではここまでやってのけたバンドとして彼らは
本当に稀有な存在だと思う
Guns N' Roses Civil War Music Video
Guns N' Roses - Knockin' On Heaven's Door
" イストレインジド "、92年頃のバンド崩壊中のアクセル・ローズの心情を打ち寄せる波の表現とともに
歌った曲であり、人間関係の難しさをなんとか克服しようという動きが歌われているが、結局バンドは
崩壊してしまい、近年に至って漸くアクセル・ローズは復活する
その時から今までアクセル以外の前メンバーはディジー・リードを除き元に戻っていないが、却って
新メンバーを得て楽しくやっていたことは肯定するところもあり、否定するところもある
ただメンバーが代わっての" イストレインジド "を演奏していても、曲の良さは変わらないが、歌の意義は
随分感じられなくなっていると思う…人間関係の歪みと、それに対するアクセルの葛藤がないからだ
人間関係は辛いが、なんとか前向きに頑張っていく気にさせる不思議な活力をもたらせてくれる曲なので
まだ聴いていない人にはお勧めである
よく2枚で1つの作品みたいな言い方をしているが、曲のクオリティは" Ⅱ "のほうが完全に上だ
80年代のHR/HMブームが90年代のグランジ・インディ・ロックにお株を奪われていく時代だったから
バンドもこれまでのイケイケ路線だけではダメだと考えたのだろう
この2枚のアルバムで色んなタイプの曲をやっているが、その試みが失敗している曲もチラホラあるが
色んな面をひっくるめてガンズ・アンド・ローゼズが好きという器の大きい人ならまだいいものの
" アペタイト・フォー・ディストラクション "からこそガンズの真骨頂と考える人には、ストレートな
作風が多いこの" Ⅱ "がお勧めである