" フライングV "を引っさげScorpions、UFOと渡り歩いた
ヘヴィ・メタル・ギター・ゴッド、Michael Schenkerが結成したバンド
1955年生まれの彼が1980年に発表した本作、" マイケル・シェンカー・グループ 神 "は最高のロック・
ギター作品というだけでなく、ロック名盤ともいえる最高傑作だと思う
プロデューサーはディープ・パープル黄金期のベーシストであるロジャー・グローバー、ベーシストは
数々のアーティストとの共演を行っているスタジオ系ミュージシャン、モ・フォスター、ドラマーは
ジェフ・ポーカロ亡き後のTOTOのドラマーだったサイモン・フィリップス、キーボードは誰もが認める
ロック界のスーパー・キーボーディスト、ドン・エイリー、参加メンバーの顔ぶれはマイケル・シェンカー
の過去にも、これ以上の豪華メンツはないというくらいのテクニシャン揃い
UFO時代では、まだまだ進化の途中であったマイケル・シェンカー奏法が完全に完成され開花した
その瞬間であるようなアルバムである
§ Recorded Music §
1 Armed and Ready - アームド・アンド・レディ
2 Cry for the Nations - クライ・フォー・ザ・ネーションズ
3 Victim of Illusion - ヴィクティム・オブ・イリュージョン
4 Bijou Pleasurette - ビジョー・プレジュレット
5 Feels Like a Good Thing - フィールズ・ライク・ア・グッド・シング
6 Into the Arena - イントゥ・ジ・アリーナ
7 Looking Out from Nowhere - ルッキング・アウト・フロム・ノーホエア
8 Tales of Mystery - テイルズ・オブ・ミステリー
9 Lost Horizons - ロスト・ホライズンズ
§ Band Member §
Michael Schenker - マイケル・シェンカー( G )
Gary Barden - ゲイリー・バーデン( Vo )
Don Airey - ドン・エイリー( Key )
Mo Foster - モ・フォスター( B )
Simon Phillips - サイモン・フィリップス( Ds )
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このアルバムはハード・ロック・ギターの教科書みたいなアルバムで、どのリフもソロ・プレイも
一度聴いたら耳に残るようなものばかり、楽曲もイントロだけで興奮して、まさに全身の血が沸き立つ
ような感覚に陥るようなものから、しっとりしたメロウなものまで充実している
そして何といってもマイケル・シェンカーといえばギター・ソロの素晴らしさ、非常にメロディックで
わかりやすく、1音1音に魂がこもっているといっていい鬼気迫るようなソロ・プレイは圧巻である
特に" アームド・アンド・レディ " " イントゥ・ジ・アリーナ "の2曲だけでも聴いてほしいと思う
この2曲にマイケルの凄さ、素晴らしさが凝縮されている
The Michael Schenker Group - Armed and Ready (Official Video)
The Michael Schenker Group - Cry for the Nations (Official Video)
Into the Arena (2000 Remaster)
独特のギターの音色とフレーズが魅力だと思うマイケル・シェンカーの作品だが、曲がものすごく良い
わけではないと思うが、マイケルの魅力はソロ・プレイの熱い弾きまくりなところと思うので、これが
名盤であることに偽りはない
UFO時代の暗さがないので聴きやすさではこの作品、これ以降評価を下げていくことになるが、それは
マイケルが変化せずに自分のギター・スタイルを頑なに守ったからではないかと思う
同じスタイルなら若いフラストレーションが溜まっているときのプレイに分がある
ヴォーカルについては、ボロクソに叩かれていたが、個人的にはそんなに下手ではないと思う
下手だと思いながら聴くとそう思うが、言われなければ分からないかと…
マイケル・シェンカーのギター・ワークがいかに優れていて情緒豊かなものであったのかは、この時代
だからこそ懐古的な感情を排除して冷静に再評価したい
硬派なリフに確実なソロ、それにゲイリー・バーデンの扇情的な歌唱がひとつの塊となって今でも
ほかでは聴くことのできない素晴らしいロック・アルバムになっている
スコーピオンズで有名になるもジャンキーとなってしまい、その治療後に復帰し鳴り物入りとともに
再登場せしめた自身のソロ作に近い本作はマイケル・シェンカーという天才ギタリストのその後を大いに
期待させた
だがその作曲能力とアンサンブルは次作までが限界で、グラハム・ボネットを迎えて" 暗示録 "における
" デザート・ソング "などで感じられる平凡さに始まり、その後発表される一連の駄作により初期の
ファンは去ってしまった