Voice of EAGLES
Don Henley初のソロ・アルバム
いい声で歌うドラマー…多くの人たちがイーグルス時代のドン・ヘンリーに対してこんな印象を抱いて
いると思う
イーグルスは" 成功が僕らをパラノイアにしてしまった "と言い残し1982年に解散、間髪入れずに
リリースされたドン・ヘンリーのソロ第1弾の本作からは、" ジョニーの青春 " " ダーティ・ラウン
ドリィ "などのヒット・チューンが生まれ、彼のソングライターとしての評価を一層高める結果になった
イーグルスの意思を引き継いだようなウェスト・コースト・サウンドをベースにしているが、より
ダンサンブルで瑞々しい音作りが示されている
もちろん持ち味の男の色気がにじむしわがれ声で歌い上げられているバラード・ナンバーも健在である
§ Recorded Music §
1 I Can't Stand Still - アイ・キャント・スタンド・スティル
2 You Better Hang Up - ユー・ベター・ハング・アップ
3 Long Way Home - ロング・ウェイ・ホーム
4 Nobody's Business - ノーバディズ・ビジネス
5 Talking to the Moon - トーキング・トゥ・ザ・ムーン
6 Dirty Laundry - ダーティ・ラウンドリィ
7 Johnny Can't Read - ジョニーの青春
8 Them and Us - ゼム・アンド・アス
9 La Eile - ラ・アイル
10 Lilah - ライラ
11 The Unclouded Day - ジ・アンクラウディッド・ディ
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1982年にはマイケル・ジャクソンの" スリラー "や、このアルバムにもメンバーが参加しているTOTOの
名盤" 聖なる剣 "がリリースされ、マドンナがデビューした年、イーグルスはすでに活動を休止していたが
正式に解散が告げられたのも1982年だった
シンセサイザーやエフェクターなどの機器が飛躍的に進歩した時期もこれに重なり、いろいろな面で
ミュージック・シーンが大きく変動する時期に、このアルバムはリリースされた
全体としてドン・ヘンリー自身の意識も音楽スタイルも、新しい機器の使用についても時代の間にある
過渡期の印象が強い
ひとつ間違えると古い時代に取り残されそうな脆さがありながら、目を離せないのはドン・ヘンリーの
才能の故であろう…事実、彼はこの後、実り豊かな活動を続けていく
その最初のステップとして意義のあるアルバムである
Talking to the Moon, Don Henley
イーグルス解散の不安感を反映したタイトル曲、スティーヴ・ルカサー、ジョー・ウォルシュといった
豪華なバックに支えられた" ダーティ・ラウンドリィ "など聴きどころは多いが、" ロング・ウェイ・
ホーム " " トーキング・トゥ・ザ・ムーン "といったバラードにおける歌唱の深みがなんともいえず良い
特に" トーキング・トゥ・ザ・ムーン "はライヴ・ビデオの中でも聴きどころのひとつである
ダニー・コーチマーとのコラボレーションで促成栽培で仕上げたという感じはするが傑作アルバムであり
次作、次々作へつながる架け橋的な意味合いでも意義の大きなアルバムで、彼の中ではマスト・バイ・
アイテムではないが、彼に対する理解を深めるためには是非聴いておきたいアルバムである
彼のこの後の3作品に比べると作り込みは少ない感じがするが、とはいっても同時にリリースされた
元相棒のグレン・フライのソロに比べると生真面目に作ってある感じで、2人の個性が対比され興味深い
上述したようにこのアルバムのお勧めは" トーキング・トゥ・ザ・ムーン "でJ.D.サウザーとの共作である
バラードの絶品、Aメロ、Bメロ、サビと美しいメロディが3つもあるのに加えてさらにブリッジとして
2種類のメロディを配した贅沢な作りになっている
アルバムとしては" いろんな曲を作って、いろんな人を使って、まず1枚のアルバムを作ってみました "と
いったところ…80年代にソロとしても成功を収める彼のスタート地点を的確に振り返ることができる
作品となっている