クラシックとポップスを巧みにミックスした
" ピアノ・ポップス "で人気を集めた歌姫
ヴァネッサ・カールトンは1980年生まれアメリカ・ペンシルヴァニア州出身で、2歳でピアノを弾き始め
8歳のころから作詞・作曲を始めた才能豊かな若手のシンガー・ソングライターであり、とても繊細な
曲作りと爽やかな歌声が魅力的で、好みが偏ることなく万人に好感を持たれるアーティストだと思う
全体的に繊細で瑞々しく、" 春 "をイメージさせるとても感じの良いアルバムとなっている
音楽的には一貫しているものの、1曲1曲に思いが込められているように感じられ、完成度も高く
ハズレ曲がなく、繊細なピアノの音と軽快なリズムを楽しみながら最後まで飽きずに聴き通せる
§ Recorded Music §
1 Ordinary Day - オーディナリー・ディ
2 Unsung - アンサング
3 A Thousand Miles - サウザンド・マイルズ
4 Pretty Baby - プリティ・ベイビー
5 Rinse - リンス
6 Sway - スウェイ
7 Paradise - パラダイス
8 Prince - プリンス
9 Paint it Black - 黒くぬれ~ペイント・イン・ブラック
10 Wanted - ウォンテッド
11 Twilight - トワイライト
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自ら作詞・作曲するシンガー・ソングライターだが、特徴的なのは" ピアノ&ヴォーカル " " 小さい
ころからクラシック・ピアノを学んでいた "という点で、シンガー・ソングライターはギター系が
ほとんどなのだが、ヴァネッサの場合は鍵盤系という点がもろに楽曲、アレンジに出ている
楽曲はポップなロックといった感じで、ポップで聴きやすい鍵盤系のメロディかつドラマを感じさせる
メロディとなっている
クラシック・ピアノを学んだ経験があるだけあって、その腕前の見事さはもちろん、本作に収録されて
いる楽曲は随所にクラシックの香りが漂う秀作がそろったといえる
演奏は、ピアノ弾き語りを中心にストリングスが絡み、ベース・ドラム・ギターがバックといった印象で
ヴォーカルはとっても清々しく聴いていて気持ちが良い
ピアノラインは、クラシック・ピアノを学んでいたためか、普通のピアノの弾き語りよりも流暢で
メロディアスとなっている
そこに、ストリングスが絡みメロディを引き立て、ドラマ性を強くしている
このアルバムの魅力は、当時21歳のヴァネッサ・カールトンの清々しさで、" オーディナリー・ディ "
" サウザンド・マイルズ "などが典型で、朝日のように気持ちいい曲になっている
一方では、女性のミステリアスさ、妖艶さもストレートに出ている点も魅力的で" 黒くぬれ "
" ウォンテッド " " トワイライト "などは楽曲、歌唱ともなかなか艶めかしい
80年代のロック好きなら誰しも" サウザンド・マイルズ "を聴いたらブルース・ホーンズビーを連想
するに違いなく、ピアノのアルペジオリフやヴォイシングはとても似ている
ただ、ヴァネッサがブルース・ホーンズビーのファンという情報はないし、ライヴではジャズに近い
スタイルのブルースに対して、クラシックを学んだ彼女は音楽のルーツがまったく違う
しかし、全作品の作詞・作曲、共同編曲を手掛けるヴァネッサが、本作で魅せる実力が超一級品である
ことに変わりはない
プロデューサーのロン・フェアによるオーケストラ・アレンジはどれも素晴らしいが、特に" リンス "
" スウェイ " " ウィンテッド "では楽曲に多面性をもたらすことに成功している
基本ピースであるベース・ドラム・ギターも良い録音とミックスで文句のつけようのない内容で
" 可愛い顔して、いい曲書いて…でも、それだけではない "そんなアルバムになっている