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Ultimate Music Album - 極 -


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Van Der Graaf Generator - H to He,Who Am the Only One:核融合 -

ダークな雰囲気に満ちた作品で、ゆえに
ヴォーカルの独特の美しさが一層栄える

 

ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター( VDGG )は、現在もソロ活動を続けるヴォーカリスト

詩人であるピーター・ハミルのメッセージ性にあふれる超個性的な歌唱を、有能なミュージシャンらの

充実した楽器演奏によって鮮烈に彩るアヴァンギャルドな音楽性で今なお人気を誇る1970年代の

プログレッシブ・ロック・シーンを代表するバンドのひとつである

プログレッシブな構成力が強まったことで、シンセやサックスの役割がハッキリとなり、楽曲自体が

このアルバムでは生き生きとしてきた

変則リズムを取り入れたテクニカルな要素も増え、しっとりとしたフルートやピーター・ハミルの歌声

を聴かせる叙情曲とのメリハリがついた

スケールの大きな大作志向も顕著になってきたが、楽曲の密度も上がっている

 

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§ Recorded Music §
1 Killer - キラー
2 House with No Door - ハウス・ウィズ・ノー・ドア
3 The Emperor in His War Room - ジ・エンペラー・イン・ヒズ・ウォー・ルーム
 a. The Emperor - ジ・エンエラー
 b. The Room - ザ・ルーム
4 Lost - ロスト
 a. The Dance in Sand and Sea - ザ・ダンス・イン・サンド・アンド・シー
 b. The Dance Frost - ザ・ダンス・フロスト
5 Pioneers Over c - パイオニアーズ・オーヴァー・C

§ Band Member §
Peter Hammill - ピーター・ハミル( Vo,G,Pia )
Hugh Banton - ヒュー・バントン( Key )
David Jackson - デヴィッド・ジャクソン( Sax,Fl )
Nic Potter - ニック・ポーター( B,G )
Guy Evans - ガイ・エヴァンス( Ds )


 

 

VDGGの音楽を語る上で本作を忘れることはできなく、彼らのアルバムの中でもっともサイケデリック

な色合いが強く出ていて、その前衛性を作曲面において大胆に発揮しているというのもあるが、何よりも

リスナーの心を打つのがピーター・ハミルの暴力的/狂的な感性が剥き出しになって迫ってくる点である

VDGGの後期の作品群においては、このような面が楽曲に中にナチュラルに溶かし込まされて見えなく

なっているが、本作においてはそれがストレートな形で、しかもこれ以上ないというほどの切実さを

もって突きつけられてくる

 

 

House with noDoor (Live)

House with noDoor (Live)

  • provided courtesy of iTunes
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" キラー "はとてつもなく重たい曲で、ピーター・ハミルはまるで獣の威嚇のように吠える

サックスは奈落の底に転落するギリギリのエッジを這うようなフレーズ、熱にうなされると訳の

わからない空間を彷徨うような夢を見るものだが、一瞬爽快な気分になるときもあるのだがコーラスに

まさにそんな瞬間を感じる

クラシックを思わせる音階が頻繁に出てくるが、英国あるいはヨーロッパ歌謡のような歌を感じる

こともあり、ブルースやR&B色は極力排されているように思える

ピーター・ハミルが、誰に対して何を訴えているかわからないが、休息も死さえも訪れぬ世界で延々と

無限に広がる沼地を進む続ける…そんな恐ろしくも荘厳なイメージを作り上げている

特筆すべきは" ハウス・ウィズ・ノー・ドア "、スケールの大きなオルガン、冴えに冴えたサックスと

フルート、ユニークで表情豊かなリズム隊をバックにピーター・ハミルが絶望的な孤独を始めは切々と

最後には聴く者の胸を掻きむしる叫び声で歌い上げる

アルバム全体を支配するのは、ナイフのように研ぎ澄まされた静謐さ…それは狂気スレスレのレベルに

到達している

 

ジェネシスピーター・ガブリエルと、カリスマ・レーベルでもうひとりのピーターとしてファンには

有名だったピーター・ハミル…その最初の本領発揮がこのアルバムである

その素晴らしい独自の音世界は、ほかに例を見ないレベルに達している

このバンドの中心人物、ピーター・ハミルの思想的世界の話…彼がこのバンドでやりたかったのは

彼の思想の具現、その哲学と狂気の狭間を揺らめきながら、音的にもこのアルバムが崩壊寸前の暗い

美意識に満ちていることは間違いない

しかもこのアルバムのお勧めは、キング・クリムゾンのロバート・フィリップが参加していて、3曲目の

" ジ・エンペラー・イン・ヒズ・ウォー・ルーム "で演奏している

このアルバムは節々でキング・クリムゾンの" クリムゾン・キングの宮殿 "に似ているところがある