知的でドラマティックで斬新なサウンド美学を
展開した衝撃のデビュー・アルバム
バークリー音楽院出身者を中心に結成されたドリーム・シアターは、高度な音楽理論に基づいた
テクニック、プログレッシブ・ロックのインテリジェンスとヘヴィ・メタルのスピード感の見事な融合に
よるサウンドでシーンに衝撃を与えた
特にラッシュが築き上げた" 精神性の進化、緻密なリズムワーク、画期的な構成力 "を分析、理解して
モダンでオリジナルなものを生み出している
現在も進化し続けているドリーム・シアターだが、このファースト・アルバムでは知的で若さあふれる
刺々しいまでの激しいプレイを聴くことができる
現在のテクニックと展開でバリバリに構築する傾向にある彼らではなく、ハード・ロックとプログレを
融合させたというドリーム・シアターが好きな人にはヴォーカルの違いで敬遠せず一度聴いてほしい
§ Recorded Music §
1 A Fortune in Lies - フォーチュン・イン・ライズ
2 Status Seeker - ステイタス・シーカー
3 The Ytse Jam - YTSE JAM
4 The Killing Hand - キリング・ハンド
Ⅰ The Observance
Ⅱ Ancient Renewal
Ⅲ The Stray Seed
Ⅳ Thorns
Ⅴ Exodus
5 Light Fuse and Get Away - ライト・フューズ・アンド・ゲット・アウェイ
6 Afterlife - アフターライフ
7 The Ones Who Help to Set the Sun - ワンズ・フー・ヘルプ・トゥ・セット・ザ・サン
8 Only a Matter of Time - オンリー・ア・マター・オブ・タイム
§ Band Member §
Charlie Dominici - チャーリー・ドミニシ( Vo )
John Petrucci - ジョン・ペトルーシ( G )
Kevin Moore - ケヴィン・ムーア( Key )
Mike Portnoy - マイク・ポートノイ( Ds )
John Myung - ジョン・マイアング( B )
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1989年に衝撃のデビューを飾った作品で、ボストンのバークリー音楽院に通っていいたジョン・
ペトルーシ(g)、ジョン・マイアング(b)、マイク・ポートノイ(ds)の3人が結成したバンド、マジェスティ
が母体となったのがこのドリーム・シアターである
本作で脱退したチャーリー・ドミニシはたしかにジェームズ・ラブリエに比べると劣るかもしれないが
非常に心地よい高音を出し、歌唱力もかなりあると思う
ここではまだ彼らの真のテクニックを聴き取れるわけではないが、デビュー作としてはとんでもない
テクニックを持っていることは明らかに聴き取ることができる
ライヴで演奏される" YTSE JAM "など本当に良質な楽曲が揃っている
今では聴くことが出来ないケヴィン・ムーアの美しいキーボードも堪能でき、ドリーム・シアターの
礎はケヴィンの影響力があったことも忘れてはならない
全体的にヘヴィという感じではなく、まだ暗中模索ながら聴き手をおぉっ!と思わせるのはさすがだ
1曲目" フォーチューン・イン・ライズ "のリフに象徴されるように、このアルバムには疾走系のHR/HM
の香りが感じ取れ、そのあたりが2作目以後の彼らとの大きな違いである
お勧めの曲は" キリング・ハンド "と" オンリー・ア・マター・オブ・タイム "で構成が一周するごとに
転調していき、最後のギターとキーボードの壮絶なハモリで盛り上げるだけ盛り上げて収束していく
前者と、独特のリズム感を持ったチャーリー・ドミニシの歌が曲を支え、中間部はエキゾチックな旋律と
複雑なドラムのリズムが曲にアクセントを加えてくれる後者、どちらもドリーム・シアターらしい複雑
高度なアプローチの中に、いわゆる正統派な様式美系のエッセンスが効いている
これらの曲は今のドリーム・シアターがおそらく意識的に捨ててしまった要素を持った初期の名曲である
最高傑作とも呼び声の高い" イメージズ・アンド・ワーズ "の前に出したデビュー作で、ヴォーカルは
ジェームス・ラブリエではなくチャーリー・ドミニシ
デビューの時点で高い音楽性を確立していたことがよく分かる作品だが、彼らがどのようなミュージ
シャンに影響されているのかもよく分かる
プログレ系の大御所たちの影響はいうまでもないが、ジョン・ペトルーシのプレイに至ってはメタリカ+
イングヴェイといった具合で分かりやすく、曲によってはアラン・ホールズワースの影響もうかがえる
演奏隊は代わっていないが次作とは作風がかなり違い、当初ラッシュの後継者と紹介されたくらいで
割と詞がアメリカっぽく、お金や政治の話が出てきたり、" 名声を掴め "というお決まりの競争主義が
出てきたり、ラッシュ顔負けの哲学的な曲もある
全体的にスピード・ナンバーが多く、正確無比の高速カッティングなどギター・ヒーロー的なプレイが
目白押しだが、歌メロにおいては次作が凄すぎるので比べものにならないが、黎明期の作品としては
結構楽しめる