Gary Mooreが1978年に発表した
個人名義では初のスタジオ・アルバム
スキッド・ロウ、ゲイリー・ムーア・バンド、コロシアムⅡを経て発表されたソロ・アルバムで、
ゲイリー・ムーア・バンドをソロ・デビュー作とカウントすると約5年ぶりのソロ2作目となる
コロシアムⅡ在籍時、解散後となる1977年、1978年に少しずつ録音されていたもので、ちょうどシン・
リジィへの参加時期にも重なるため、さまざまな音楽性をみせる楽曲が収録されることとなった
" クレイジー・ムーア "といった仕上がりでご機嫌な内容で、サウンドは当時のまさにゲイリー・ムーア、
コロシアムⅡとシン・リジィが混在したものとなっている
ちょっと中途半端な印象があるが、彼の凄まじい演奏を聴けばそんなのは吹き飛んでしまう
§ Recorded Music §
1 Back on the Streets - バック・オン・ザ・ストリーツ
2 Don't Believe a World - 甘い言葉に気をつけろ
3 Fanatical Fascists - 狂言的なファシスト
4 Flight of the Snow Moose - スノー・ムースの飛行
5 Hurricane - ハリケーン
6 Song for Donna ー ドナの歌
7 What Would You Rather Bee or a Wasp - 皮肉な奴になりたいのか
8 Parisienne Walkways - パリの散歩道
§ Personnel §
Gary Moore - ゲイリー・ムーア( G,Vo )
Phill Lynott - フィル・リノット( B,Vo )
Don Airey - ドン・エイリー( Key )
John Mole - ジョン・モール( B )
Brian Downey - ブライアン・ダウニー( Ds )
Simon Phillips - サイモン・フィリップス( Ds )
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注目すべきはベーシストとしても参加しているシン・リジィのフィル・リノットが" 狂言的な
ファシスト "と" パリの散歩道 "の2曲を書き下ろし( 特に後者はゲイリーの代表曲のひとつとなった )
そのシン・リジィの" 甘い言葉に気をつけろ "を取り上げていることだろう
ほかの曲はゲイリーとドナ・キャンベルの共作によるオリジナルで、参加しているのは前述のフィル・
リノットのほかに同じくシン・リジィのブライアン・ダウニー、コロシアムⅡからはドン・エイリーと
ジョン・モールの2人、そしてサイモン・フィリップスらで、両グループの延長、融合路線といえる
" バック・オン・ザ・ストリーツ "はモロにシン・リジィにコロシアムⅡ的なキーボードを加えたかの
ようなハード・ロックで、痛快という言葉がふさわしいポップ&キャッチーな1曲である
" 甘い言葉に気をつけろ "はブルース・ロックだが、いわゆる黒っぽさは薄いとはいえそれでもブルージー
なギター・ソロは珠玉の出来栄え、" 狂言的なファシスト "は完全にシン・リジィのヒット・チューン
タイプの曲、ヴォーカルすらフィル・リノットに聴こえる
" スノー・ムースの飛行 "はモロにコロシアムⅡなジャズ・ロック、ゲイリーの書く曲にシン・リジィ的な
ものがみられるのは面白いが、同じ釜の飯を食った仲というものは影響を受け合っているのかもしれない
ギター・ソロはもちろんリフやちょっとしたフレーズのひとつひとつが極めて印象的で、ワイルドさを
全面に出しつつも、かつ丁寧に演奏していてすべてが聴きものである
それに加えてヴォーカルも今までとは明らかに違うクオリティをみせていて、彼にとってコロシアムⅡの
経験がいかに大きかったか如実に現れていると思う
1952年アイルランド、ベルファスト生まれ、天才ギタリストでありハード・ロック、ブルース・ロック
ジャズ・ロックのどの分野においてもアルバムを出す…リーダー作は20枚以上
意外なことにアメリカでは彼はかなり過小評価されているが、日本では熱心なファンが多い
ルーツはピーター・グリーン、アルバート・キング、ジミ・ヘンドリックスなどにあり、ワイルドかつ
聴くものを興奮させるギター・プレイは多くの日本のファンを掴んでいて、今日まで数しれないプロ・
ギタリストに影響を与え続けているギター・グレイト
名曲" パリの散歩道 "で締まる本作はゲイリー・ムーアのハード・ロッカーとしての側面やジャズや
フュージョンの側面、叙情的な側面を感じることのできる彼のこの時期の集大成の作品である