John Payne迎えて制作された新生AISAの1992年発表作
今までのエイジアのお家騒動には明確な理由があって、すべての元になったのはジョン・ウェットンと
スティーヴ・ハウのリーダー争いにあったといっていい
それぞれの音楽性の違いを背景に、まるで派閥争いのような雰囲気まで漂っていた結果、スティーヴ・
ハウは新イエス、ABWHに参加、その後イエス・ユニオンに加わり、すっかりイエス・ファミリーに
収まっていたわけだし、スティーヴ・ハウの後任ギタリストもいろいろありながらジョン・ウェットン
主導で選ばれたパット・スロールに固まり、この新生エイジアををカール・パーマーもジェフ・ダウンズ
も歓迎していると思われていた
§ Recorded Music §
1 Aqua PartⅠ - アクア・パート1
2 Who Will Stop the Rain? - フー・ウィル・ストップ・ザ・レイン?
3 Back in Town - バック・イン・タウン
4 Love Under Fire - ラヴ・アンダー・ファイヤー
5 Someday - サムディ
6 Little Rich Boy - リトル・リッチ・ボーイ
7 The Voice of Reason - ザ・ヴォイス・オブ・リーズン
8 Lay Down Your Arms - レイ・ダウン・ユア・アームズ
9 Crime of the Heart - クライム・オブ・ザ・ハート
10 A Far Cry - ファー・クライ
11 Don't Call Me - ドント・コール・ミー
12 Heaven on Earth - ヘヴン・オン・アース
13 Aqua PartⅡ - アクア・パート2
§ Band Member §
Geoff Downes - ジェフ・ダウンズ( Key,Vo )
John Payne - ジョン・ペイン( Vo,B )
Carl Palmer - カール・パーマー( Ds )
Al Pitrelli - アル・ピトレリ( G )
Steve Howe - スティーヴ・ハウ( G )
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ところが、1991年突如としてジョン・ウェットンの脱退が発表されるやまったく訳がわからなくなった
旧メンバーで" ライヴ・モスクワ "のリリースをはさみ、ニュー・アルバムの制作に入ったと報じられた
時は、ジョン・ウェットンの後任としてジョン・ペインが迎えられたわけだが、アルバムがリリース
されるとパット・スロールの名前も消えていた
そして驚くべきことにアディショナル・ギタリストとしてスティーヴ・ハウの名前がクレジットされて
いたのである
とはいえ、アルバムのタイトルは" AQUA "…エイジアのタイトルお遊び、" A "で始まり" A "で終わる単語が
つけられていて、このアルバムが紛れもなくエイジアの4作目のオリジナル・アルバムだという意味が
込められていた
内容の方は、エイジア・レパートリーがはじめてジョン・ウェットンの手を離れているというところで
ほとんどの曲がジェフ・ダウンズとカール・パーマーの共作で作られているので、ウェットン節とは
また違うエイジアの味が出ている
エイジアの伝統である" 3分間に込められた壮大なドラマ性 "はそのままに、さらにハードなロックを演出
したものや、インテリジェントな雰囲気を持った曲など、新生エイジアと呼べる曲が多い
1作目、2作目で完成させたエイジアの基本サウンドに、3作目ではマンディ・メイヤーの加入により
ハード・ロック的部分を加味し、パット・スロールによりジャズ的な雰囲気も取り入れ、ジョン・
ウェットンの遺産も受け継いでいて、ここから新しいエイジアの新局面の完成に向かうという、
そういった意味でもこのアルバムは意義深かった
今後のエイジアがどうなっていくのかという出発点、つまりプログレのスーパー・グループから
コンテンポラリーなベテラン・ロック・グループへの脱皮が始まったと見るべきだろうし、離れていって
しまったジョン・ウェットンの色とはまた違うエイジアを作ろうとしていたように思う
ジェフ・ダウンズ、カール・パーマー、そしてジョン・ペインの新スタートで、もはやエイジアを
プログレの残党というイメージで捉えるのは間違いだった
何代にもわたって進化していたし、1992年には1992年のエイジア像があった