シンセ・サウンドを前面に押し出したことによる
変化も手伝い、商業的に大成功を収めた
前作" ジョーカー "が大ヒットしたにもかかわらず、訴訟に巻き込まれてブランクを余儀なくされ、満を
持して発表した作品でありシンセサイザーを全面的に導入、よりポップ色を強めて爆発的ヒットになった
ヒットした" テイク・ザ・マネー・アンド・ラン " " ロックン・ミー "やシンセ全開のタイトル曲もいいが
本作のフェイヴァリット・ソングは" 星空のセレナーデ "、哀愁を帯びた曲調、ヴォーカルが泣かせる
アメリカではおそらく日本じゃ考えられないくらい人気があるスティーヴ・ミラー、この飄々とした
個性がたまらなく、ブルース演っても凄くクール、さらにはどうやっても滲み出てくる生来のポップ
センスとユーモアがこのアルバムの魅力となっている
§ Recorded Music §
1 Space Intro - スペース・イントロ
2 Fly Like an Eagle - フライ・ライク・アン・イーグル
3 Wild Mountain Honey - ワイルド・マウンテン・ハニー
4 Serenade - 星空のセレナーデ
5 Dance,Dance,Dance - ダンス・ダンス・ダンス
6 Mercury Blues - マーキュリー・ブルース
7 Take the Money and Run - テイク・ザ・マネー・アンド・ラン
8 Rock'n Me - ロックン・ミー
9 You Send Me - ユー・センド・ミー
10 Blue Odyssey - ブルー・オデッセイ
11 Sweet Maree - スィート・マリー
12 The Window - ザ・ウインドゥ
§ Band Member §
Steve Miller - スティーヴ・ミラー( Vo,G,Key )
Lonnie Turner - ロニー・ターナー( B )
Gary Mallaber - ゲイリー・マラバー( Ds )
|
のっけから飛び出すスペーシーなシンセ・サウンドにびっくりしたものの、その後に出てくるギター・
サウンドで一安心となるのは往年のファンであって、現在ではスティーヴ・ミラー・バンドの代表作で
ありスペース・カウボーイのイメージとも重なる大傑作アルバムである
曲調は前作" ジョーカー "から思いっきり変化したという感じではないが、一皮剥けたという感じはある
曲調もカントリー、R&B、ロックと今までの集大成的な内容であり、それをわかりやすくポップに料理
した感じで、大ヒットしたことが頷ける作品である
今後のスティーヴ・ミラー・バンドの方向性を決定したアルバムとしても重要な作品である
アルバム・ジャケットの激しさとは裏腹に、内容はいたってシンプルなもので、このアルバムでは余程
使ってみたかったのかシンセサイザーでスペーシーなサウンドを演出している
正直曲はムラがありつまらないものもあるが、何といっても" マーキュリー・ブルース " " テイク・ザ・
マネー・アンド・ラン " " ロックン・ミー "の3連発はよく、ギター・ソロとかあるわけではないが
シンプルなメロディが味わい深い曲である
基本的なメンバーは上述したようにスティーヴ・ミラー、ロニー・ターナー、ゲイリー・マラバーの
トリオ編成だが、" ザ・ウインドゥ "ではレス・デューディックがスライド・ギターで参加している
それまでは、日本では知る人ぞ知るという人物だったが、このアルバムによってもう大物になった
もともと実力のある人で、まぁ、ちょっとヒット・チャートで名前を売ってみようかなてな感じの洒落た
作品であるが、もともとブルース・バンドっぽい売りだったが、ここではスペース・サウンド万華鏡的
境地で、心地よいうねりが最高である
固いことを考えず、この作品の質の高さを堪能してもらいたい…本気になったらこんなもんだという
1976年のメガ・ヒットである
ブルース、R&Bなど黒人音楽の核心を捉え、それをかっこいいロックに昇華させるセンスは本当に
素晴らしいものがある