Mark Knopflerの幻想的でノスタルジックな
ギター・サウンドの世界が炸裂
ダイアー・ストレイツのサード・アルバム" メイキング・ムーヴィーズ "の制作から3年後の1983年、
マーク・ノップラーが自身の初ソロ作として映画「 ローカル・ヒーロー 」のために手がけたサウンド・
トラック・アルバムで、ケルトをテーマとした巾広いエフェクトや、ケルトを象徴するような音色、
ジャズのエッセンスを取り入れたそのサウンドは高い評価を得ることになった
「 ローカル・ヒーロー 」は1983年公開のコメディ映画で、コメディといっても大きく笑うのではなく
クスクス含み笑いが続き、しばらくすると繰り返し観たくなるという不思議な作品である
コメディであるとともにファンタジーの要素もある80年代イギリス映画の代表作である
§ Recorded Music §
1 The Rocks & The Water - 岩と波
2 Wild Theme - 野生のテーマ
3 Freeway Flyer - フリーウェイ・フライヤー
4 Boomtown - ブームタウン
5 The Way it Always Starts - 振り出しに戻って
6 The Rocks & The Thunder - 岩と雷
7 The Ceilidh & The Northern Light - ザ・ケイリーと北の灯り
8 The Mist Covered Mountains - 霞がかる山並
9 The Ceilidh : Louis' Favourite Billy's Tune - ザ・ケイリー:ルイズ・フェイバリット/ビリーズ・チューン
10 Whistle Theme - 口笛のテーマ
11 Smooching - くちづけ
12 Stargazer - 天文学者
13 The Rocks & The Thunder - 岩と雷
14 Going Home ( Theme of the Local Hero ) - ゴーイング・ホーム( ローカル・ヒーローのテーマ )
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ダイアー・ストレイツのリーダーで渋いナンバーを聴かせてくれたマーク・ノップラーの83年に突然
発表されたソロ・ファースト・アルバムは、ビル・フォーサイス監督、デヴィッド・パットナム制作の
サウンド・トラックでビル・フォーサーズの詩情とスコットランドの田舎町にふって湧いた開発、大金が
入ってくると沸き立つ漁師町の人々の騒動、日常、何ということもない田舎町に派遣され村ごと買い取る
という使命を帯びたアメリカの大企業の社員の心境の変化を織り交ぜ、天文マニアで社長を演じるバート
ランカスターの味のある演技など、コミカルで面白い映画である
音楽は映画を観るより先に聴いたが、マーク・ノップラーの詩情あふれる美しい、あるいは活気あふれた
ギター、渋く心暖まるメロディでアイルランド・ケルトの伝統楽器、シンセサイザーの叙情性、感情
豊かな音楽で心にしっとり響く
マーク・ノップラーのこのアルバムで彼が演奏しているのは3曲( " ブームタウン " " くちづけ "
" ゴーイング・ホーム " )で3曲とも全部いいが、中でも映画「 ローカル・ヒーロー 」のテーマ曲
" ゴーイング・ホーム "の演奏を聴いてもらいたい
この曲はイングランド・プレミアリーグの強豪ニューカッスル・ユナイテッドのホーム・スタジアム
セント・ジェームズ・パークに響き渡るチームの応援曲として使われているように、とても人を鼓舞する
ものがあるが、そのサビの部分がマイケル・ブレッカーのサックスの部分である
このサウンド・トラック・アルバムは、その後のマーク・ノップラーのアイリッシュ志向の基礎になった
1枚である
ダイアー・ストレイツのマーク・ノップラーが手がけた初めてのサウンド・トラックだが、美しい
ギターの旋律と、映画の世界観を見事に表現したオーソドックスでありながらバリエーションあふれる
楽曲の数々は本当に素晴らしく、何度聴いても飽きのこない名盤だと思う
アイルランド音楽を取り入れた" ケイリー "やジャズ風味の" ブームタウン "、シンセサイザーの響きを
活かした" 天文学者 "、唯一ヴォーカルの入った" 振り出しに戻って "など、どれをとっても大人の鑑賞に
耐えるものばかりである
また、映画もそうだがとても癒やされるサントラでもある